はじめに
ガーデニングシーズンを迎えると、春から夏にかけて様々な草花が元気よく生長し私たちの目を楽しませてくれます。
しかし、それと同時にパワー全開で生長し始めるのが強靭な雑草たち。
お庭での優雅なひとときは、ある時期を境に雑草と対峙する戦場と化します。。
広いお庭や畑で植物を育てている方にとって毎年訪れる過酷な作業が「除草」です。
今回は、植物を育てはじめて最初の除草シーズンを迎える方に向け、雑草の増殖を軽減するための方法や様々な除草方法のメリット・デメリットを紹介させていただきます。
・これから家庭菜園や庭づくりをはじめる方(園芸初心者)
・毎日お庭の除草作業に追われている方
・効果的な雑草管理方法を知りたい方
雑草を増やさない最善策とは?
除草の手間を減らしたり、効率的に行う方法はいくつかありますが、何よりもまず「種子を作らせない、発芽させない」ということが一番の方法です。
雑草を完璧に無くすことはほぼ不可能に近いですが、対処すべき量を減らすことは十分可能です。
当然のことですが、雑草が減ることで必然的に作業時間が大幅に削減できます。
除草をする上で念頭におきたいポイントとしては以下の2点です。
①光合成をさせない
ほとんどの植物は光合成により養分を作り出し生長します。
光合成は地上部の葉や茎などで行われていますので、その部分を刈り取って地上部を小さくしたり、他の植物の陰になるようにすれば、その植物は消耗し続け小さくなっていきます。
グランドカバーに適したハーブを活用して地上部を覆ってしまうのも一つの方法です。
ほふく性のタイムは雑草抑えとして優秀なハーブですので、ご興味ある方は下記のページもあわせてご覧ください。
雑草対策におすすめのタイム苗↓↓
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②種子をつける前に刈り取る
雑草の繁殖力の秘密は種子にあります。そのため、その種子が作られる前に刈り取ってしまうということが本来は一番有効な手段です。
以前こぼれた種子が休眠して、数年間は生えてくることがありますが、その生えてきた雑草も種子が作られる前に刈り取ってしまえば、いずれその雑草は敷地から姿を消します。
ただし、雑草の中には種子を作るまでの期間が非常に短い種類もありますので、見つけたら早めに対処する必要があります。
雑草の種子のメカニズムについては下記のページを参考になさってください。
以上の2点を地道に続けていれば、ある年を境に一気に庭や畑の雑草が減っていることを実感するでしょう。
まずは生えている雑草が具体的にどの植物なのかを特定し、繁殖方法(種子のできるサイクルや開花時期など)を理解した上で対策することが必要となります。
さまざまな除草方法(メリットとデメリット)
「雑草を増やさない対策」を行なっても、完璧に雑草を排除するというのは非常に難しいことです。
やはり日常的に除草を続けていくことは必要ですし、皆さんが小さなお庭を管理しているのか、それとも大きなお庭を管理しているのかによって、効果的且つ効率的な方法は変わってきます。
ここでは、下記の除草方法についてそれぞれメリットとデメリットをご紹介したいと思います。
尚、この項では各方法の特徴を下記の4項目に分けて星1つ〜星5つで評価しています。
・効率 → 効率が良いほど星の数が多い
・効果 → 効果が高いほど星の数が多い
・コスパ → 低コストでできるほど星の数が多い
・環境への配慮 → 環境付加が低いほど星が多い
手作業
効率 | ★ ★ |
効果 | ★ ★ ★ ★ |
コスパ | ★ ★ ★ ★ ★ |
環境への配慮 | ★ ★ ★ ★ ★ |
【メリット】
▶︎人の手、または草刈鎌一つで行えるのでコストや環境負荷をかけずに行える。
▶︎雑草一つ一つの様子を見ながら作業するので、各雑草の性質にあった効果的な除草ができる。
▶︎エクササイズになる。
【デメリット】
▶︎時間がかかる。敷地が広い場合、特に雑草の生い茂る季節には、生長スピードに追いつかない。
▶︎腰への負担が大きく、腰痛の原因になることもある。
手または道具一つですぐに作業できますので、小面積の庭は人の手で行うのがベストです。
土を触りながら植物のことをよく観察できるという点においても手作業のメリットは大きいと思います。
