はじめに
これまで日本では、「ジャム」と言えばイチゴジャム、ブルーベリージャム、リンゴジャムなどが主流でした。
しかし、最近は加工技術の向上や輸入食品を扱うお店が増えたこともあり、様々な原料を使ったジャムが販売されるようになりました。
今回ご紹介する「ルバーブ」を使ったジャムもその一つで、特に自然食品店や高級食材店でよく見かけます。
他の農産物ように身近なスーパーではあまり見かけることのないルバーブですが、不思議なことに、長野県に入った途端に道の駅や直売所で販売されているのを目にするようになります。
それもそのはず、長野県は国内でも有数の産地で、他県に比べると入手しやすい場所なのです。
特に、県中部に位置する富士見町には生産組合もあり、町の特産品として加工したものを百貨店などを通じて全国に発信しています。
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日本の家庭食材としてはあまり馴染みのないルバーブ。
見たり聞いたりしたことはあるけど、多くの方にとってはまだまだ未知の存在かもしれませんね。
ということで、今回は「ルバーブ」とは一体どんな植物なのか、栽培方法なども含めて解説していきたいと思います!
ルバーブについて
基本情報
ルバーブ
学名 | Rheum rhabarbarum |
別名 | ショクヨウダイオウ、 セイヨウダイオウ etc |
原産 | シベリア南部 |
科名 | タデ科ダイオウ属 |
分類 | 多年草 |
大きさ | 50〜100cm以上 |
開花時期 | 4〜6月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | 主に料理 |
丸みのある大きな葉としっかりした茎の見た目から、山菜のフキのような株姿のルバーブは、タデ科の植物で「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」という別名を持っています。
ダイオウ(大黄)とは漢方の材料として知られる薬用植物で、この薬用大黄を食用に改良したものが食用大黄、つまりルバーブです。
地植えにすると半畳ほどの面積を埋めるくらい大きな株に成長し、生育旺盛なことから、ヨーロッパでは雑草として扱われることもあります。
葉や茎のイメージだけが先行して、あまり花についてはご存知ない方も多いですが、ルバーブは春から夏にかけて花を咲かせます。
食用に栽培されている場合、収穫期を長くするために花穂が出たら早めに切ってしまいますので、農家さんでなければあまり目にすることもないですが、中々面白い形をしています。
シベリア原産というだけあって寒さには強く、冬場は一旦地上部が枯れますが春になると再び芽吹き始めます。
前述した長野県富士見町の標高は高いところで1,400mほどあり、毎年最低気温が毎年−10℃を下回りますので、ルバーブがいかに寒さに強いのか分かります。
また、寒さにあたった方が赤く鮮やかな発色をすると言われていますので、長野県や北海道で栽培が盛んなのもうなずけます。
活用方法
葉の部分には毒素が含まれますので(→後述いたします)、茎の部分を利用します。
① ジャム
ジャムは、ルバーブの茎と砂糖さえあれば家庭でも簡単に作ることができます。
(お好みでレモン汁や白ワインなどを加えても風味が増します。)
ルバーブはそのまま生食すると酸味が強すぎるため、ジャムに加工することで酸味を生かしたフルーティーな味を楽しめます。
もちろんパンに塗ってもパンケーキに添えても良いですし、ヨーグルトのトッピングにもおすすめです。
材料として使う茎の色によってジャムの色も変わりますので、お好みで材料を調達しましょう。
(赤いジャムを作りたいけど、どうしても赤いルバーブが手に入らない…という方は、いちごとブレンドして作ることで少しは赤みのあるジャムに仕上がります。)
「ルバーブジャム」のレシピはこちらから(外部リンク:cookpadのサイトへ)
② パイ / タルト
アメリカでは「パイ・プラント」というニックネームでも呼ばれるくらい、ルバーブはパイやタルトに向いています。
甘く調理してフィリング(パイの中身)として使用するのですが、ボリュームのある茎は食べ応えもあり、もし自分で育てられることができればベリー系のフルーツを使うよりも格段にコスパが良いです。
ルバーブの茎は熱が加わると形が崩れやすいので、注意しないとフィリングを作ろうと思っていたはずがジャムになってしまします・・・調理の際はご注意ください。
ルバーブを使ったパイやタルトのレシピはこちらから(外部リンク:cookpadのサイトへ)
③ シロップ
氷砂糖などを使って作るシロップは、夏場にソーダ割りにしたりスムージーに加えて楽しむことができます。
また、お酒とも相性が良く、特に赤いルバーブを使ったシロップは、カクテルの色付けとしてもおすすめです。
下記のページでは、ハーブを料理するときに便利なアイテムをご紹介しています。ご興味ある方はあわせてご覧ください。
ルバーブを育ててみよう!
