ローズマリーが枯れる3つの理由と解決策!初心者向け育て方のポイント

はじめに

ローズマリーは、お庭のアクセントからお料理、ハーブティーまで幅広く活躍し、多くの人々に愛される人気のハーブです。しかし、「元気に育てていたはずなのに枯れてしまった…」という悩みを抱えている方も少なくありません。

私がハーブ苗専門店で働いていた頃、お客様から最も多かったご相談の一つが「ローズマリーのお手入れ方法」。特に、枯れてしまった原因についての質問が後を絶ちませんでした。

中でも多いのが「枯れてしまったのですが、何がいけなかったのでしょうか…」というご相談。

そこで今回は、ローズマリーが元気に育つためのコツや特性について詳しく解説します。「どうして枯れてしまうの?」「日常のお手入れで気をつけるべきポイントは?」そんな疑問にお答えしながら、大切なローズマリーを長く楽しむためのヒントをお届けします!



ローズマリーの特性

植物を健やかに育てるためには、それぞれの特性を理解することが欠かせません。これはローズマリーにも当てはまります。

植物はそれぞれ原産地の気候や環境に適応して成長しているため、適切なケアをするには、その生育条件を知ることが大切です。

まずは、ローズマリーがどのような植物なのか、基本的な特性を改めて確認していきましょう。

ローズマリーが枯れてしまう?

ローズマリー

学名Salvia rosmarinus
原産地中海沿岸地域
科名シソ科マンネロウ属
分類多年草(常緑低木)
大きさ30〜200cm
※品種や環境によって異なる。
花期11〜5月
※品種によって異なる。
耐性耐寒性:あり
耐暑性:あり 

※品種によって多少異なる。
活用法料理、精油、ハーブティー、
入浴剤、虫除け、 etc

2017年にローズマリーの学名が『Rosmarinus officinalis』から『Salvia rosmarinus』へと変更になりました。


”分類学の父”と呼ばれたスウェーデン人の「カール・フォン・リンネ」によって1753年に命名されたものが、260年もの年月を経て変更されたことで大変話題になりました。



ローズマリーが枯れてしまう3つの主な原因

ローズマリーが枯れる主な原因は、大きく分けて以下の3つが考えられます。


生育環境の問題(通気性・水はけ・日当たり不足)

ローズマリーは乾燥した環境を好みます。そのため、水はけの悪い土壌や風通しの悪い場所では、根が蒸れてしまい、根腐れを起こしやすくなります。

また、日光をたっぷり浴びることで元気に育つ植物なので、日当たりの悪い場所では成長が鈍り、最悪の場合枯れてしまいます。


剪定不足による蒸れと弱体化

ローズマリーは枝が密集しやすく、剪定をせずに放置すると、風通しが悪くなり、カビや病気の原因になります。また、古い枝が増えると新しい芽の成長が妨げられ、株が徐々に弱ってしまいます。


寒さに弱い品種を選んでしまっている

ローズマリーにはさまざまな品種があり、中には寒さに弱いものもあります。特に、冬の気温が低い地域では、耐寒性の低い品種を育てると、寒さでダメージを受けて枯れてしまうことがあります。


これらのポイントを押さえることで、ローズマリーを丈夫に育てることができます。次に、理想的な生育環境と、元気に育てるための具体的なポイントについて詳しく解説していきます。


ローズマリーに最適な生育環境とは?

ローズマリーの原産地は地中海沿岸です。地中海性気候は、夏は乾燥して雨が少なく、冬は温暖で比較的雨が多いという特徴を持っています。

ローズマリーが好む生育環境とは。

ローズマリーが好む環境

ローズマリーは、他の多くのハーブと同様に 「日当たりが良く、水はけと風通しの良い乾燥した環境」 を好みます。これにより、根腐れや蒸れを防ぎ、丈夫に成長することができます。

一方で、日本は 温暖湿潤気候 に属し、地中海沿岸とは大きく異なる特徴を持っています。


日本の気候とローズマリーの育成の難しさ

日本の気候は、四季がはっきりしており、夏は高温多湿、冬は寒冷 という特徴があります。さらに、年間を通して雨が多く、特に春から夏にかけて降水量が増えるため、湿度が高くなります。

この環境は、ローズマリーの生育にとって決して最適とは言えません。地中海沿岸の年間降水量と比較すると、日本の降水量は約3倍にもなります。このように、私たちは湿気の多い環境で生活しており、その影響を受けるローズマリーも適切な管理が必要となるのです。


次に、ローズマリーを日本の気候でも元気に育てるための具体的なポイントを解説していきます。



ローズマリーを枯らさないための具体策

前項でお伝えしたように、日本の気候はローズマリーの生育に最適とは言えません。しかし、以下の3つのポイントを押さえれば、日本でも丈夫に育てることができます。


最適な植え付け場所を見極める

まず最も重要なのが、適切な植え付け場所の選定 です。(鉢植えの場合は置き場所を慎重に決めましょう。)


日当たりの良い場所を選ぶ

日本の気候はローズマリーに厳しい?

