初心者でも簡単!お茶や虫除けに役立つ【レモンバーム】の特徴と育て方

はじめに

茂った葉から漂う爽やかなレモンの香りで人気のレモンバーム。このハーブは古代ギリシャの時代から、人々の暮らしを彩る貴重な存在として愛されてきました。

現代でもその魅力は健在で、ハーブティーや精油としてだけでなく、化粧品やサプリメントの原料としても幅広く活用されています。

また、別名「ビーバーム(bee balm)」と呼ばれるほど、初夏に咲く小さな白い花はミツバチたちの大好物。開花期には、株の周りを飛び回る愛らしい姿を見ることができるでしょう。

さらに、レモンバームは生育が旺盛で育てやすく、初心者でも簡単に栽培を楽しめます。日常生活に取り入れやすく、多用途で使えるこのハーブは、これからハーブ栽培を始める方にもぴったりです。

今回は、そんな魅力たっぷりのレモンバームについて、その特徴や育て方、活用方法をわかりやすくご紹介します!



レモンバームについて

基本情報

レモンバーム

学名Melissa officinalis
別名メリッサ、ビーバーム、
コウスイハッカ etc
原産南ヨーロッパ、西アジア
科名シソ科メリッサ属
分類多年草
大きさ50〜80cm程度
開花時期6〜7月
耐性耐寒性:あり
耐暑性:あり
活用法ハーブティー、料理、
お風呂、精油 etc

レモンバームの学名に含まれる「Melissa(メリッサ)」は、ギリシャ語で「ミツバチ」を意味します。この名前の由来は、レモンバームがミツバチを引き寄せる植物として古くから知られ、養蜂のために栽培されていたことにあります。

また、学名の語尾に付けられている「officinalis(オフィキナリス)」はラテン語で「薬用」や「薬効」を意味します。この名前からも、レモンバームが薬効のある植物として長い歴史を持つことがわかります。

16世紀には、スイスの医師パラケルススがレモンバームを「若返りの妙薬」と呼び、その効果効能を高く評価していました。

officinalis」という言葉は、他の薬効のある植物にも広く使われています。例えば、抗菌作用で知られるセージの「Salvia officinalis」や、ヨーロッパで古くから沈静効果があるとされるバレリアン(セイヨウカノコソウ)の「Valeriana officinalis」など、いずれもその薬効を示す名前として名付けられています。


レモンバームはシソ科の多年草で、葉はミントに似たハート型をしています。縁が鋸歯状にギザギザしているのが特徴で、茎や葉には薄い毛が生えているのが観察できます。

株の成長は早く、脇芽がどんどん伸びてこんもりと茂り、高さはおよそ70cm〜80cmほどになります。開花期は初夏(6〜7月頃)で、小さな白い花を咲かせます。この花は控えめで目立たないものの、なぜかミツバチたちはその存在を察知し、集まってくる姿が見られます。

もし収穫を目的とする場合は、収穫期間を長く保つために、花が咲いたらすぐに切り取るのがおすすめです(ミツバチには申し訳ないですが…)。

冬になると地上部は一度枯れますが、翌春には新芽を出して再び元気に育ち始めます。そのため、初心者でも手軽に育てられる丈夫なハーブとして人気があります。



活用方法

レモンバームは以下のような用途で日常生活に役立てることができます。気になる項目をクリックすると、詳細情報へジャンプします!

・ハーブティー
・料理
・お風呂
・ポプリ
・虫除け


① ハーブティー

レモンバームティーは手軽に楽しめる癒しの一杯です。

・生葉を使う場合
摘みたての葉を軽く洗い、ティーポットに入れてお湯を注ぎ、約5分蒸らすだけで、フレッシュなレモンバームティーが完成します。

・乾燥葉を使う場合
ティースプーン山盛り1杯程度の乾燥葉に、150ccのお湯を注ぎ、約3分蒸らすだけ。葉を砕いてから淹れると濃いめの味わいに仕上がるので、お好みに合わせて調整してください。

レモンバームティーは、ヨーロッパの一部で食欲不振や胃腸の不調を和らげるために用いられています。また、他のハーブや紅茶、緑茶とブレンドすることで、多彩なフレーバーを楽しむことができます。



