コーンフラワー(矢車菊)の育て方と活用法|特徴・栽培のコツを解説

コーンフラワーの育て方や活用方法、特徴を解説

はじめに

「コーンフラワー」という名前を聞いて、パンやケーキに使う「粉」を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし今回ご紹介するのは、「花のコーンフラワー(矢車菊)」というハーブです。

食品でおなじみの「Corn flour」は“粉”を意味し、一方でハーブの「Cornflower」は“花”を指します。少しややこしいですが、この違いを知ると名前への理解が深まりますね。

名前の由来は、小麦畑(Cornfield)の中でよく咲くことからつけられたと言われています。かつては麦農家にとって「厄介な雑草」でしたが、その美しい姿から、今ではガーデニング愛好家の間で人気のハーブとなっています。

そんなコーンフラワーにはどのような魅力があるのでしょうか?この記事では、コーンフラワーの特徴、育て方、そして日常での活用法について詳しくご紹介します。



コーンフラワーってどんな植物?

基本情報

コーンフラワー

学名Centaurea cyanus
別名ヤグルマギク(矢車菊)
原産ヨーロッパ
科名キク科(ヤグルマギク属)
分類一年草
大きさ30〜100cm
開花時期4〜8月頃
※地域と種まき時期による
耐性耐寒性:あり
耐暑性:やや弱い
活用法お茶、料理、切り花、
ドライフラワー etc

特徴

コーンフラワー(Cornflower)とは英名ですが、和名の「矢車菊(ヤグルマギク)」で認知されている方も多いかと思います。

以前は「矢車草(ヤグルマソウ)」とも呼ばれることがありましたが、ユキノシタ科に全く同じ名前の植物が存在するため混同されやすく、最近は「コーンフラワー」「ヤグルマギク」という名称が主に使われています。


コーンフラワーには草丈が30cm程度の矮性種から1mほどの高性種まであり、品種によって青、白、ピンク、紫、黒など様々な花色があります。

高さや色合いのバリエーションを利用してガーデンをデザインする時に役立つ非常にポピュラーなハーブです。


特に、鮮やかで美しい青色は「コーンフラワーブルー」と言われ、カシミール地方(インドとパキスタン国境)産の最高級サファイヤが「コーンフラワーブルーサファイヤ」と呼ばれているくらいです。


姿形が似た「セントーレア」をご存知の方もいると思いますが、セントーレアもコーンフラワーもキク科ヤグルマギク属に分類されています。

セントーレアの花

世界には300種類以上のヤグルマギク属に分類される草花があり、セントーレアもコーンフラワーもその中の一種です。(セントーレアは主に多年草で、コーンフラワーは一年草です。)



活用方法

ハーブティー

コーンフラワーだけを使用したお茶は味や香りが殆どしませんので、他のハーブとブレンドして楽しむ方がおすすめです。「バタフライピー」や「コモンマロウ」と同じくアントシアニンという成分を含んでおり、目の疲れやアンチエイジングに効果があるとされています。



料理

コーンフラワーのは、エディブルフラワー(食用花)として利用できます。

青、白、ピンク、紫などのカラーバリエーションを活かし、お菓子や料理の飾り付けとして使用すれば見た目にも華やかで、来客時の料理を綺麗に演出するのにぴったりです。


コーンフラワーの他にも料理やドリンクを華やかに演出するハーブがたくさんありますので、ご興味ある方は下記のページもあわせてご覧ください。



切花、ドライフラワー

コーンフラワーは切り花やドライフラワーとしても楽しめます。

3cm程度の小さ花で、一輪挿しにしても上品ですし、他の草花と組み合わせてブーケにすれば全体をバランス良く整えてくれる役割も果たします。まさに主役にも脇役にもなれる存在と言えます。



コーンフラワーの育て方

生育環境

コーンフラワーは、日当たりと水はけの良い環境を好みます。特に真夏の高温には強いものの、湿気が多いと元気を失いやすいため、風通しの良い場所に植えることがポイントです。根腐れや病気を防ぐためにも、水はけの良い土壌を整え、適度に乾燥を保つよう心がけましょう。


コーンフラワーの苗や種子はこちらから、キーワード入力不要で検索できます!(リンク先:楽天市場)

