はじめに
ハーブ初心者でも安心して育てられるミントには、実に様々な品種があります。
特に、一般的に親しまれている「スペアミント」「クールミント」「ペパーミント」などは、化粧品や入浴剤、デンタルケアや食品の原料としても幅広く使われています。
既にご家庭で育てている方も多いと思いますが、長年同じものを育てていると、たまにはちょっと変わった品種も育ててみたくなるものです。
実際に筆者がハーブ専門店で働いていた頃、多くの「ミント愛好家」がご来店されていましたが、定番品種以外のミントも育ててみたいという方が非常に多く、そんな時に決まってオススメしていたのが「フルーツ系のミント」です。
アップルミントやグレープフルーツミントなど、爽やかな香りの奥に果実のような甘い風味がある品種を「フルーツ系ミント」と呼んでいますが、その中でも、筆者一番のお気に入りが、今回ご紹介する「パイナップルミント」です。
パイナップルミントについて
基本情報
パイナップルミント
学名 | Menta suaveolens ‘Variegata’ |
別名 | 斑入りアップルミント |
原産 | ヨーロッパ南西部 |
科名 | シソ科ハッカ属 |
分類 | 多年草 |
大きさ | 20〜80cm程度 |
開花時期 | 7〜9月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | 料理、お茶、ポプリ etc |
パイナップルミントは、名前に「パイナップル」という文字がついていますが、実は、同じくフルーツ系のミントである「アップルミント」の変種とされています。
一番の特徴は、クリーム色の斑(ふ)が入っている美しい見た目の葉っぱと、パイナップルのような甘い香り。
通常のミントのように清々しい緑色の印象とは異なり、クリーム色の斑で縁取られていることで柔らかい雰囲気を醸し出しています。
アップルミントの変種だけあって、人によってはパイナップルとリンゴを混ぜたような匂いに感じる方もいます。
初夏から秋に花期を迎えると、穂先に小さな花をたくさん咲かせ、周囲に甘い香りを漂わせます。
花芽がつくと葉が硬くなり始め風味も落ちるため、通常は花を咲かせる前に(花芽のうちに)切り落としてしまいます。
耐寒性も耐暑性もあり生育旺盛ですので、他のミントと同じように育てることができます。
活用方法
① ハーブティー
アップルミントのシングルハーブティーよりもクセが少なく、ほのかにパイナップルの甘い香りがします。
甘くフルーティーな香りを活かして、夏場は冷たく冷やして「アイスパイナップルミントティー」にするのがおすすめです。
② 料理の飾り付け
カフェやレストランのデザートやドリンクの飾り付けとして活躍するのは、主にペパーミントやスペアミントですが、今ではあまり珍しい存在ではなくなりました。
そこで是非おすすめしたいのが、パイナップルミントです。
ミントの中では珍しく、”斑入り”の葉が美しい品種ですので、いつもの緑葉に飽きてきた時には是非試してみてください。
淡い色合いを活かして、特に色の濃いデザートや料理のトッピングにはピッタリです。
③ お酒
ただトッピングするだけでなく、実際にお酒に漬け込んで楽しむこともできます。
ミント類はウォッカやホワイトリカーとの相性が良いハーブで、パイナップルミントもその一つ。
清涼感は他のミントより控えめですが、その分まろやかで飲みやすいハーブ酒に仕上がります。
他にもアルコールと相性の良いハーブがたくさんありますので、ご興味ある方は下記のページもあわせてご覧ください。
④ お風呂
大量に収穫できた場合にはお風呂に入れて楽しむことができます。
使い方は簡単。収穫したら汚れを軽く洗い流して輪ゴムで縛り、お湯を溜める前に浴槽に入れておくだけです。
夏場の疲労回復や、冷房による冷え症改善にもおすすめです!
お風呂にぴったりのハーブは下記のページでもご紹介しています。
⑤ ポプリ
もしご家庭でドライ加工することができれば、ポプリにしたりサシェ作りの材料として使用することができます。
乾燥させた葉は生の状態よりも香りが弱くなるため、他のハーブとブレンドして楽しみましょう。
もしご家庭にフードドライヤーがあれば、天日干しほど香りを損なわずに乾燥させることができ、ハーブティーの茶葉も作れるので非常に便利です!
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パイナップルミントを育ててみよう!