ローズマリーの生育適温は 15℃〜25℃ です。この温度帯を確保するためにも、しっかりと日光が当たる場所 に植え付けることが重要です。

  • 半日陰でも育つことは可能ですが、生育が遅くなったり、株が弱くなったりするリスクがあります。
  • 1日を通してできるだけ長時間、日が当たる場所がベスト です。

水はけと風通しを確保する

ローズマリーは 湿気に弱く、蒸れや根腐れを起こしやすい 植物です。そのため、ジメジメした環境を避けることが大切です。

  • 水はけが良い場所 に植えることで、根腐れのリスクを軽減できます。
  • 風通しを確保する ことで、株元の水分がしっかり蒸発し、ローズマリーが好む乾燥気味の環境を作ることができます。

粘土質の土壌は避ける

日本の土壌は地域によっては 粘土質 で水はけが悪い場所も多く、ローズマリーの生育には不向きです。

  • 粘土質の土地しかない場合の対策
    1. 高畝(たかうね)にする → 土を盛り上げることで、水はけを良くする。
    2. 鉢・プランターで育てる → 鉢植えなら適した土を用意しやすく、水はけを調整しやすい。

適切な植え付け場所を選ぶことで、ローズマリーが元気に育つ環境を作ることができます。次に、水やりや剪定のポイントについて詳しく解説していきます。



効果的な剪定

ローズマリーを健康に育てるためには剪定 重要なお手入れです。

ローズマリーの適切な剪定

植え付け時に最適な環境を整えても、特に梅雨時や夏場は湿気がこもりやすく、株元に水分が溜まりやすくなります。どれだけ水やりに気をつけていても、高温多湿の季節には蒸れを完全に防ぐことは難しいものです。

そんな時に「剪定しておいてよかった!」と実感するはずです。

剪定は、見た目を整えたり、花付きや枝ぶりをよくするだけでなく、風通しを改善し、株元に湿気を溜めないようにするという大切な役割を果たします。

人間の髪の毛も、毛量が増えると蒸れて汚れが溜まり、髪自体にダメージを与えることがあります。植物も同様で、剪定により風通しを良くすることで、生育不良を防げます。


効果的な剪定方法

剪定には、目的や方法によってさまざまな種類がありますが、ローズマリーに適しているのは 「切り戻し」 と 「摘心」 です。


切り戻し(枝を短く切る)

ローズマリーの切り戻し

ローズマリーは成長すると自然に枝葉が混み合い、放置すると株の形が崩れたり、風通しが悪くなって病気の原因になります。

不要な枝を適度に切り戻すことで、健康な成長を促しながら、見た目も美しく保つ ことができます。

✔ 切り戻しのポイント

  • 込み合った枝を間引く → 風通しを良くする
  • 伸びすぎた枝を整える → 株全体のバランスを整える
  • 枯れた枝を取り除く → 病害虫を防ぐ

摘心(先端の芽を切る)

多くの植物には、「頂芽優勢」という性質があります。これは、茎の先端の芽が優先的に成長し、脇芽の成長が抑制される という現象です。

摘心で先端の芽をカットすると、脇芽の成長が促され、枝が横に広がり、よりボリュームのある健康的な株に なります。

✔ 摘心のポイント

  • 先端の芽を軽くカットする → 新しい枝が増えてこんもりとした形に
  • 若い芽を選んで剪定 → 適切な箇所をカットすることで、枝が元気に成長

剪定の適切な時期

基本の剪定時期は「春(5月)」と「秋(9月)」 です。

ただし、9月の残暑が厳しい場合は、もう少し時期を遅らせた方がローズマリーにとって負担が少なくなります。また、地域やその年の気候によって適したタイミングが異なるため、気温や天候を見ながら調整しましょう。


剪定に関する書籍はこちらから

耐寒性の強い品種を選ぶ

地中海原産のローズマリーは寒さに弱いイメージがありますが、実は比較的耐寒性があり、日本の冬でも適切な管理をすれば問題なく越冬できます。

特に耐寒性の強い品種を選ぶことで、寒冷地でも枯れるリスクを大幅に減らすことが可能です。


ローズマリーの耐寒温度と強耐寒性品種

一般的に、ローズマリーの耐寒温度は 約−5℃ 程度ですが、耐寒性の強い品種では −10℃から場合によっては−20℃ まで耐えられるものもあります。特に寒冷地で育てる場合は、強耐寒性の品種を選ぶことが大切です。

<おすすめの強耐寒性品種>

アープ(立性) – 耐寒性が非常に強く、−10℃以下でも耐えられる品種。
マリンブルー – 鮮やかな青紫色の花が咲き、寒さに強いことで知られる。
ミスジェサップ(立性) – 寒冷地でも育てやすく、香りが強いのが特徴。

これらの品種を選ぶことで、冬の厳しい環境でもローズマリーを育てやすくなります。


<参考商品>


耐寒性の品種でも油断は禁物!冬越しのポイント

耐寒性の高い品種を選んだからといって、100%安心というわけではありません。冬の厳しい寒さや霜柱が原因で根がダメージを受けると、枯れてしまう可能性があります。

✔ 冬越しの注意点

  1. 霜柱対策をする → 寒冷地では、マルチング(敷き藁やウッドチップを敷く)をして根を保護する。
  2. 水やりは最小限に → 過剰な水分があると、霜柱ができて根を傷める原因になるため控えめに。
  3. 越冬前に健康な状態を整える → 秋のうちに剪定をしっかり行い、元気な状態で冬を迎えることが大切。


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最後に

ローズマリーであろうと何であろうと、せっかく大切に育ててきた植物が突然枯れてしまうのは非常に残念なことです。

もちろん、気候や環境の変化というものが常に作用するので、一口に「対策」と言っても、どこまで何をやれば良いのかというのは専門の苗屋さんであっても難しいところはあります。

一番大切なのは可能な限り日常の手入れをしっかり行いつつ、植物自体を日々観察してあげるということだと思います。

日々観察することによって、その植物に適した生育環境と苦手な環境が見えてきます。

これまでローズマリーの栽培が上手くできなかった、または毎年なぜか枯れてしまう…という方は、今回ご紹介したポイントを念頭に再度チャレンジしてみてください。


万が一、土質に問題がある場合には別途対策が必要です。下記のページにて土質の問題に触れていますので、よろしければあわせて参考になさってください。


栽培のアドバイストラブル対策
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