日本では高級食材とされているルバーブですが、家庭でも育てることができます。
ここからは育て方について解説していきますので是非参考にしていただければと思います。
植え付け
生育環境としては、日当たりと風通しが良い場所を好みます。
ただし、夏場の高温を嫌いますので、なるべく西日の当たらない涼しい場所で育てましょう。
ルバーブの苗やタネは、春先に一部のホームセンターでも出回ることがありますので、お近くのお店に問い合わせてみましょう。
全国のホームセンター検索はこちらから(リンク先:日本全国ホームセンターマップ)
もし見つからない場合は、ネットショップでも入手可能です。
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<種子から育てる>
▶︎発芽温度は20〜25℃。
▶︎春まきは4〜5月頃、秋まきは9〜10月頃です。
▶︎育苗トレイ場合は種子をなるべく均等にばら播き、5mm程度覆土して、日当たりの良い場所で乾燥しないように管理します。(育苗中は乾かないように水やりを行います。)
▶︎環境にもよりますが、2週間程度で発芽します。
▶︎発芽後した後は、葉と葉が触れ合わない程度に間引きます。
▶︎本葉が2〜3枚になったら育苗ポットに仮植え、更に4枚程度になったら地面(または鉢に)植え付けます。
<苗の植え付け>
苗が準備できたら早速植え付けていきます。
ルバーブは成長すると大きな株になる植物ですので、複数の株を植え付ける場合は、株と株の間に最低でも50〜60cm程度の間隔を空けましょう。
大型の鉢(10号以上のサイズ)や樽鉢であれば、一株を鉢植えで育てることも可能です。
水はけがよく弱アルカリの肥沃な土を好みます。
市販品であれば、元肥入りの園芸用土(培養土)で問題なく育ちますが、植え付け前に苦土石灰を混ぜ込んであげれば更に生育が良くなります。
ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3くらいの割合がおすすめです。
日常管理
◆水やり
地植えの場合、根付いてからは水やりの必要はありませんが、乾燥した日が続いたらしっかりあげましょう。
(根腐れの原因となりますので、土の表面が少しでも濡れているような場合は水やりを控えましょう)
鉢植えの場合は表面が乾いたら、鉢底から余分な水が流れ出るくらいしっかりと与えます。
◆肥料
園芸用土を使う場合は元肥は入りません。
はじめに肥料分が多いと生長は早いですが、茎が折れやすくなりますので気をつけましょう。
植え付けから1ヶ月ほどしたら緩効性肥料で追肥をします。生育期間中は、その後も月1回程度で追肥を行えば十分ですが、あくまで茎葉の様子を見ながら行いましょう。
葉が黄色くなってきたり、新葉が中々出てこない時は肥料切れのサインです。その場合は即効性の液肥を挙げて少し様子を見ましょう。
◆病害虫
春先に葉がアブラムシの食害を受けることがあります。
葉は食用として使いませんので、虫食い跡は気にしなくても良いですが、新芽につくと株の生育自体が悪くなりますので早めに駆除しましょう。
特に春と秋に発生しやすいのが「うどん粉病(※)」です。
うどん粉病は菌糸や胞子で増えていきますので、もし葉の表面に白い箇所を見つけたら早めに対処が必要です。
虫がついたりうどんこ病が発生した直後は、家庭でも簡単に作れる「重曹スプレー」や「酢水スプレー」などで、ある程度まで対応可能です。(勿論、市販の薬剤のような効き目はありませんが安心安全第一という方は、この方法をおすすめします)
害虫対策や日常管理については下記のページも参考になさってください。
収穫
ルバーブの収穫は植え付け後、2年目以降から収穫できるようになります。
1年目は葉の数も増えず、収穫できませんので、丈夫で充実した株を育てることに専念しましょう。
タイミングは草丈が30〜50cmくらいに生長した頃です。
茎の付け根から切って収穫し、葉の部分を切り落とします。(葉は食用にできませんので除去して構いません。)
冷蔵の場合
▶︎ネギなどと同じように新聞紙に包んで野菜室で保存。1週間程度は鮮度が保てます。
冷凍の場合
▶︎2〜3センチくらいに切ってフリーザーバッグに入れ冷凍庫で保存。半年程度は使用できます。
栄養素と毒素
ルバーブの茎には食物繊維やビタミンC、カリウムなどの栄養素がたっぷりと含まれており、腸内環境を整え便秘解消にも役立つと言われています。
その一方で、葉には「シュウ酸」や「シュウ酸塩」「アントラキノン」という成分が含まれており、摂取すると胃痛や下痢、嘔吐などの中毒症状を引き起こすと言われていますので、食用にする方は茎のみを使用し、葉は絶対に使用しないでください。
食品安全委員会でも注意喚起がされていますので、詳しい内容は下記のリンクからご確認ください。
参考サイト:食品安全委員会 食品安全総合情報システム 資料管理ID:syu01610010344
ルバーブの葉については、下記の記事でもう少し詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
最後に
今回は、身近なようでちょっと遠い存在の植物「ルバーブ」ついてご紹介しました。
最近、認知度が上がってきたとはいえ、まだまだマイナーな植物だと思いますので、育てたことがないという方は是非一度ご家庭で育てその魅力に触れていただければ幸いです。
マイナーな植物といえば、他にも「アーティチョーク」というものがあります。
下記のページで育て方や活用法についてご紹介していますので、是非ご一読ください。