はじめに
爽やかなレモンの香りとシャープな葉が特徴の「レモングラス」は、料理からハーブティー、虫除けまで、幅広い用途を持つ万能ハーブです。その人気ぶりは、性別や年齢を問わず愛される香りと、育てやすさにあります。
ただし、生の葉はスーパーでの入手が難しいため、家庭で育ててみたいと思う方も多いのではないでしょうか?実際、筆者が勤めていたハーブ苗専門店でも、毎年多くの方がレモングラスを求めて足を運んでいました。
「大きな株になるから庭が必要?」と思われるかもしれませんが、実は鉢植えでも簡単に育てられます!
ベランダでのプランター栽培なら、アパートやマンションにお住まいの方でも手軽に楽しめ、虫除け効果やハーブティー用の収穫も可能です。
本記事では、初心者でも失敗しないレモングラスの鉢植え栽培方法を詳しくご紹介します。

レモングラスとは?
基本情報

レモングラス
学名 | Cymbopogon citratus |
別名 | コウスイガヤ、レモンガヤ etc |
原産 | インド |
科名 | イネ科オガルカヤ属 |
分類 | 多年草 (日本では一年草扱い) |
大きさ | 100〜120cm程度 |
開花時期 | 8〜10月頃 ※日本では殆ど見られない |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | お茶、料理、精油、虫除け etc |
特徴
原産地は熱帯から亜熱帯で、本来は多年草ですが、日本は冬の寒さが厳しく国内では一年草として扱われています。
生育環境にもよりますが、地植えで育てると、苗の時には想像もつかなかったくらいの高さに生長します。
(今回ご紹介する鉢植え栽培は、地植えした時ほど大きな株にはなりませんのでご安心ください。)
稲穂のような姿の地味な花が咲きますが、日本では殆どお目にかかることができません。
レモングラスの活用方法
料理
数あるレモングラスを使った料理の中でも代表的なものが、世界三大スープの一つとして知られる「トムヤムクン」。

このスープにレモングラスが加わることで、爽やかな香りとほんのりスパイシーな風味が絶妙なアクセントとなり、エスニック料理ならではの深みが生まれます。さらに、東南アジアのカレー、炒め物、マリネ、幅広い料理でその存在が欠かせないものとなっています。

ハーブティー

爽やかな柑橘系(レモン系)の風味は、ハーブティーの原料としても高い人気を誇ります。そのすっきりとした飲み口は、リラックス効果やリフレッシュしたいときにぴったりです。特に「ハーブティーはちょっと苦手…」という方でも、「レモングラスのお茶なら飲みやすい」と感じる人が多いのが特徴です。
その飲みやすさに加え、カフェインフリーのため就寝前にも安心して飲める点が魅力。食後のリフレッシュタイムや、仕事の合間のブレイクタイムにぴったりの一杯として、多くの人に親しまれています。

アロマグッズ

その爽やかな香りとリラックス効果から、アロマグッズの分野でも注目を集めています。エッセンシャルオイルとしては、アロマディフューザーやマッサージオイルに取り入れる人が増えています。
また、その抗菌・消臭作用から、石鹸やボディソープ、スキンケア製品の成分としても人気です。自然な香りが肌を優しく包み込み、リラックスしたひとときを演出してくれます。さらには、虫よけスプレーの原料としても活用されるなど、レモングラスの香りは実用性と癒し効果を兼ね備えた存在として、日常生活に溶け込んでいます。

レモングラスの育て方
本記事では、畑や庭がない方でも楽しめるように、鉢植えでの栽培を前提にご案内させていただきます。

レモングラスは種からでも苗からでも育てることができますが、初めて挑戦される方は苗からの栽培をおすすめします。
健康なハーブ苗を選ぶコツは下記ページでご紹介していますので、よろしければご参照ください。
苗は一部のホームセンターや園芸専門店で購入できます。もしお近くのお店で取り扱いがない場合はネット通販で取り寄せてみてください。
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生育環境
生育環境としては、日当たりがよい場所、強い風があたらない場所を好みます。また、原産地が熱帯ということもあり他のハーブに比べ高温多湿の環境を好みます。
鉢の選び方