他のミントと同じように非常に丈夫で、初めての方でも安心して育てることができます。
植え付け
生育環境としては、日当たりと風通し、水はけの良い場所を好みますが、一日の半分くらい日が当たる半日陰でも良く育ちます。
直射日光に当たり続けると葉焼け(※)を起こすことがありますので、特に夏の暑い時期は半日陰に移動するか、地植えの場合は半日陰の環境を選んで植え付けることをおすすめします。
パイナップルミントの種はあまり流通していないため、苗から育てるほうが一般的です。
苗は、一部のホームセンターや園芸店でも取り扱っている場合がありますので、事前にお店に問い合わせて確認しましょう。
もし入手が難しい場合は、下記のリンクからお取り寄せしてみてください。
ハーブ&イタリア野菜「ポタジェ・ガーデン」のパイナップルミント(苗)花ひろばオンライン(苗木部)のパイナップルミント苗
生育旺盛で他の品種と交雑しやすいハーブですので、できれば鉢・プランターでの栽培をおすすめします。
(複数の株を植える場合は株と株の間に20cm程度の間隔をあけましょう。)
植え付ける鉢のサイズは苗の一回り大きなサイズを選びましょう。
はじめて栽培される方は、鉢選びの参考として下記のページもご参照ください。
市販品の培養土やハーブの土で問題なく育ちます。
ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3の割合がおすすめです。
有機たいひで育てる「ハーブ・香草の土」はこちらから日常管理
◆水やり
鉢植えの場合は、表面が乾いたらたっぷりと与えます。
地植えの場合、根付いてからは水やりの必要がありませんが、乾燥した日が長く続くようでしたらしっかりとあげましょう。
梅雨の時期は湿度と日照不足が原因となり徒長(※)しやすいので、水やりの回数は少なめにしましょう。
◆剪定
生長してくると茎葉が密集して株の内部が蒸れてきます。
茂りすぎて窮屈になっている部分があれば剪定して風通しをよくしてあげましょう。
花が咲いてしまった後に葉や茎も硬くなり弱り始め、香りも徐々に薄くなっていきます。収穫も兼ね、花芽が出たらすぐに摘み取りましょう。
7月〜8月頃に地際から15cmほど残して刈り込んであげることで蒸れ防止と新芽の生長促進にもつながります。
◆肥料
園芸用土を使った場合は元肥が入っているのでしばらくは肥料を入れる必要はありません。
痩せた土地でも十分育ちますが、葉が黄ばみはじめたり生育不良になった場合は液体肥料などを利用して養分を補充しましょう。
今まで肥料を使ったことがないという方は、肥料の基本について簡単にまとめた記事を用意しましたのであわせてご覧ください。
◆病害虫
風通しが悪いとアブラムシやハダニが発生します。
新芽につくとその後の生育を阻害しますので早めに駆除しましょう。
害虫の予防と駆除に関しては下記のページも参考になさってください。
収穫
茎葉が茂っている間はいつでも収穫可能です。
特に開花前に一番風味が強くなりますので、小さな花芽がつき始めたらすぐに摘んで収穫しましょう。
剪定も兼ねて茎葉ごと収穫するか、新芽を残して一つ一つハサミで葉だけを収穫します。
冷蔵の場合
▶︎収穫したミントを軽く洗い、保存容器(フードパックなど)に湿らせたペーパータオルを敷いて入れます。
その後、別途湿らせたペーパータオルを上からやさしく被せ、容器の蓋をして野菜室へ。
2〜3日に1回、ペーパータオルを取り替えると1週間程度は鮮度が保てます。
冷凍の場合
▶︎収穫したミントを軽く洗い、ペーパータオルで水分を拭き取ります。
フリーザーバッグに入れて、葉っぱ同士がなるべく密着しないように少し空気を入れ、密閉したら冷凍庫へ。
1ヶ月程度は保存可能です。解凍すると萎れてしまいますので、使うときは冷凍のまま使用します。
最後に
今回は、ミントの中でも珍しい斑入りの品種「パイナップルミント」についてご紹介させていただきました。
既に他のミント類を育てたことがある方にとっては、一般的な品種と同じように簡単に育てられますので是非一度チャレンジしてみてください。
初めてという方も、本記事を読んでご興味いただけたらパイナップルミントからはじめてみてはいかがでしょうか。
お料理に使うキッチンハーブとプランターで寄せ植えにするのもおすすめです!