はじめに
お庭や畑がなくてもアパートやマンションにお住まいでもハーブを育てて楽しめるのが「鉢植え栽培」です。
読者の皆さんの中には、鉢やプランターを利用してハーブを育てている方も多いと思いますが、庭や畑の地植えと違い鉢植えは何かと手のかかる場合もあります。
本記事では、ハーブを鉢で育てるメリットとデメリット、そして日常管理で気をつけるポイントなどをご紹介いたします。
鉢植え栽培の特徴
まずは鉢植え栽培の特徴(メリットとデメリット)をそれぞれ見ていきましょう。
メリット
▶︎広い庭や畑を必要とせず、場所を問わずに園芸を楽しめる。
▶︎日当たり、風通しなどに応じて簡単に移動することができる。
▶︎繁殖力の強いハーブを必要以上に広げないよう制御できる。
▶︎土の入れ替えが簡単。
▶︎雑草管理が楽(除草範囲が狭い)
▶︎鉢のデザインによってインテリアとしても楽しめる。
このように、鉢植え栽培には多くのメリットがあるということがわかります。
デメリット
前述の通り、たくさんのメリットがあるのは嬉しいことですが、一方で、鉢やプランターのような限られたスペースで栽培するということは、本来自然の中で育つ植物にとって「不自然な環境」ということになります。
鉢植えのデメリットには以下のようなものが挙げられます。
▶︎根詰まりしてしまう。
▶︎肥料切れを起こしやすい。
▶︎定期的な水分管理(水やり)が必要
▶︎地植えほど大きく育たない。
以上のデメリットを踏まえて、私たちが日常管理で工夫しなければならないことを次の項でご説明します。
鉢植え栽培のデメリットを補う方法
では、ここからは鉢植え栽培のデメリットを補うために必要な作業やポイントを見ていきたいと思います。
植え替え
庭や畑のような広い場所とは違って、鉢やプランターは根の張る空間が限定されているため、ある程度生長した段階で根の行き場がなくなってしまいます。
その結果、窮屈な鉢内で根が窒息状態になり、最終的には生育不良に陥ってしまいます。
▶︎水やりをしても中々土に浸透していかない。
▶︎土を押すとガチガチに硬い、またはパンパンに張っている感触がある。
特に多年草の場合は、年々根を張って株が大きくなりますので、植えてから1〜2年後にはワンサイズ上の大きな鉢に植え替えをしてあげましょう。
植え替えの手間がかかるので「苗が小さいうちから大きい鉢に植えたら?」と考える方もいるかと思いますが、株の大きさと不釣り合いのサイズの鉢を使用すると、与えた水分が行き渡らなかったり、吸い上げる量が少ないので逆に水分過多になる可能性があります。
鉢を用意する際は、苗の一回り〜二回りくらいの大きさを選びましょう。
植え替えについて詳しく知りたい方は、下記のページもあわせてご覧ください。
液肥の活用
地植えの場合は、畑や庭の地面に植えているわけですから、自然の営みによって栄養分が地面に蓄積されます。
つまり、鉢植えに比べて、微量ながらも随時養分を作り出している環境にあるということです。
例えば、雑草は枯れた後にミミズやダンゴムシによって分解され養分として土に還り、その養分を植物が吸い上げます。
一方、鉢植えの場合は、生息している微生物が少ない(またはいない)ため、分解が行われず、日常的な水やりによって養分が鉢の外に流れ出たり、あるいは植物に吸い上げられることで徐々に土が痩せていきます。
そのため、定期的に肥料を与えなければ生育不良になってしまいます。
▶︎葉色が悪い。(本来の色より薄い)
▶︎花付きが悪い。
▶︎茎が伸びない。
特に生育期には多くの養分を必要としますので、水やりのついでに行える液肥を活用して鉢に養分を補うようにしましょう。
※今まで肥料を施した経験がないという方は、下記のページにて肥料についての基本を解説していますので、参考になさってください。
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適度な水やり
これは鉢植え栽培というより室内栽培のデメリットかもしれませんが、自然の雨風にさらされる地植えの場合と異なり、ベランダや室内での鉢植えは植え付け後も定期的な水やりが必要となります。
水分は多すぎても少なすぎても植物にとってマイナスになるため、私たちが毎日観察しながら適量を与えなければなりません。
多くのハーブにとって、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるというのが水やりの基本です。
特に、鉢を室内で管理している方は、エアコンによる乾きすぎや日照不足や無風状態による湿りすぎに注意しましょう。
水やりのコツについて、詳しくは下記のページで解説しています。
挿木や株分け
残念ながら、鉢植え栽培は、鉢・プランターのサイズの範囲でしか株を大きくすることができません。
従って、収穫量を増やしたいという場合には、鉢のサイズを更に大きなものにするか、複数の株に分けて鉢の数を増やしましょう。
ハーブの種類によっては、既に育てている一株を利用して挿木や株分けで株数を増やすことができますので、是非チャレンジしてみてください。
※挿木の方法については「レモンバーム」を例に解説していますので、下記ページをご参照ください。(クリックしていただく、記事内の該当箇所へジャンプします。)
最後に
「鉢植え栽培はメリットが多い」とよく言われますが、デメリットを補わずにいると植物の生長にとって致命的な結果にをもたらすこともありますので、本記事でご案内した内容を取り入れ日々の管理に活かしていただければと思います。
室内栽培に特化した鉢植えの管理方法などは下記のページでもご紹介していますので、よろしければあわせてご覧ください。
レモングラスの鉢植え栽培についてご興味ある方は下記のページもご参照ください。