はじめに
皆さんは普段の料理にスパイスをどれくらい取り入れていますか?

本格的なカレー作りにハマり、スパイスを調合することを毎日の楽しみにしている友人がいますが、スパイスの世界は知れば知るほど奥が深いものです。
日本にも「ワサビ」や「山椒(サンショウ)」などの伝統的なスパイスがありますが、スパイスの本場といえばやはりインドを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。特に南インド料理では欠かせないスパイスの一つとして知られているのが、今回ご紹介する カレーリーフ(カレーの木) です。
市販されているドライタイプの商品も便利ですが、採れたての生葉は香りが格段に違います。
生のカレーリーフを手に入れられるなら、ぜひそのフレッシュな香りを楽しんでいただきたいところ。しかし、日本ではスーパーや八百屋ではなかなか手に入りません。
そこで今回は、カレーリーフの特徴や育て方を詳しくご紹介します。自宅で育てれば、必要なときに新鮮な生葉を収穫して料理に活用することが可能です。本記事を参考にして、ぜひ家庭での栽培に挑戦してみてください!

カレーの木(カレーリーフ)とは?
基本情報

カレーの木
学名 | Murraya koenigii |
別名 | オオバゲッツキ、カリパタ etc |
原産 | インド |
科名 | ミカン科ゲッツキ属 |
分類 | 多年草(常緑低木) |
大きさ | 2〜6m程度 ※栽培環境による |
開花時期 | 5〜7月頃 |
耐性 | 耐寒性:なし 耐暑性:あり |
活用法 | 主に料理(スパイス) |
カレーの木は、ミカン科ゲッツキ属に属する植物で、レモンやゆず(ミカン属)、山椒(サンショウ属)とは親戚関係にあたります。そのため、これらと同様に独特な香りを持つ植物として知られています。
原産国であるインドでは、成長すると樹高が5メートルを超えるほどの大木になります。一方、日本では冬の寒さが育成の妨げとなり(奄美大島や沖縄の一部地域を除く)、そのような高さまで育つことは困難です。しかし、鉢植えで育てると、木を小さく保ちながら栽培することが可能です。
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春から夏にかけて、カレーの木は白く可愛らしい5弁の花を咲かせます。また、オリーブのような実をつけますが、実の種には毒が含まれているため、食用には適しません。栽培する際はこの点に注意が必要です。
様々な呼び名
地域や国によって「カリパタ」「南洋山椒(ナンヨウザンショウ)」「カラピンチャ」など様々な名前で呼ばれています。日本では「カレーリーフ」と呼ばれることが一般的ですが、厳密にはこの名称はカレーの木の葉を指しています。

カレーの木を育ててみよう!
カレーの木の種子や苗は、一般的なホームセンターや園芸店ではほとんど見かけることがありません。
特に種子は入手が難しく、苗を取り扱っている店舗も限られています。そのため、購入を検討している場合は、ネット通販を活用するのがおすすめです。通販ではカレーリーフの苗や種を専門的に扱うショップも多く、必要な情報も得やすいので、初めて栽培に挑戦する方にも便利です。
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<参考商品>
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植え付け
生育環境としては、日当たりと風通しが良い場所を好みます。

国内では戸外での冬越しが難しいため、鉢植えにして育てます。
<鉢のサイズ>
購入した苗木の大きさに応じて、最初に使う鉢のサイズは6~7号程度が目安です。苗が成長して株が大きくなるごとに、一回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。これにより、カレーの木が健やかに育つ環境を整えることができます。
植物の栽培がはじめてという方は、鉢選びについてのまとめた下記の記事をご参照ください。
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<苗の植え付け>
カレーの木の苗は、春の暖かくなり始めた頃から秋の終わり(寒くなる前)までに植え付けるのが最適です。この期間であれば苗が順調に根を張り、生長しやすい環境が整います。
使用する土は、市販の元肥入りの園芸用土(培養土)で問題ありません。

もしご自身で土をブレンドする場合は、小粒の赤玉土7に対して腐葉土3の割合がおすすめです。この配合は水はけと保水性のバランスがよく、カレーの木に適した土壌環境を作れます。
植え付けの際は、まず植え付け穴を掘り、そこにたっぷりと水を含ませてから苗を定植します。苗を植えた後は土を優しく被せ、しっかりと根が固定されるように押さえます。