ただ、身体的な負担がかかりますので、作業中はなるべく楽な姿勢で行いましょう。
腰痛が心配な方は「白石接骨院いとう」様のホームページで、”草むしりの時に負担を少なくする姿勢はコレ!”という記事をご覧ください。
草むしりの際の無理な姿勢、セルフケアなどが簡潔にまとめられており参考になりました。
機械
効率 | ★ ★ ★ ★ ★ |
効果 | ★ ★ ★ |
コスパ | ★ |
環境への配慮 | ★ ★ |
【メリット】
▶︎短時間で広い範囲を除草できる。
▶︎除草後の景観が綺麗に整う。
【デメリット】
▶︎土地の形状によっては刈り残しが出る場合もある。
▶︎初期投資がかかり、その後も燃料代や交換パーツ代がかかる。
▶︎エコフレンドリーではない。
▶︎手作業に比べて怪我のリスクが高い。
筆者も機械での除草を度々行いますが、年間を通すと燃料費や換えのパーツなども含めて結構費用がかさみます。
広範囲を除草する場合は仕方ないのですが、コスト面を考えると、無駄に使い続けるのはお財布に厳しいです。
除草用機械といっても、充電式・燃料式の草刈り機から芝刈り機など、また価格も1万円前後の安価なものから10万円以上する本格的なものまで様々ありますので、使用を検討されている方は管理面積と使いやすさを考慮してご購入ください。
防草シート
効率 | ★ ★ ★ ★ |
効果 | ★ ★ ★ ★ ★ |
コスパ | ★ ★ |
環境への配慮 | ★ ★ ★ |
【メリット】
▶︎地面を覆うため、雑草に光合成をさせない。
▶︎一度張ってしまえば日常管理はほぼ必要ない。
【デメリット】
▶︎耐用年数を迎えると張り替える必要があり、古いものはゴミになる。
▶︎張る時と張り替えるときにコストがかかる。
▶︎景観的に美しくない。
ポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどの種類があり、材質によって耐用年数が異なります。
一番強いのはポリエステルで、10年ほどは張りっぱなしでOKです。
最初は手間もコストもかかりますが、一度貼ってしまえば、その場所は除草の心配がほぼなくなります。
非常に効果的な除草…というよりは防草方法ですが、人工的な見た目になってしまうので、お庭など景観を重視したい場所にはあまりオススメできないかもしれません。
「おすすめ情報サービス mybest」さんのサイトにて、材質や使い方について分かりやすく掲載されています。
高評価のおすすめ防草シート↓↓
価格:5,680円 |
除草剤
効率 | ★ ★ ★ ★ |
効果 | ★ ★ ★ ★ |
コスパ | ★ ★ ★ |
環境への配慮 | ★ |
【メリット】
▶︎根まで枯らすため、しばらく雑草が生えてこない。
▶︎撒くだけなので楽に作業できる。
【デメリット】
▶︎環境負荷が大きい。
▶︎風に流されて別の植物まで枯らす可能性がある。
▶︎土が痩せてしまうことがある。
▶︎人体への影響が懸念される
ホームセンターで簡単に入手でき、徹底的に雑草を殲滅したいという方、作物を出荷していて雑草による生産リスクを軽減したい方に使用されていることが多いです。
ただし、除草剤が土や人体に与える影響についてはまだまだグレーな部分が多いと感じますので、もし使用を検討されている方は、事前にその成分や使用方法をしっかりと理解していただきたいと思います。
日本は世界でもトップクラスの農薬使用大国ですが、2021年に農林水産省から「みどりの食糧システム戦略」という長期的なビジョンが発表され、有機農業の促進や農薬使用についても言及しています。
(除草剤については、関連トピックが多岐にわたりますので、また別途記事を作成したいと思っています。)
ヤギ
効率 | ★ ★ |
効果 | ★ ★ ★ |
コスパ | ★ ★ |
環境への配慮 | ★ ★ ★ ★ ★ |
【メリット】
▶︎放牧しているだけで敷地内の草を食べてくれる。
▶︎除草作業しにくい斜面でも登って草を食べてくれる。
▶︎癒しの存在になってくれる。
▶︎エコフレンドリーである。
【デメリット】
▶︎人間の願った通りには働いてくれない。(除草にムラがある。)
▶︎除草にムラがある場合は人間が除草作業することになり、二度手間になる場合がある。
▶︎ヤギ小屋や飼料、水などが必要になる。
