はじめに
その姿形と用途が似ていることから、度々フェンネル(ウイキョウ)と混同されるハーブが、今回ご紹介する「ディル」です。
紀元前4000年代にはメソポタミア文明を築き上げたシュメール人によって栽培されていたとされ、非常に歴史ある植物の一つです。
現在は、食用としてはもちろん、鎮静作用や消化作用のあるメディカルハーブとしても幅広く親しまれています。
本記事では、そんなディルの特徴や種子からの育て方を中心にご紹介したいと思います。
ディルってどんな植物?
ディル
学名 | Anethum graveolens |
別名 | イノンド、蒔蘿(ジラ) |
原産 | 地中海沿岸、西アジア |
科名 | セリ科イノンド属 |
分類 | 一年草 |
大きさ | 60〜80cm程度 |
開花時期 | 5〜7月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:なし |
活用法 | 料理、ハーブティー etc |
前述の通り、非常に歴史の古い植物ですが、日本に伝わったのは江戸時代頃。
当時は薬草として用いられ、現在のように料理などに用いられることはなかったそうです。北欧の家庭料理でよく使われていますが、日本人にはまだまだ馴染みの薄いハーブといえます。
葉は細く柔らかでキリッとした爽やかな香りがあり、初夏に茎の先端に黄色い小さな花を咲かせます。
果実は平たい楕円形で「ディルシード」と呼ばれ、整腸作用や鎮静作用もあることから薬用として使われる他、茎や葉よりも香りが強く、ピクルス液やドレッシング、パンやスープなど様々な料理にスパイスとしても利用されています。
※ディルシードに対して、乾燥させた葉や茎は「ディルウィード」と呼ばれています。
<参考商品>
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日本の家庭では日常の食卓に登る機会は殆どないかもしれませんが、レストランの料理で使われているのをみたことがある方は多いと思います。
ディルの葉は肉料理や魚料理の風味付けや臭み消しによく利用されますが、サラダに和えたり野菜料理にも加えることで風味に爽やかさを加えてくれます。
食すと同時に消化器の調子を整えてくれますので、ディルの独特の風味がお好きな方にはおすすめです。
下記のページでは、ハーブを料理するときに便利なアイテムをご紹介しています。ご興味ある方はあわせてご覧ください。
ディルを育ててみよう!
種まき&植え付け
生育環境としては、日当たりと風通し、水はけの良い場所を好みます。
ディルは直根性(※)ですので植え替えを苦手とします。
その為、種から育てるときは直播きして間引きながら育て、後々植え替えが必要ないように育てていくのがおすすめです。
※直根性について詳しく知りたい方は下記のページをご参照ください。
<種子から育てる>
▶︎発芽温度は20℃前後。
▶︎春まきは4〜6月頃、秋まきは9〜10月頃です。
▶︎好光性種子ですので、直播きした後は覆土はしない、もしくはごく薄く(2〜3mm程度)覆土します。
▶︎環境にもよりますが、2週間前後で発芽します。
▶︎覆土が薄いので、育苗中は霧吹きなどを利用して水やりを行いましょう。
▶︎本葉が4〜5枚になり、最終的に株と株の間が20cm間隔になるまで随時間引きましょう。
<苗の植え付け>
苗を購入して複数の株を植え付ける場合は、最低でも株間は30cm程度、またはそれ以上の間隔をあけて植え付けます。
鉢植えで栽培されたい方は8〜9号サイズ(直径24〜27cm程度)の鉢・プランターをご用意ください。
土は市販の元肥入り園芸用土で問題ありませんが、ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3程度の比率でブレンドしましょう。
植え付け穴を開け、たっぷりと水を含ませてから定植し、土を被せた後は株元を軽く押さえて完了です。
日常管理
◆水やり
地植えの場合は、根付いた後の水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面がやや乾いたら鉢底から水が流れ出るくらいしっかりと与えてください。
ハーブ栽培がはじめての方は下記のページも是非参考になさってください。
◆剪定、収穫
葉が茂っている間は、収穫も兼ねて随時剪定しながら育てていきます。
最初は20cmくらいになったら摘心を行います。
摘心することで脇芽が増えて株のボリュームも増していきますので忘れずにやっておきましょう。
初めて剪定にチャレンジするという方は下記のページも参考になさってください。
◆肥料
栽培中に定期的な施肥は必要ありませんが、生育期に(2週間に1度程度)液肥を与えておくことで生育が衰えず長期間収穫することができるようになります。
◆病害虫
ディルはアブラムシとアゲハチョウ(幼虫)に好かれます。
日常的に観察をしっかり行い、見つけ次第すぐに対処しましょう。
アゲハチョウの卵は薄黄色の1mm程度の大きさです。ティッシュや割り箸などを使って排除しましょう。
気をつけていても虫がつくことはありますので、下記のページを参考に予防と対策を行ってみてください。
ワークウッドというハーブを使った天然の防虫スプレーを利用するのも効果的です。
ご興味ある方は下記のページもあわせてご覧ください。
最後に
今回の記事では、爽やかな風味が特徴のハーブ「ディル」についてご紹介しました。
冒頭でもお伝えした通り、ディルは見た目が似ているということで、同じく魚料理の臭み消しに使われる「フェンネル」とよく混同されます。
下記のページでは、両者の見分け方などをご紹介しておりますのでご参照ください。