ハーブを剪定する目的は? 摘芯と切り戻しって何?いつやればいいの?

はじめに

春から夏にかけて多くのハーブが生育期を迎え、毎日グングンと生長している姿を見ると、とても嬉しい気持ちになります。

苗が小さいうちから、もしくは種子から育てたのであればその喜びもひとしおです。

しかし、生長する姿をただ手放しで見守るだけではハーブのためになりません。

育てはじめたばかりの人に多いのは、良かれと思い、茎や葉を切らずに放置したまま夏を迎え、その結果、生育不良を引き起こしたり、場合によっては枯らしてしまうことです。

「せっかく順調に育ったハーブを切るのはなんだか可哀想…」と思う気持ちはよくわかりますが、切ってあげることでより健康に育てることができるのです。

本記事では、ハーブのお手入れで重要な「剪定」について、その目的やタイミングなどをやさしく解説していきたいと思います。



剪定の目的

剪定」とは、簡単に言えば、植物の茎や枝を切ることです。

主に、植物を健康に育てる為に行われますが、具体的には下記のような目的があります。

▶︎株全体に養分を行き渡らせる。
▶︎蒸れを防ぐ。
▶︎害虫対策。
▶︎株姿を整える。

ここからもう少し補足説明を加えてご説明します。



養分を行き渡らせる

順調に生育を続けるハーブは、茎葉の数が増えていくに従って養分を吸い上げるスピードも量も多くなってきます。

茎葉の増えた株は更に生長するために土中の養分を吸い上げるわけですが、茎葉が増えるに従って、株全体の生命維持に必要な養分も多くなります。

特に、花を咲かせる時や新芽を伸ばす時には多くの養分を必要とします。

剪定を行うことで、必要な箇所に満遍なく養分を行き渡らせ健康に保つことができるのです。


蒸れを防ぐ

日本の気候では、多くのハーブが梅雨頃から生育旺盛な時期に突入します。

高温多湿の時期に差しかかると、生い茂った茎や葉が密集して水分がなかなか外に逃げずに残ってしまい、過湿により根腐れや病気を引き起こします。

剪定することによって株元に空間を作り、風通しを良くしてあげることで水分をしっかりと蒸発させることができますので、蒸れの防止にとっても大切な作業です。


害虫対策

どんなに気をつけていても、時期や環境によってアブラムシなどの害虫が発生することがあります。

発生してしまった場合は仕方ありませんが、害を及ぼす範囲を最小限にとどめるためには、葉と葉が触れ合い干渉している箇所をできるだけ少なくしておく必要があります。

剪定することで葉と葉が干渉する箇所を減らし、虫が次の茎葉に移らないようにしておくことも大切です。


害虫の発生は剪定の問題だけでなく、栽培環境や水やりが関係していることも考えられますので日常的に観察して対処することが大切です。

害虫対策について詳しく知りたい方は、下記の関連記事もあわせてご覧ください。


株姿を整える

日当たりや個体差などの影響もありますが、植物は生長が進むに従って徐々に株の形は乱れていき、中々私たちの思い描くような理想的な姿にならないものです。

そんな時、剪定することによって見た目を整える効果もあります。

特にラベンダーやローズマリーなどの低木は、年々株が大きくなるため、剪定時期にしっかりと形を整えておくことで最終的に美しい株姿に整っていきます。



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ハーブに有効な剪定方法

一口に剪定といっても、切る箇所や目的によっていくつかの種類があります。

特に庭木のような樹木の場合、「整枝」や「枝透かし」「切り詰め」など、他にも多くの剪定方法がありますが、ハーブのお手入れに有効な剪定は主に「摘心」と「切り戻し」という方法です。


摘心とは?

摘心は、先端の芽を切る剪定方法です。

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があり、脇芽よりも茎の先端の芽(頂芽)のほうを優先して伸びていきます。

従って、摘心をすることにより、芽の先端に優先的に送られていた養分が脇芽のほうに行き渡り枝数も増えて健康的にボリュームアップしていくのです。

主に、収穫量や花数を増やすために行います。


切り戻しとは?

切り戻しは、伸びた枝を短く切る剪定方法です。
(剪定自体を切り戻しと呼ぶ場合もあります。)

株元の新芽だけを残して切り戻してあげることで、生長自体は止めずに伸びすぎた茎葉を除去します。

増えすぎた枝を切り、株元に空間を作り風通りを良くする効果もあります。

主に、株の若返りを図り、元気な状態にしてあげるために行います。



剪定はいつやるの?

育てているハーブの種類や生育具合、または花の時期などによって剪定のタイミングは異なります。

厳密に「いつ行う」ということは決まっていませんが、暑さや寒さの落ち着いている春や秋に行うのが一般的です

例えばこんな時に行います

▶︎茎の先に花芽がついた時。
▶︎葉や茎が茂り過ぎて蒸れてしまいそうな時。
▶︎こんもりとした株に育てて収穫量を増やしたい時。
▶︎株が古くなり元気がなくなってきた時。

▶︎開花期をすぎて、花殻を除去する時。
▶︎冬越しの準備を行う時。




最後に

今回は、ハーブの剪定作業を理解するための第一歩として「なぜ剪定を行うのか?」「いつ行うのか?」という点に絞って解説させていただきました。

余談になりますが、筆者もハーブ栽培を始めるまでは剪定の目的や重要性をしっかりと理解しておらず、「なんとなく格好良い株に育てるための作業」くらいに考えていたのですが、剪定を甘くみていたことが原因で何度も枯らしてしまった経験があります。

しかし、手探りしながらも、摘心や切り戻しを適宜行うようになってからというもの、徐々にハーブ達が元気で育ってくれるのを目の当たりにして、その重要性を認識するようになりました。

これからハーブを育てはじめる、または育てはじめたばかりという皆さんは、本記事を参考に日常のお手入れに活かしてください。

特に梅雨から夏にかけての剪定は元気なハーブを育てるために必須の作業です。よろしければ下記の記事もあわせてご覧ください。


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豆知識
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