はじめに
皆さんは「ザワークラフト」というキャベツの漬物をご存知でしょうか?
ドイツ発祥の伝統的な食べ物で、フランスではシュークルートとも呼ばれています。

薄く刻んだキャベツをスパイスと一緒に漬け込み、乳酸発酵させて作る料理で、肉料理をはじめとしたソーセージの付け合わせによく利用されます。
そして、このザワークラフトによく使われているのが、今回ご紹介する「キャラウェイ」というハーブの果実(スパイス)です。
一般のご家庭でスパイスに加工するのはちょっと難しいですが、葉はサラダやスープに利用することができ、白い小さな花はとても可愛らしいのでガーデン素材としてもおすすめです。
本記事では、そんなキャラウェイの特徴や育て方についてご紹介いたしますので、育ててみたい!という方は是非参考になさってください。

キャラウェイとは?
基本情報

キャラウェイ
学名 | Carum carvi L. |
別名 | ヒメウイキョウ |
原産 | 地中海沿岸、西アジア |
科名 | セリ科ヒメウイキョウ属 |
分類 | 二年草(※) |
大きさ | 30〜60cm程度 |
開花時期 | 6〜7月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あまりない |
活用法 | 主に料理、観賞 |
※二年草については下記のページをご参照ください。
特徴
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キャラウェイは初夏になると、セリ科特有の小さな可憐な花を咲かせます。その葉は、細く繊細に切れ込みが入り、同じセリ科の植物であるニンジンの葉に似た形状が特徴です。
耐寒性があるため寒さには強い一方、暑さを苦手とするため夏場の管理には注意が必要です。二年草のハーブであり、種をまいた翌年に花を咲かせます。

スパイスとして重宝されるのは、花が咲き終わった後にできる果実の部分で、「キャラウェイシード」と呼ばれています。この種子は三日月のように反り返った形をしており、ほのかな甘さとほろ苦さが混ざり合った独特の風味を持ち、料理に深みを与えてくれます。

活用方法
料理
キャラウェイシードは、独特の風味を持つスパイスで、様々な料理に活用できます。

キャラウェイシードを使った料理の例
- パン: ライ麦パンやパンケーキに加えて、風味豊かに仕上げます。
- 焼き菓子: クッキーやケーキに加えて、独特の風味を加えます。
- 煮込み料理: シチューやスープに加えて、風味に深みを加えます。
- 炒め物: キャベツや肉料理と一緒に炒めて、風味豊かに仕上げます。
- マリネ液: 肉や魚のマリネ液に加えて、風味を豊かにします。
- ソース: サラダドレッシングやバーベキューソースに加えて、風味にアクセントを加えます。
- 漬物: キャベツの漬物 (ザワークラウト) に加えて、風味を豊かにします。

アロマセラピー
キャラウェイオイルは、スパイシーで温かみのある香りが特徴で、アロマテラピーの分野で人気があります。芳香浴に使用すれば部屋に心地よい香りが広がり、マッサージオイルとしても親しまれています。
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コンパニオンプランツ
コンパニオンプランツとして知られ、他の植物と共に育てることで庭全体の健康をサポートします。特にマメ科やキャベツ科の植物と相性が良く、バランスのとれた成長環境を作り出すのに役立つと言われています。
他にもコンパニオンプランツとして優秀なハーブがたくさんあります。ご興味ある方は下記のページもぜひご覧ください。
キャラウェイの育て方
生育環境
日当たりと風通しの良い場所が理想的です。また、水はけの良い土壌も重要なポイントです。特に暑さに弱いため、真夏は直射日光を避け、半日陰くらいの環境がベストです。庭やベランダで育てる場合も、適度に日陰を作ることでより健やかに育てられます。
土の準備

- 市販の園芸用土: 元肥入りのものをそのまま使えます。
- 自作でブレンドする場合: 赤玉土(小粒)7:腐葉土3の比率がおすすめ。
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種から育てる方法
キャラウェイの発芽温度は20℃前後が理想です。春に種をまく場合は4〜5月、秋まきは9〜10月が適期です。特に秋まきの方が株が大きく成長しやすい傾向があります。
キャラウェイは直根性(根がまっすぐ伸びる性質)を持つため、植え替えを嫌います。基本的には苗を育てず、直播きがおすすめです。
- 種まき後は5mm程度の土をかぶせ、軽く押さえます。
- 発芽するまでの間、乾燥しないように水やりをしながら管理しましょう。
- 環境によって異なりますが、2〜3週間程度で発芽します。
※1 キャラウェイの他にも直根性のハーブがありますので、詳しくは下記のページをご参照ください。
苗から育てる方法
苗を購入して育てる場合は、以下のポイントに注意して植え付けを行いましょう。
- 苗をポットから取り出す際は、根鉢(土と根の塊)を崩さないよう、やさしく扱います。
- 鉢植えにする場合は、苗のサイズより一回り大きい深型の鉢やプランターを使用しましょう。
- 複数の株を植える場合は、株間を40cm程度確保することで成長に十分なスペースを確保します。
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日常管理
◆水やり
地植えの場合、根付いた後の水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面がやや乾いたら鉢底から余分な水分が流れ出るくらいしっかりとあげてください。
◆剪定
葉が茂ってきたら蒸れ対策として茎葉を少しずつ切り落とし、風通しを良くしてあげましょう。
中心部の枝先を剪定することで蒸れを防ぐと同時に、株を充実させることができます。
◆肥料
園芸用土を使った場合は元肥が入っているのでしばらくは肥料を入れる必要はありませんが、生育不良の兆候がみられた場合は2週間に1回程度、液体肥料で養分を補ってあげましょう。
肥料の基本については下記のページも是非参考になさってください。
◆病害虫
アブラムシやハダニが発生する場合がありますので、日常的に茎葉をチェックして、発見したら早めに駆除します。
害虫対策について知りたい方は下記のページを参考になさってください。
収穫
葉が茂っているうちは、いつでも収穫可能です。(食用にする場合は、葉が若いうちに収穫しましょう。)
☆果実(キャウェイシード)を収穫する場合
花が終わり果実が色づきはじめた頃に茎ごと刈り取り、風通しの良い日陰で乾燥させます。
注)乾燥した種がボロボロ落ちてきますので、乾燥場所にはビニールシートを敷く、もしくは細かい目のネットで包んで乾燥させましょう。
ハーブの天日干しについては、下記のページもご参照ください。

最後に
キャラウェイは日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、料理やガーデニングで活躍する魅力的なハーブです。
特に「直根性である(=植え替えを嫌う)」という特徴にさえ注意すれば、初心者でも手軽に育てられます。根をやさしく扱い、適切な環境で育てることで、丈夫に成長してくれますので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
また、キャラウェイに加えて、フェンネルやディルの種子も料理でよく使われるスパイスです。これらのハーブを育ててみたい方は、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