日常管理
◆水やり
カレーの木は、土の表面がやや乾いたタイミングでしっかりと水を与えるのが基本です。水を与えすぎると根腐れの原因になるため、乾燥具合を確認しながら調整しましょう。
また、夏場の高温期や冬場の乾燥しやすい時期には、霧吹きを使って葉に水を吹きかける「葉水」を取り入れると、葉の健康を保ちやすくなります。
◆肥料
肥料は多すぎると根を痛める原因となるため、控えめに与えることが大切です。特に苗が小さいうちは根の数が少ないため、必要最小限の量に抑えましょう。
<1年目の肥料>
生育期(春~秋)には、月1回程度、液体肥料を水やりと一緒に与えるだけで十分です。
<2年目の肥料>
春先に緩効性肥料を少量与え、生育期には月1~2回、液体肥料を追加で施します。これにより、安定した成長を促すことができます。

◆病害虫
カレーの木は、栽培環境や季節によってアブラムシ、ハダニ、カイガラムシといった害虫が発生することがあります。特に葉の裏側は害虫が隠れやすい場所なので、日常的に葉を裏返して状態を確認するよう心がけましょう。

食用としてカレーリーフを育てている場合、化学薬剤の使用は避けるのが一般的です。
万が一害虫がついてしまった場合は、以下の方法で除去してください:
- 手作業で取り除く:歯ブラシや割り箸を使い、害虫を丁寧に取り除く。
- 水で洗い流す:ホースや霧吹きを使って害虫を洗い流す。
一見して問題がなさそうでも、葉の裏などで害虫が繁殖していることがあります。害虫の発生を防ぐためにも、風通しの良い場所で栽培し、葉の状態を定期的に観察することが大切です。
さらに詳しい害虫対策については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
◆剪定と収穫(摘心、切り戻し)
カレーの木が成長して枝葉が増えてきたら、収穫を兼ねて剪定を行いましょう。剪定は樹形を整えるだけでなく、生長促進にもつながるため、定期的に実施することが大切です。

<剪定の基本ルール>
・剪定を行う際は、切り口が雑にならないよう、清潔で切れ味の良いハサミを使いましょう。
・丈夫な枝葉とそうでない枝葉に差が出てきた場合、葉色が悪く貧弱な枝葉は幹の付け根から切り落とします。これにより、樹全体の健康を維持できます。
<収穫時の注意点>
収穫する際は、葉を一枚一枚摘むのではなく、幹の付け根から枝ごと切り落とすようにします。この方法は、木全体のバランスを保ちつつ、効率的に収穫するのに役立ちます。
剪定が初めての方や、ハーブの剪定方法をより詳しく知りたい方は、下記のページをご覧いただくと役立つ情報が得られます。

冬越しのポイント
カレーの木は寒さに弱い植物ですが、適切に室内で管理すれば日本の冬でも越冬が可能です。以下のポイントを押さえて、カレーの木を冬の寒さから守りましょう。
冬越しに適した温度管理
- カレーの木は気温が20℃を下回ると成長が鈍くなるため、理想的には20℃以上の環境を維持することが望ましいです。とはいえ、一般家庭で24時間20℃以上を保つのは難しい場合が多いので、暖房がある室内でなるべく一定の温度を保つように心がけましょう。
日中の屋外管理について
- 日中に気温が高い日であれば、ベランダなどに一時的に出して日光を浴びさせることは問題ありません。ただし、朝晩は冷え込むため、室内に取り込むのを忘れないよう注意が必要です。
冬越し成功のコツ
空気が乾燥しやすい冬場には、霧吹きで葉水を与えるなど湿度を保つ工夫をしましょう。室内での管理では、窓際の寒さや冷たい風が直接当たらないようにすることが重要です。

最後に
今回は、スパイスとして活用できるカレーの木(オオバゲッツキ)の特徴や育て方についてご紹介しました。
晩秋から春にかけては室内栽培が中心になりますが、観葉植物としても楽しむことができるため、育てながらその独特な風味や見た目を楽しんでみてはいかがでしょうか。初心者でも育てやすい植物ですので、ぜひ気軽に挑戦してみてください。
余談ですが、筆者が園芸店で働いていた際、「カレーの木」をキク科の「カレープラント」と混同されるお客様が少なくありませんでした。名前が似ているため、馴染みのない方にとっては混同しやすいのも無理はありません。
もし「カレーの木」と「カレープラント」の違いに興味があれば、ぜひ以下の記事も併せてご覧ください。
