はじめに
植物の世界には、名前や見た目、用途が似ているものが多く、特にあまり馴染みのない植物ほど混同しやすいですよね。実際、「これって同じもの?」と疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、そんな混乱を招きやすい植物の代表例、「カレープラント」と「カレーの木(カレーリーフ)」です。この2つは名前が似ているだけでなく、香りや用途に関しても誤解されがち。でも、じつは驚くほど違いがあります!
本記事では、筆者が園芸店で勤務していた際の実体験をもとに、よくある勘違いや、それぞれの植物が持つ特徴と用途の違いをわかりやすく解説します。
カレープラントとカレーリーフ、あなたが次に苗木や種を購入するときに「間違えた!」と後悔しないためのポイントをぜひチェックしてみてください。それでは、早速見ていきましょう!

類似する点
「カレープラント」と「カレーの木(カレーリーフ)」には、以下のような共通点があります。
▶︎ 名前に「カレー」という文字が含まれる
▶︎ 料理に使うことができる
▶︎ 常緑低木である
どちらも名前からスパイスや料理を連想させ、まるで同じ植物のように感じますが、実際は異なる特性を持つ別の植物です。
これから、それぞれの基本情報や特徴を詳しく見ていき、その違いを一緒に探っていきましょう。

基本情報

カレープラント
学名 | Helichrysum italicum |
別名 | エバーラスティング etc |
原産 | 地中海沿岸(ヨーロッパ南部) |
科名 | キク科ムギワラギク属 |
分類 | 多年草(常緑低木) |
大きさ | 30〜60cm程度 |
開花時期 | 7〜9月頃 |
花色 | 黄色 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | 料理、ドライフラワー、 ポプリ etc |
<参考商品>
![]() | 価格:463円 |

異なる点
前項の共通点を見て、「やっぱり似ているな」と感じた方もいるかもしれませんね。でも大丈夫!ここからは、2つの植物がどれほど違うのか、具体的な比較を通してはっきりと理解できます。
実際にそれぞれの異なる点を整理すると、以下のような違いが見えてきます。
見た目の違い

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カレープラントは、ラベンダーの葉に似た細くシルバーがかった葉が特徴です。その銀色の葉は、光を受けると独特の輝きを放ち、美しい観葉植物としても人気があります。花は小さな黄色い花がまばらに咲き、控えめながらも存在感を放ちます。
一方、カレーの木(カレーリーフ)は、緑色で平たく広がる葉を持ちます。艶のある緑の葉は生き生きとしており、料理にもよく使われます。花は白く、5枚の花びらを持つ清楚な花が特徴的で、可憐な見た目が印象的です。
原産地の違い
カレープラントとカレーの木(カレーリーフ)の原産地も異なり、それぞれの環境に適した特徴を持っています。
- カレープラントは、乾燥した気候が特徴の地中海沿岸地域が原産です。そのため、乾燥や日照りに強く、比較的水はけの良い土壌を好みます。観賞用としてヨーロッパを中心に広く栽培されることも多いです。
- 一方、カレーの木の原産地はインド。熱帯・亜熱帯の湿度が高い環境でよく育つため、温暖な気候を好みます。インド料理では葉が広く利用されており、現地の食文化には欠かせない存在です。
科目の違い


カレープラントとカレーの木(カレーリーフ)は、分類される科目が異なるため、それぞれ異なる特徴を持つ植物と親戚関係にあります。
- カレープラントは、植物の中でも種類が豊富なキク科に属しています。同じキク科には、ハーブとして知られるステビアやカモミール、エキナセアなどがあり、これらと親戚関係にあるのが特徴です。そのため、観賞用や薬用ハーブとして活用されることが多いのが特徴です。
- 一方、カレーの木はミカン科に分類され、レモンやユズ、サンショウなどと親戚関係にあります。この科に属する植物は香りの強いものが多く、カレーリーフもその一例として、料理に香り付けをする用途でよく利用されます。
このように、属する科が違うことで、成長環境や用途においてもそれぞれ独自の特徴が生まれているのです。

大きさの違い
カレープラントとカレーの木(カレーリーフ)はどちらも低木ですが、その大きさには大きな違いがあります。
カレープラントは、比較的背丈が低いのが特徴で、一般的には30〜60cm程度に成長します。そのコンパクトなサイズから、庭や鉢植えでも育てやすく、観賞用としても人気があります。
一方、カレーの木は環境によって異なりますが、温暖な気候のもとでは3メートル以上にまで成長することがあります。そのため、地植えで育てると大きな存在感を放ち、庭木としても利用されることがあります。
開花時期の違い
カレープラントは、夏から初秋にかけて黄色い小さな花を咲かせます。この時期になると、シルバーリーフとのコントラストが美しく、観賞価値がさらに高まります。
一方、カレーの木は、春から夏にかけて花を咲かせます。爽やかな香りを漂わせながら咲く花は、庭の中でひときわ目を引く存在です。

耐寒性の違い
寒さへの強さにも大きな違いがあります。
カレープラントは耐寒性があり、適切な環境であれば−5℃程度まで耐えることができます。霜の被害にさえ気をつければ、冬の屋外でも育てやすく、日本の多くの地域で越冬可能です。
一方、カレーの木は寒さに非常に弱く、生育温度が最低でも10℃以上必要です。特に冬場は寒さで枯れてしまう可能性が高いため、屋外での越冬は難しく、室内での管理が欠かせません。温かい場所に置き、日当たりや湿度をしっかり確保することが重要です。
用途の違い
料理に使うなら「カレーリーフ」
カレーの材料として使いたい場合は、カレーの木の葉(カレーリーフ)です。

- 生葉の魅力:市販されているドライのカレーリーフもありますが、香りの良さは圧倒的に生葉が勝ります。筆者がハーブ苗の専門店で勤務していた際には、カレー専門店の方々が頻繁に苗を探しに訪れていたほどです。
- 生葉の活用:カレーやスープ、炒め物などに加えることで、独特の香りと深みを料理にプラスできます。生葉を加えることで、乾燥スパイスでは出せないフレッシュな香りが楽しめます。
香り付けやクラフトに使うなら「カレープラント」

カレープラントもカレーのような香りがありますが、主に料理の香り付けやクラフト用途に利用されます。
- 料理での使い方:ピクルスや肉・魚料理の臭み消し、風味付けとして重宝されます。カレーのような香りがアクセントとなり、さっぱりとした風味を引き出します。
- クラフトでの活用:カレープラントは花が色褪せにくいため、ドライフラワーやリース作りにも最適です。観賞用としても人気があり、インテリアとして部屋に香りと彩りを加えることができます。


最後に
ここまでご覧いただき、カレープラントとカレーの木(カレーリーフ)の違いをしっかり理解していただけたでしょうか?
名前や用途に似た部分があるため、つい同じような植物と混同してしまいがちですが、それぞれの特徴や育て方、活用方法に目を向けると全く異なる植物であることがよくわかりますね。
これからどちらかを育てたいと考えている方は、間違った苗や種を選ばないように注意し、目的に合った植物を選んでください。
とはいえ、どちらも魅力たっぷりの個性派ハーブです。シルバーリーフの美しさが映えるカレープラント、そして料理に香りを添えるカレーリーフ。どちらもご家庭で育てる楽しみがあるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
カレープラントの種や苗はこちらから

カレーの木の苗はこちらから

カレーリーフの育て方については下記のページで更に詳しく解説しておりますので、ご興味ある方はあわせてご覧ください。