鉢植えで育てる場合は、高さ30cm以上の深鉢を選ぶのが理想的です。レモングラスは成長すると葉が横に広がり、枝垂れるため、8号〜10号程度の幅がある鉢を選ぶと安定して育てられます。
鉢選びについて詳しく知りたい方は下記のページも参考にしてください。

土の準備
市販の園芸用培養土やハーブ専用の土を使用すると、元肥を追加する手間がなく簡単に育てられます。12〜14ℓ程度の用土があれば十分です。
高評価のおすすめ用土↓↓
植え付け手順
- 鉢の八分目程度まで土を入れます。(鉢によっては目安の線が刻まれているものもあります。)
- 苗がすっぽり入るサイズの植え付け穴を作ります。
- 植え付け穴に水を注ぎ、土にしっかり浸透するまで待ちます。
- ポットから苗を優しく取り出し、植え付け穴に入れます。
- 残った土を株元にかけ、軽く手で押さえたら完了です。
レモングラスの日常管理
水やり
他のハーブに比べて高温多湿を好むため、土の表面が完全に乾く前に水を与えることが重要です。適度な水分を保つことで、健康的な葉の成長を促します。
※水分不足になると、葉が細くなったり、先端が枯れたような状態になることがありますので注意しましょう。
収穫と剪定(切り戻し)

葉が茂っている間は、剪定を兼ねて随時収穫が可能です。収穫する際は、外側の葉を優先し、地際から15cm程度の位置で刈り取ります。
※すべて刈り取らず、1/3〜1/4程度の葉を残すことで、継続的な成長を促せます。
生育期には刈り取った後に新芽が生えてくるため、伸びたら刈り取る、を繰り返して秋まで収穫を楽しむことができます。
肥料
肥料をあまり必要としませんが、春から秋にかけて液肥を与えると生育がより旺盛になります。2週間に1回程度を目安に施しましょう。
※葉が黄色くなったり細くなってきた場合は、肥料不足の可能性があるため、適宜追肥を行うことをおすすめします。

病害虫
レモングラスは病害虫の影響をほとんど受けません。そのため、初心者でも安心して育てることができます。
ハーブの害虫対策については、下記の記事でも取り上げておりますので、あわせてご覧ください。

レモングラスを室内栽培する時のポイント

レモングラスの性質を考えると、基本的には鉢植えであっても戸外で栽培することをおすすめします。
しかし、どうしても室内で栽培したいという場合は、日中は外に出したり少し手間をかけることができれば室内でも十分育てることが可能ですので、下記の記事を参考になさってください。
日照管理
レモングラスは日光を好むため、室内でも1日6時間以上は日が当たる窓辺に置くのが理想的です。光が不足すると成長が遅くなることがあります。
温度と湿度管理
レモングラスは高温多湿を好むため、最低でも20℃以上の温度を保つようにします。冬場は暖房の影響で空気が乾燥しやすいため、葉に霧吹きをするなどして湿度を保つ工夫をしましょう。
水やりの工夫
室内では土が乾きにくいため、水のやりすぎに注意しましょう。表面の土がやや乾いたタイミングで適量の水を与えることで、根腐れを防ぐことができます。
レモングラスの冬越し対策
日本の冬はレモングラスにとって非常に厳しい環境です。寒冷地の地植えではほとんど冬越しできないですが、鉢植えの場合は晩秋に室内に取り込み、春まで暖かい環境を常にキープできれば冬越しは可能です。

冬越しさせる場合は、生育期を終える頃(晩秋)に地際から15〜20cmほど残して茎を全部刈り込み、休眠期(冬)に突入したら水やりも控えめにしていきます。

最後に
本来、レモングラスは地植え向きのハーブで、畑や庭で大株に育てればたくさん収穫できますが、筆者としては、管理がしやすい鉢植え栽培をおすすめします。
一般家庭でお茶や料理を楽しむ程度であれば、一鉢で十分な量をまかなうことができますし、地植えで冬越しする際にかかる養生や鉢上げの手間がを省けるのは鉢植えならではのメリットです。
活用する場面も多いレモングラスは、家庭に一鉢あれば色々な場面で重宝する優秀なハーブです。是非本記事を参考に栽培にチャレンジしてみてください。
他のハーブよりも扱いやすいので、実はキャンプなどのアウトドアに出かける時も携帯すると便利です。
ご興味あるかたは下記のページもあわせてご覧ください。
