はじめに
皆さんは、苗を植えたらその日から急に弱り始めた、または、植え付けしたばかりの頃は順調だったけど徐々に元気がなくなってきた…という経験ありませんか?
ハーブを健康に育てるためには、日当たりや風通し、水分コントロールなど生育に必要な環境をしっかり整えてあげることが大切です。
しかし、どれだけ好い環境を用意しても、適切な水やりを行っても枯れてしまうということはあるものです。
もしその原因が土質にあるのだとしたら、水やりや施肥、環境整備を適切に行っていても根が健全に生長できないため、何よりもまず先に土質の問題を改善する必要があります。
そこで今回は、植えても植えてもなぜか枯れてしまう…という場合に確認すべき事、土壌(土質)のチェック方法、対処法などをご紹介したいと思います。
まずは土の問題点を把握
日常管理はしっかりできているはずなのに、なぜか徐々に枯れてしまう…という場合は、そもそも土質に問題があるかどうかを確認してみましょう。
もし土質に問題があるとすれば、今回の記事が少しお役に立つかもしれません。
ハーブ栽培に適した土とは?
それでは、ハーブ栽培において土質が良いというのは具体的に何を指すのでしょうか?
結論から言いますと、ハーブ栽培においては以下のような土が所謂「良い土」であると言えます。
・水はけが良い
・水もちが良い
・通気性が良い
これらの土は「団粒構造」で、ハーブに限らず野菜でも花でも植物が育ちやすい土質の特徴です。
一方で、真逆の性質をもった粘土質のような単粒構造の土は何を植えてもうまくいかない傾向があります。
※団粒構造と単粒構造については下記のページにて詳しく説明していますのであわせてご覧ください。
簡単にできる土壌チェック
栽培を生業としている方は、土中の成分に至るまで詳しく検査する必要があるため専門機関へ依頼することをおすすめしますが、趣味でガーデニングを楽しんでいる方は、ここでご紹介する簡易的な土壌チェックを是非一度試してみてください。
◆水はけと通気性のチェック
確認方法:雨天後の土の状態を観察
▶︎半日くらいで雨水が吸収される= 水はけも通気性も良好
▶︎数日経過しても雨水が中々浸透しない= 排水性、通気性が悪い
◆水もち(保水性)のチェック
確認方法:透明な瓶に土と水を入れて蓋を閉め、瓶を振ってからしばらく放置する。
▶︎5分程度で土と水が分離= 砂質、または団粒構造の良い土
▶︎濁った状態が長く続く= 粘土質、または単粒構造の良くない土
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土質が悪い時の対処法
チェックした結果「やっぱり土に問題があるかも…」という方は、下記のような方法で改善を試みてください。
土壌改良材を使用
土質を改善するときに役立つのが「土壌改良材」です。
土壌改良材とは、土に混ぜ込んで使用することでその植物の栽培に適した土質へ改善するための資材です。
水はけや水もち、通気性など、改善したい要素が予め明確になっていれば、その改善に適した種類の改良材を使用します。
具体的な種類や役割については下記のページで紹介しています。
土の状態によっては、この土壌改良材を使用することで格段に植物の育ちが良くなる場合があります。
土の入れ替える
土の状態が著しく悪い場合は、土壌改良材を使用しても一向に改善しないケースもあります。
そのような場合は、問題がある箇所を直接掘り起こして新たに土を入れ替える必要があります。
対象となる面積が広い場合は掘り起こすのが大変で、専門業者に依頼するとかなりコストがかかりますが、一番即効性がある方法です。
入れ替える土は市販の培養土(園芸用の土)を使用するか、「赤玉土7:腐葉土3」の割合でブレンドしたものを使用すると良いでしょう。
もし、他の土地から運んできた自然の土を使用する場合は、その土自体がどのような性質のものかを事前に把握した上で、必要に応じて土壌改良材を併用しましょう。
ハーブは弱アルカリ性の土を好むものが多いので、同時に苦土石灰を施すのも有効です。
【鉢植えの土を入れ替える場合】
株ごと掘り出し、根についた古い土を半分ほど振り落とします。
鉢に新しい培養土を入れて株を戻し、株元まで土を満たしたら手で鎮圧して終了です。
ハーブの種類によっては植え替えを嫌うものがあります。
特に直根性のハーブは植え替え後に一気に弱ったり、場合によっては枯れる可能性もありますので植え替えを控えましょう。
高畝を作る
先程の土の入れ替えとは逆の発想で、地面を掘り起こすかわりに、地面に新しい土を盛って畝(うね)を作ります。
新しく良質な土を盛ることで土壌改良の必要もなく、高畝にすることで水はけを確保することができます。
土質の悪い場所では特に、高さのある畝を作りその中で根が張れるように設計します。
低い畝だと深く張っていった時に元々の土地(土質の悪い層)に到達して、途端に元気がなくなる場合がありますので、なるべく高めに畝を作りましょう。
レイズドベッドを作る
レイズドベッドとは、木やレンガなどを利用して地面の上に作る植栽スペースのことです。
木で囲ったスペースに土を入れるため、土地の性質に影響されることなく植物を育てることができるというメリットがあります。
また、地面よりも高い位置で手入れができるので腰への負担も少なく、楽な体勢で作業を進めることができます。
木枠を組んで作るレイズドベッドはちょっとしたDIY作業を必要としますので、ちょっとハードルが高い…という方は、「あめつち菜人」さんのサイトで、超簡単&低コストなレイズドベッドの作り方をご紹介しています。ご参照ください。
コンテナ栽培に切り替える
面積が広い庭や畑の場合、土の入れ替えは一苦労です。
できるだけ労力もコストもかけたくない…という時には、思い切って鉢やプランターを使ったコンテナ栽培に切り替えたほうが良いこともあります。
そもそも栽培に適さない土地に時間もお金もかけて改善していくよりは格段に効率的且つ効果的です。
農家さんのように特別な事情がなければ、家庭用のハーブはコンテナ栽培で十分収穫量が確保できます。
鉢植えの場合
最初から市販の培養土を入れ鉢植えで育てている場合でも、月日の経過と共に土質は悪くなっていきます。
水やりを行うことで土中の養分は水と一緒に徐々に抜けていきますし、植物が育っていけば鉢内に根が張り巡って土が硬くなってしまい通気性も悪くなります。
定期的に水の浸透具合や、土の硬さ確認して適宜土の入れ替えを行いましょう。
最後に
「土質の問題でうまく育たない」というのは良くあることです。
特に、家を建てるために造成した土地や地盤が硬いような場所で植物を育てるためには少し工夫が必要になります。
しかし、今回ご紹介したレイズドベッドやコンテナ栽培であれば、土地の性質に左右されずにガーデニングを楽しむことができますし、アパートやマンションのベランダ菜園にも応用できますので、是非お試しいただければと思います。
鉢やプランター栽培に切り替える方は下記の記事も参考になさってください。