はじめに
園芸をはじめたばかりの方がよく直面するお悩みの一つに肥料選びがあります。
「苗も順調に育ってきてしばらく経つので、そろそろ肥料をあげる頃かな〜」と、ホームセンターに行くと、棚には恐ろしい数の様々な肥料が並んでいます。。。一体何十種類あるのだろう。。。
パッケージには花のイラストが描いてあったり、野菜のイラストが描いてあったり、、、。
「ん….、私が必要としているのは一体どれなんだろう・・・。」
肥料には、効果が出るまでのスピードや原料などによって分類され、それぞれ呼び方も使用目的も異なります。
特に、初めて植物を育てる方や、今まで肥料を一度も使ったことがないという方にとってはちょっとハードルが高いイメージもあります。
本記事では、肥料の基本を簡単に理解するための第一歩として、効き目のスピードの異なる「緩効性肥料」「速効性肥料」「遅効性肥料」、これら3つの肥料についてやさしく解説させていただきたいと思います。
効き目のスピードが違う3つの肥料
肥料は「効き目の速さ」によって、主に以下の3種類に分けられます。
・遅効性肥料(ちこうせいひりょう)
・緩効性肥料(かんこうせいひりょう)
・速効性肥料(そっこうせいひりょう)
「速効性」は読んで字の如く、効き目が出るまで時間がかからないことがイメージできますが、遅効性や緩効性は何が違うのでしょうか?
ここから、それぞれについて少し詳しくご説明していきたいと思います。
遅効性肥料とは
施肥後しばらく期間が経過してから効いてくる肥料のことです。
与えてもすぐに効果を発揮せず、土中の微生物に分解されてはじめて効果を発揮する性質を持っています。
使用するものによって違いがありますが、効果が出るまで少なくとも1ヶ月以上は待たなくてはなりません。
しかも、土中の微生物の力が必要なわけですから、微生物が少ない地力の弱い土地では効果が出るまで更に期間を要します。
遅効性肥料は主に、冬に施す肥料(寒肥)や植え付け前の肥料(元肥)として用いられます。
使用する際は作物の植え付け時期から逆算して施肥のスケジュールを設定しましょう。
代表的なものとしては、骨粉、油粕、厩肥(※) などが挙げられます。
緩効性肥料とは
施肥後に効きはじめ、しばらくの期間じっくり効果を持続させる肥料です。
皆さんが一般的な家庭菜園や自宅のお庭作りをしているのであれば、一番たくさん使用するのがこの緩効性肥料になるかと思います。
緩効性肥料は、与えてから比較的早く効果を発揮して持続期間も長めです。
使用する種類や製品によって多少違いはありますが、効果は1〜2ヶ月程度、またはそれ以上続くものもあります。
つまり生育期間が6ヶ月の植物であれば、シーズン中は2〜3回程度使用する計算になります。
また肥料焼け(※)しにくいのも特徴の一つで、元肥としても追肥としても使用できるので、初心者でも安心して使用できます。
緩効性肥料には基本的に肥料の3大成分(チッ素、リン酸、カリウム)を含む化学肥料(化成肥料)や、米ぬかや油粕や骨粉などの有機質肥料も含む場合があります。
前項の遅効性肥料も、持続して効き目を発揮するという点では緩効性と言えますが、一番の違いは効き目が出るまでの期間です。
効き目が出始めるまで1ヶ月以上かかる遅効性肥料に比べ、緩効性肥料は水やりのたびにゆっくり溶け出すのですぐに効果を発揮しつつも長持ちします。
速効性肥料とは
施肥直後から早めに効果が出始める肥料のことです。
早く効き始めるなんて最高!と思われがちですが、速効性がある反面、効果は一週間程度でなくなります。
速効性肥料は水に溶け根から吸収されやすい性質を持っていますが、液体なので簡単に流れ出てしまい効果が長続きしません。水で薄めて使用するため、水やりのついでに施肥できるのはありがたいです。
速効性肥料には、水に溶けやすい固形のものと既に液状になったもの(液肥)があります。
皆さんがホームセンターの肥料コーナーで見かける、プラスチックボトルに入っている肥料は、ほぼ速効性の液体肥料です。
開花期や生育旺盛な時期に追肥として使用する他、その速効性を活かして、根が弱っている時や肥料切れに気付くのが遅れた時の対応でも役に立ちます。
液体肥料とよく混同されがちな資材に「活力剤」というものがあります。
この活力剤にも肥料分は含まれていますが、法律で定められた基準値を満たしていないため、厳密には肥料ではありません。
肥料というよりは、サプリメントや栄養剤として覚えておきましょう。
まとめ(イメージ図)
肥料効果の出る時期をまとめたグラフを掲載します。
もちろん、使用する肥料の種類や製品によっても具体的な効果発揮のタイミングに若干の違いがありますので、下記はあくまでイメージとしてご覧になってください。
効き目の速度を知るだけでも、それぞれのメリットとデメリットや用途が見えてきませんか?
時間に余裕があり、じっくり土づくりをするには遅効性肥料を活かし、生長期に肥料を長く効かせたい場合は緩効性肥料、ちょっと急ぎの対応で養分を与えたい場合は速効性肥料、といったように、自分の育てている植物や都合によって使い分けできるようになれば園芸レベルもワンランクアップです!
まずは何となくでも結構ですので、このグラフのイメージを頭の片隅に入れておきましょう。きっといつか、「あっ、こんな時はあれを使おう!」という風に最適な肥料がわかるようになるはずです。
最後に
今回は肥料に関する基本知識の中でも「効き目の速度」にフォーカスした内容をお届けしました。
もし園芸店やホームセンターに行く機会がありましたら、今度は実際に色々な製品を手に取り、どれが速効性でどれが緩効性肥料なのか実際に確認しながら復習してみてください。
特性をしっかりと理解した上で上手に使いこなし、肥料マスターへの道をまた一歩進みましょう!
他にも、肥料について「なぜあげるの?」「いつあげるの?」といった超基本的なことについて解説している記事もございますので、ご興味ある方は下記のページもあわせてご覧ください。