種子から育てる場合

発芽温度:15〜20℃

種まきの適期:冷涼地は春(4〜5月)、暖地は春または秋(9〜10月)

種まき方法:直根性(※)の植物です。初めから花壇や鉢に直播きし、すじまきまたは点まきで5mmの覆土

水やり:発芽するまで乾燥させないように注意。

間引き:発芽後、隣り合う葉が重なったタイミングで最初の間引きを行い、最終的には株間20cm程度に調整。

※直根性植物について、詳しくは下記の記事で解説していますので参考になさってください。


苗から育てる場合

土の準備:市販の培養土でOK。自分でブレンドする場合は赤玉土7:腐葉土3の割合がおすすめです。また、庭土を使う場合は苦土石灰を1㎡あたり100g混ぜてアルカリ性に調整

植え付け手順:穴にたっぷり水を含ませてから苗を優しく植え付け、土をかぶせたら株元を軽く押さえる

株間:30〜40cm程度離す

植え付け時の注意

コーンフラワーはその根の性質により移植を苦手とする植物です。
苗を購入して植え付ける場合は、根に触れず、根鉢もほぐさないようにして優しく扱いましょう。



日常管理

◆水やり
地植えの場合、根付くまでは土の表面が乾いたら水をあげるようにしてください。よほど乾燥した日が続かない限り、根付いた後の水やりは必要ありません。

鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。ただし高温多湿に弱いので、鉢の受け皿に残った水分は捨てるようにしてください。余分な水分を放置すると根腐れの原因になりますので注意が必要です。

ハーブの水やりについては別の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。


◆剪定(摘芯)※秋まきの場合
秋まきしたものは、春になると一気に丈が伸びはじめます。

20〜30cm程の時に一度摘芯をしてあげるとその後の生育と花つきが良くなります。

剪定をしたことがない、もしくは初めて挑戦するという方は下記の記事を参考になさってください。



◆肥料
痩せた土地でも十分育ちますので、生育期間は無理に肥料分を与える必要はありません。

園芸用土を使った場合も、既に土には栄養分が入っているので肥料は必要ありません。


◆病害虫
特に春先、アブラムシがつくことがありますので茎や葉を常に確認して、見つけたらピンセットや歯ブラシなどで除去するようにしましょう。

市販の殺虫剤でも良いですが、ハーブティーとして使用する方は薬剤なしで対処することをおすすめします。

虫対策については下記のページで詳しく説明しています。


収穫

コーンフラワーの花期は地域や種まき時期によって異なりますが、咲いた段階で(外輪の花びらがしっかり広がったら)いつでも収穫することが可能です。(朝の涼しい時間帯に行いましょう。)

収穫後、切り花は軽く洗浄してフレッシュな状態で利用し、ザルなどに平らに広げて乾燥させればドライハーブとして長持ちさせることもできます。

※乾燥させる場合、湿気の多い時期はカビの発生に注意が必要です。フードドライヤーがあれば収穫の都度一気に水分を抜くことができますので安心です。


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(豆知識)コーンフラワーを国花としている国

日本は「菊」と「桜」を国花(その国の象徴として掲げられている花)としていますが、ドイツ、エストニア、マルタ共和国ではコーンフラワーが国花とされています。

ただし、マルタ共和国が国花としているコーンフラワーは「マルタヤグルマギク」というマルタの固定種で、同じキク科でも別属(ケイロロフス属)の品種です。


最後に

ヨーロッパの麦畑では、こぼれ種子で雑草化するコーンフラワーを嫌がる農家さんが多いですが、黄金の麦畑の中に咲く鮮やかな青花はとても美しく草原の風景を彩ります。

ガーデニングを楽しむ人たちにとっては、丈夫で育てやすく、お庭の色彩アクセントにもなるのでとても重宝されているポピュラーな花。

お茶として、切り花として、食卓を彩る素材として色々な楽しみ方ができるのも嬉しいポイントです。

是非ガーデンの植栽や鉢植えで、他の草花との組み合わせを楽しんでみてください。


コーンフラワーの他にも、花を楽しめるハーブがたくさんありますので下記の記事もあわせてご覧ください。


ハーブの品種カ行のハーブ
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