はじめに
気温がぐんぐん上がり、春に植えたハーブが勢いよく成長し、花を咲かせたり収穫期を迎えたりする夏。見た目には嬉しい季節ですが、実はこの時期こそしっかりとした対策が必要です。
特に、近年の猛暑は過去と比べても厳しく、最高気温が30℃を超える真夏日や35℃を超える猛暑日が増加しています。
多くのハーブは地中海沿岸のような、年間を通じて穏やかで暖かい環境を好みます。しかし、日本の気候は春から夏にかけて一気に暑くなるため、ハーブたちにとっては大きなストレスとなりがちです。
そこで今回は、ハーブを元気に育て、過酷な日本の夏を乗り越えるための具体的なポイントや日常管理のコツをお伝えします。これからハーブ栽培を始める方や、初めて夏越しに挑む方にもわかりやすく、実用的な内容になっていますので、ぜひ参考にしてください！
夏場のハーブ栽培で注意すべきポイント
水やりの時間帯に注意
春や秋は気温差が小さいため、土が乾いていれば時間を気にせず水やりをしても問題ありません。しかし、夏場は別です。特に日中の水やりはハーブに大きなダメージを与えるため、基本的にNGです。その理由は次の2つです。
レンズ効果による葉焼けの危険
植物の葉についた水滴が太陽光を集め、虫眼鏡のようなレンズ効果を発揮します。これは小学校の理科の実験で見た、太陽光を虫眼鏡で一点に集める現象と同じです。この作用により葉焼けが起こり、ひどい場合は生育不良や枯死の原因にもなります。
茎葉が“湯引き”状態になる危険
真夏の日中、太陽光にさらされると水滴はお湯のように高温化し、植物にとっては「熱湯をかけられる」のと同じ状態になります。これはお料理でいう「湯引き」に似ており、茎葉がダメージを受けてしまいます。
このようなリスクを避けるため、水やりは朝の涼しい時間か夕方以降に行うのがベストです。
＜ワンポイントアドバイス＞
どうしても日中に水やりをしなければならない場合は、直接茎や葉に水をかけず、鉢の土部分だけに与えるようにしましょう。これだけで葉焼けや高温ダメージを防ぐことができます。
直射日光に注意（日差し対策）
水やりの「レンズ効果」を防げたとしても、夏の強い直射日光に長時間さらされるとハーブは葉焼けを起こすことがあります。日差し対策も欠かせません。
地植えの場合
植え付ける場所は、1日中直射日光が当たらない半日陰や風通しの良い場所が理想です。これにより、過剰な日差しからハーブを守りつつ、蒸れを防ぐことができます。
鉢植えの場合
日差しが強く、気温が最も高くなる時間帯の前に鉢の置き場所を移動するのがベストです。ただし、日中お仕事などで家を空ける方は、夏の間だけ鉢を半日陰に常時配置するのもおすすめです。お時間のあるときに日光浴をさせてあげましょう。
室内栽培の場合
窓際に鉢を置きっぱなしにすると、強い日差しで葉焼けを起こすことがあります。直接日光が当たらない明るい場所に移動することが大切です。
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枯れた花に注意
初夏に枯れた花や、茎に残ったままの花殻は放置すると株が蒸れて病気の原因になったり、生育不良を引き起こすことがあります。見つけたらすぐに取り除くようにしましょう。
【例：ラベンダーの花殻摘み】
ラベンダーを初めて育てる方に多いのが、咲いた後の花をそのままにしてしまうケースです。
咲き終わった花を残しておくと、養分が花ばかりに集中してしまい、茎や葉に十分な栄養が行き渡らなくなります。その結果、株全体が弱くなり、次の生育にも影響が出てしまうので注意が必要です。
ポイント：咲いた花は良い状態のうちに随時収穫し、ドライフラワーやポプリとして楽しむと一石二鳥です！
肥料切れに注意
夏の生育期や開花期は、ハーブが養分を大量に消費するため、土中の栄養がどんどん不足していきます。1～2週間に1回程度、液体肥料を使って追肥するのが理想ですが、肥料のあげすぎも逆効果です。ハーブの様子を見ながら適切に調整しましょう。
肥料切れのサインには、主に下記のような症状があります。
▶︎ 生育が著しく遅い、または株が大きくならない
▶︎ 葉色が薄くなり、黄色みを帯びている
▶︎ 葉や蕾が小さくなる
▶︎ 花芽がつきにくくなる
追肥後は2週間ほど様子を観察し、改善が見られない場合は再度適切な量の追肥を行いましょう。
最後に
今回は、ハーブを安心して夏越しさせるためのポイントや日常的なコツをご紹介しました。どれも一見すると小さな工夫かもしれませんが、「日頃から気を配っている人とそうでない人では、夏場に大きな差が出る」といっても過言ではありません。ぜひ、日々の管理に取り入れてみてください。
また、暑い時期は無我夢中で作業しているうちに熱中症や夏バテになってしまうこともあります。ハーブをしっかり管理することも大事ですが、ご自身の体調管理も忘れずに。作業時はこまめな水分補給を心がけましょう。
これからハーブ栽培に挑戦する方は、ぜひ下記のページもご覧ください。基本的な栽培方法から役立つテクニックまで、幅広く解説していますので、参考になるはずです！