▶︎寿命がある。
田んぼの場合はアイガモを使って除草したり、養鶏をされている方はニワトリを使って除草するケースもあります。
ただし、動物に作業してもらうわけですから、効果や確実性という面においてやはり限界があります。
動物を飼うのが好きな方や、既に飼っている方が試してみるには良い方法だと思いますが、除草効果としてはあまり期待できませんので悪しからず。
自然に任せる
効率 | ????? |
効果 | ????? |
コスパ | ★ ★ ★ ★ ★ |
環境への配慮 | ★ ★ ★ ★ ★ |
「自然に任せる」というのは、裏を返せば「人間は何もしない」ということになりますので、今回の記事の本質からすると0点となりますが、自然界の視点に立てば100点満点と言えます。
人間が手を加えない土地は、時間をかけて森になっていく性質を持っています。森になった土地には豊かな生態系が成り立ち、生物循環の仕組みを作ってくれます。
豊かな生態系には様々な生き物が生まれ、その生き物たちが自然の摂理に基づいて命を育み、役割を持って調和する完璧な形になっていきます。
人間が栽培している野菜や花は、元々野生種だったものを栽培品種として改良したものが殆どであり、雑草と比べて弱く、手をかけずには生き残れません。除草とはその作業の一つというわけです。
時には自然界の視点から「私たちの求める効果や効率」というものが何に基づいているのかを再認識するのも大切なことだと考えます。
雑草を活かす
いつも邪魔者扱いされてばかりの雑草ですが、考え方や方法によっては、排除すべきものではなく非常に役立つ愛すべき存在になり得ます。
ここでは、雑草環境を逆手に取った活用方法をご紹介します。
草抑えの資材として
皆さんは刈り取った雑草をその後どう処理されていますか?
中には、ゴミとして出す方や、または、一箇所にまとめて自然分解させて堆肥を作るという方もいらっしゃるでしょう。
筆者は、刈り取った場所にそのまま敷いて分解させたり、作物の株元に敷き詰めて「草マルチ」として活用します。
草マルチは、刈り取った雑草をそのまま利用し、前項でご紹介した防草シートと同じ役割をさせるための方法です。
もちろん、完全に地面を覆うにはかなりの量が必要となりますので、敷き詰める範囲は株元だけに限定していますが、保湿効果や保温効果もあり、作物にとって良い環境を作り出します。
厚く敷けば敷くほど、株元付近の雑草の光合成も抑制しますので、除草の手間も多少は軽減される効果的な活用方法です。
また、雑草の一部には、土地に不足している養分を補う性質もありますので、また大地に還してあげることで肥料分として土を肥沃にしてくれる効果も見込めます。
雑草を農業資材の防草シートのように、または土を豊かにする肥料として活用できると思えば、草刈り作業も前向きな気分で取り組めます!
注)実のついている雑草、既に種子ができてしまった雑草は、草マルチとして極力使用しないようにしましょう。種がこぼれてまた雑草が生えてくる原因になります。
土壌性質を知るヒントとして
雑草は、その種類によって好む土壌性質が違いますので、生えている草の種類によって畑や庭の土質を知る一つの指標となります。
例えば、ハコベやオオイヌフグリなどは中性土壌、カタバミやオオバコなどは弱酸性土壌、スギナや白いクローバーなどは強酸性土壌に生えてきます。
従って、皆さんのお庭に生えている雑草を理解すれば、そこがどんな性質の土質か理解することができ、土質が理解できれば、その土質にあった適切な植物を選んで育てることができるというわけです。
様々な雑草図鑑はこちらから最後に
自然に対する私たちの考え方や知識、地球を取り巻く環境などが変化する中、雑草の捉え方や除草の手段も以前と比べだいぶ多様性を帯びてきました。
今回ご紹介した除草方法には、それぞれメリットやデメリットがあります。
そして正解も不正解もありませんので、どんな除草の方法がベストなのか、皆さんがこの機会にじっくり考えるきっかけになれば幸いです。
広いお庭のあるご家庭や除草作業が追いつかない…という方は、専門業者さんへ依頼して、ワンシーズンに1〜2回、全体を綺麗に除草してもらうのも一つの方法です。
種子ができる前、短期間で敷地全体の除草を済ませることで徐々に雑草自体の繁殖力も弱まるのでオススメです!