② 料理

・生葉の活用
レモンバームの生葉は、ケーキや蒸しパンの生地に練り込むと、酸味を抑えたレモン風味を加えることができ、見た目の彩りにもぴったりです。また、お菓子や料理の飾り付けにもおすすめです。

さらに、生食も可能なので、少量を刻んでサラダに混ぜたり、ドレッシングやソースに加えることで、一味違った爽やかな風味を楽しむことができます。

・乾燥葉の活用
乾燥した葉をミルで細かく砕き、お好みのハーブや塩と混ぜ合わせれば、自家製のレモン風味ハーブソルトが完成!肉料理や魚料理の下味、サラダのアクセントに最適です。

下記のページでは、ハーブを料理するときに便利なアイテムをご紹介しています。ご興味ある方はあわせてご覧ください。



③ お風呂

レモンバームには、シトラールという香り成分が含まれており、レモンのような爽やかな香りを楽しめます。この香りはリラックス効果抜群で、クセがないため、子どもから大人まで幅広い世代で楽しむことができます。

【バスハーブとしての使い方】

レモンバームをお風呂で使う手順はとても簡単!以下のステップで試してみましょう。

  1. 収穫
     茎ごと剪定バサミで切り取ります。
  2. 束ねる
     収穫した茎をお好みの量に分け、輪ゴムや紐で束ねます。
  3. 洗浄
     水で土や埃をしっかり洗い流します。
  4. 浴槽に投入
     お湯を張る前に、束ねたレモンバームを浴槽に入れておきます。
  5. お湯を張る
     お湯を張れば準備完了!爽やかな香りを楽しみながら、リラックスしたひとときを過ごしてください。
使用する際のポイント

・束ねるハーブの量は、浴槽の大きさや香りの強さに合わせお好みで調節してください。
・葉が茎から取れて浴槽内が散らかってしまうことがありますので、布袋や洗濯ネットなどに入れて使用しましょう。


④ ポプリ

乾燥させたレモンバームの葉や茎は、ポプリやサシェとしても楽しむことができます。香りが優しく広がり、リラックスした空間を演出します。

ただし、レモンバームは乾燥させると香りが薄くなるため、単体で使うよりも他のハーブとブレンドするのがおすすめです。ラベンダーやミントなど、香りの相性が良いハーブを組み合わせれば、より豊かなアロマを楽しめます。

また、乾燥した茎は硬くなりやすく、柔らかい布地の袋を使用すると袋に穴を空けてしまうことがあります。そのため、茎を使う際は葉だけをしごき取って使用すると安心です。


ご家庭で天日干しされる方は、下記の記事もあわせて参考になさってください。


⑤ 虫除け

レモンバームは、虫除け効果のあるハーブの一つ。特に蚊除けとして活用できます。手作りの無添加虫除けスプレーは簡単に作れるので、ぜひ試してみてください!


【超簡単!レモンバーム虫除けスプレーの作り方】

(材料)
A: レモンバームの葉 3グラム程度
B: 精製水 25ml
C: エタノール 10ml
その他:スプレーボトル 1本

(作り方)
1:A〜Cの材料をスプレーボトルに入れる
2:ボトルに蓋をして振る
3:一晩寝かせたら葉を取り出す

※注意※
乳幼児や妊婦さん、肌が極端に弱い方は、直接つけるのを控え衣類やベビーカーなどにつけるようにしましょう。また、肌に合わない場合はすぐに使用を中止してください。



レモンバームを育ててみよう!

種まき&植え付け

生育環境としては、日当たりが良い場所を好みます。

猛暑で直射日光に当たり続けると葉が硬くなり日焼けを起こすことがありますので、鉢植えの場合、夏の暑い時期は半日陰に移動するか、最初から半日陰の環境を選んで植え付けることをおすすめします。


<種子から育てる>
▶︎発芽温度は20℃前後。
▶︎春まきは3〜6月頃、秋まきは9〜11月頃です。

▶︎地面に直接播いても、育苗ポットに播いても結構です。
▶︎種子をばら播きするように薄く均等に播き、薄く(2mm〜3mm程度)覆土して、日当たりの良い場所で乾燥しないように管理します。
▶︎環境にもよりますが、1〜2週間程度で発芽します。
▶︎育苗中の水やりは、種子が流れないように霧吹きなどを使用すると便利です。
▶︎発芽後は混み合った部分を間引きしながら生長具合の良い株だけを残していきます。
▶︎(育苗ポットに播いた場合)本葉が4〜5枚くらいになったら地面に植え付けます。

レモンバームは苗がある程度の大きさになってからは生育旺盛になりますが、種子が発芽してしばらくは生長速度が遅めですので、焦らず根気よく育てていきましょう!

