はじめに
うだるような暑さが過ぎ、秋はとても過ごしやすい時期。お庭では、シーズンを過ぎた植物が少しずつ花殻を地面に落とし始め、葉も徐々に黄色くなってきます。
多くの植物が花期を終えたこの時期は、庭も少し寂しい雰囲気になり、お庭好きの方の中には「この後どうしようかな〜…」と頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
一方で、寒冷地にお住まいの方々はこれから寒い冬を迎えるわけですから、冬越しや植え替えなどの準備もしておきたい時期だと思います。
そこで今回は、「はじめて冬越しに挑戦!」という方のために、冬を迎える前に気をつけておきたいことを5つのポイントに絞ってご紹介したいと思います。
冬越し前にやっておこう!
9月下旬〜10月上旬というのは気温や湿度の変化も大きく、植物のお手入れもどのタイミングで、どんな事をどうしようかと迷う時期です。
もちろん、お住まいの地域やその年の気候で異なりますが、「人間の肌感覚」というものは結構重要で、今回ご紹介するお手入れも、皆さんが「秋に突入したなー」と実感できた頃に行ってください。
根詰まりの確認
地植えと違って、鉢やプランター栽培の場合は、根が伸びるために必要な土中のスペースが限られています。そのため、成長するに従って根詰まりが起きやすいので注意が必要です。
鉢植えの底に空いている穴から根がはみ出ている場合は、根の行き場所がなくなっているサインなのでほぼ確実に根詰まりしています。より大きな鉢に植え替えたり、丁寧に株分けをして別の鉢に移してあげてください。
根詰まりしたまま冬越しさせると、春先に新芽が出にくくなったり、場合によっては冬の間に枯れてしまうこともありますのでよく確認しておきましょう。
栽培場所の見直し
秋は日照時間も徐々に少なくなっていきます。
その為、春や夏と同じ置き場所に鉢・プランターを置いたままだと、日当たりが不十分になる場合があります。
冬になると日照時間が更に短くなりますので、できればこの時期にしっかりと日光をあてて光合成を促したいところです。
もちろん春や夏とは違い、日照時間自体が徐々に短くなっているので、完璧に同じ状態を保つのは無理ですが、なるべく長い時間日当たりが確保できる場所を探して配置し直してください。
切り戻し
多年草の多くは、秋が深まるにつれて大きく生長した株姿が乱れはじめます。
そこで、ミント類やオレガノやセージなど、収穫できるものは切り戻し(※)も兼ねて茎葉を切ってあげましょう。
株元をご覧いただくと、小さな新芽が出ているはずですので、元気の良さそうな新芽のすぐ上の部分で茎を切ります。
冬に備え、切り戻しを行うことで春先の生育がぐんと良くなります。
水やりの量
気温がさほど低くない初秋は、表土が乾いたらしっかりあげて問題ありません。
これも地域によって違いはありますが、水やりのペースは植物と表土・土中の状態を確認しながら判断しましょう。
ただし、気温が低い時期に入ってからの水やりは注意が必要です。
特に寒冷地では、日中の気温が高めでも夜になると急激に冷え込む日が徐々に増えてきますので、霜の心配をし始めなくてはなりません。
水が土中に残って、その水分が凍ってしまい植物を枯らしてしまうこともあります。
「中々判断が難しいわ。。。」という方は、(この時期に関して言えば)”あげ過ぎよりも乾き気味”と覚えておいてください。乾き気味よりあげ過ぎの方が枯らしてしまうリスクはグンと上がります。
水やりについては、別途まとめた記事がありますので宜しければご覧ください。
施肥
花が咲き終わってから肥料をあげている場合は、この時期、無理に施肥する必要はありません。
(もちろん、状態を見て判断しなくてはなりませんが)ハイシーズンよりも養分の吸い上げが少なくなりますので、無駄に肥料をあげてもそれほど吸収しませんし、吸収しても養分過多で植物にとってもあまり好ましくありません。
春先にまた新芽をつけはじめる多年草であれば、12月〜2月くらいに「寒肥(※)」として株周辺に有機肥料を施してあげると良いでしょう。
※寒肥については、別途肥料についてまとめた記事をご参照ください。
地植えの場合は鉢上げも有効
耐寒性のあまりない植物を庭や畑などに地植えしてる場合は、鉢上げ(※)が有効な場合もあります。
特に年内に植えたばかりの若い苗で、尚且つ冬越しが心配そうなものがあれば、最初の冬は鉢植えで管理してあげるほうが安心です。
根を傷つけないように掘り起こして、鉢やプランターに移植しましょう。
鉢上げした後は日当たりの良い軒下などに取り込んでおきましょう。
既に何度か越冬しているもの、春の状態が良好なものについては無理に鉢上げする必要はありません。無理に掘り起こすことで逆に植物の元気を奪ってしまう場合があります。
最後に
苗を植えた最初の年は、まだ株も小さく見た目も頼りない感じがして「これから冬を越せるのだろうか,,,」と心配になるものです。
ハーブもその他の植物も、安心して冬越しさせるには春や夏とは違った視点で観察や手入れをする必要があります。
もちろん寒冷地では資材を使って養生する必要性もありますが、植物そのものが健康な状態でないと、いくらしっかり寒さ対策をしても枯らしてしまうことがありますので、春の状態をイメージしながら秋のお手入れに取り組みましょう。