レモンバームの苗、種子を早速チェック!

高評価のおすすめ苗↓↓



<苗の植え付け>
複数の株を植え付ける場合は、株間は30〜40cm程度またはそれ以上の間隔をあけて植え付けます。(直播きの場合は、株間の距離を予め想定して播きましょう。)

鉢で一株だけ育てる場合は、8号鉢(直径24cm程度)以上のサイズを用意しておけば安心です。

年々、株が大きくなって鉢が窮屈になってくると根詰まりすることもありますので、様子次第で1〜2年経ったら更に大きな鉢に植え替えるか、または株分けして植え直しましょう。


土は市販の元肥入り園芸用土で問題ありません。

レモンバームは保水性の良い土を好みますので、ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土腐葉土を半々で配合するのがおすすめです。



日常管理

◆水やり
地植えの場合は、根付いた後の水やりは必要ありません

鉢植えの場合は、土の表面がやや乾いたらしっかりと与えてください。

生育旺盛な時期は根からの吸収も多くなりますので比較的乾きやすくなります。

※高温で乾燥する時期にはハダニ防除の為に葉水をかけましょう。朝や夕方の涼しい時間帯に、葉の表と裏にシャワーで水をかけてあげます。


◆剪定

生長してくると株の内部が蒸れてきます。茎や葉が茂りすぎて窮屈になっている部分があれば剪定して風通しをよくしてあげましょう。

花が咲くと葉が硬くなり弱り始めます。収穫も兼ねて、咲き始めまたは咲く直前に高さを半分ほどに切り戻してあげましょう。

切り戻すことで新しい芽がでてくるので、収穫時期を延ばすことができます。


◆肥料
園芸用土を使った場合は元肥が入っているのでしばらくは肥料を入れる必要はありませんが、生育期の4〜6月は緩効性肥料を、剪定後は液体肥料などを利用して養分を補充したほうが生育が衰えません。

肥料の基本については下記のページも是非参考になさってください。


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◆病害虫
風通しが悪くなることによりアブラムシハダニが発生することがあります。日々チェックして発見したら早めに駆除しましょう。

事前の備えとしては、株を適宜剪定してなるべく風通しの良い環境を作ってあげること、または「水やり」の項で説明した通り、葉水をあげて防除することです。

ハーブ栽培における害虫対策について知りたい方は下記のページを参考になさってください。


収穫

レモンバームは長い期間収穫できる嬉しいハーブです。葉のある時期はいつでも収穫可能です。

フレッシュなまま利用するのがおすすめですが、たくさん収穫した場合はフリーザーバッグに入れて冷凍保存できます


乾燥させてドライハーブにする場合は、一番香りが強くなる開花直前に茎ごと刈り取ります。

刈り取ったものを束ねて涼しく風通しの良い場所に吊るし、水気が抜けるまで乾燥させます。

乾燥したら葉を茎からしごき落とし、密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。


自然乾燥の場合はカビが発生するリスクもありますが、家庭用のフードドライヤーであれば乾燥時間も短く安心です。

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挿木で増やしてみよう!

レモンバームは切り戻した茎を利用して挿木で増やすことができます。

<挿木の方法>

1:硬めの茎を選び、2〜3節をつけて葉を落としたものを「挿し穂」に使用します。
2:挿し穂は30分〜1時間程度水に浸けておきます。
3:清潔な挿木用の土、または小粒の赤玉土をさし床にします。
4:さし床を湿らせておき、割り箸などで穴を開けたら、さし穂をさして覆土します。
5:根が出るまでの期間は、直射日光を避け土が乾燥しないように管理します。
6:根が十分に伸びたら、新芽の上で少し切り戻してからプランターや地面に植え替えます。


最後に

レモンバームは育てやすく、香りや使い道が豊富な魅力的なハーブです。初心者の方でも手軽に始められるので、ガーデニングやハーブ栽培をもっと楽しみたい方にはぴったり!

ぜひ、ミツバチたちと一緒に、レモンバームを育てる豊かな時間を楽しんでください。そして、その香りや味わいを日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?


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