はじめに
これは、私がハーブ苗専門店で働いていたときの、ちょっと意外なエピソードです。
ある日、店頭で作業をしていると、一人の上品なご婦人が苗の陳列棚を見回しながら、こちらへと歩み寄ってきました。
「きっと ‘花苗のシーズンはもう終わりかしら?’ という質問だろうな」と、これまでの経験から予想しながら応対の準備をしていたのですが――
「コウモリ除けはどれかしら?」
……えっ? コウモリ除け!?

突然の質問に、頭の中の「お客様対応データベース」がフリーズしてしまいました。
実はこれが、私が初めて「ハーブにはコウモリ除けの効果がある」という話を聞いた瞬間です。最初は驚きましたが、その後も同じ質問を何度か受けるうちに、「ハーブを使ってコウモリ対策をする人が意外に多いのかも?」と気づきました。
そこで今回は、コウモリ被害に悩んでいる方に向けて、ハーブを活用した効果的なコウモリ対策の方法と、手軽に育てるコツを詳しくご紹介します!

コウモリの被害とは?
世界にはおそよ980種類のコウモリが生息していると言われています。
そして、日本に生息するコウモリは実に30種類以上。
中でも、建物に巣を作って被害をもたらすのは殆どが「イエコウモリ(アブラコウモリ)」という種類です。

イエコウモリは、大きさが5センチ程度と小さく、夜行性で夕方から夜にかけて餌となる虫を探しに飛び回り、一晩に大量の虫を捕食するため糞尿の量も非常に多いと言われています。
人間を直接攻撃することはないとはいえ、建物の天井裏や換気口などの隙間を寝ぐらとして住宅街にも多く生息しており、病原菌の繁殖源となって感染症やアレルギーの原因になる可能性があります。
また、同じく糞尿による壁や柱などのシミによって住宅の劣化が進んだり、体に付着したダニやノミによる衛生被害のリスクもあります。
シカやイノシシなどの獣害と違い、都市部での暮らす多くの人にとっても悪影響があるコウモリの害は特に切実な問題と言えるのかもしれません。

コウモリ対策について
すでに被害が発生している場合
まず最初にお伝えしたいのは、この記事でご紹介する「ハーブを使ったコウモリ対策」は、コウモリを寄せ付けないための予防策のひとつであるという点です。
もし、すでにコウモリの被害が発生している場合や、自宅周辺を飛び回っているのを見かけた、あるいは糞尿の跡を発見したという場合は、自己対策だけでなく、専門の駆除業者に相談することをおすすめします。
被害が進行する前に、早めの対応が重要です。信頼できる駆除業者については「コウモリ駆除navi」に相談してみてください。↓↓

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ハーブを使ってコウモリ対策したい方へ
「まだ被害は出ていないけれど、最近コウモリをよく見かける……」
「今のうちに、コウモリ対策をしておきたい!」
そんな方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

結論から言うと、コウモリ対策に特におすすめのハーブはミント類、なかでも『ニホンハッカ』です。
ミントは比較的手に入りやすいハーブですが、ニホンハッカを取り扱っているお店は少ないのが現状です。
もし近くのホームセンターや園芸店で見つからない場合は、ネット通販で探してみるのがおすすめ。1ポットあたり約400円ほどで購入できます。
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なぜニホンハッカはコウモリ除けに効果的なのか?
ニホンハッカがコウモリ対策に有効な理由は、「メントール」という成分にあります。

メントールといえば、スーッとした爽やかな香りが特徴で、食品の風味付けや、消炎作用を活かした外用薬・化粧品などにも幅広く使われています。名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
実は、このメントールの香りをコウモリは非常に苦手としています。
そして、ニホンハッカは一般的なミントよりもメントールの含有量が多いため、より高い忌避効果が期待できるのです。
自宅で育てて効果的に活用しよう
ニホンハッカをはじめとするミント類は、とても育てやすいハーブです。
繁殖力が強く、ガーデニング初心者の方でも簡単に育てられるため、庭や鉢植えでの栽培にぴったり。
「できるだけ手軽にコウモリ対策をしたい」という方は、ぜひ育ててみてください!
ニホンハッカの基本情報

科名 | シソ科(ハッカ属) |
分類 | 多年草(落葉低木) |
大きさ | 30〜70cm |
開花期 | 6〜9月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
品種 | はくび、わせなみ、 ほくと、緑美 etc |
苗の準備
ミント類は非常に繁殖力が強く、環境に適応すると一気に増えます。
「庭が広いので多少増えても問題ない」という方なら問題ありませんが、「広がりすぎると困る」という場合は、まず1〜3ポット程度から始めて、生育の様子を見ながら増やすのがおすすめです。
また、鉢植えなら増殖を抑えやすく、ベランダに置くだけでもコウモリ除けの効果が期待できるため、手軽に始めたい方に向いています。
丈夫なハーブ苗の選び方については、以下のページで詳しく解説していますので、購入の際に参考にしてください。
また、ネットで苗を購入する場合は、こちらのページも役立ちます。
植え付け
植え付ける場所は「日当たり」「風通し」「水はけの良さ」を重視しましょう。
ただし、直射日光が長時間当たると葉焼けすることがあるため、半日陰でもOKですが、日光をたっぷり浴びたほうが香りが強くなります。
・ミント類は交雑しやすいため、他品種のミントと一緒に植える場合は、距離を離すのがベター。
・増えすぎるのが心配な場合は、最初から鉢植えで育てるのがおすすめ!

日常管理
◆水やり
地植えの場合:植え付け後の水やりはほぼ不要。
夏場の乾燥が激しいとき:涼しい時間帯(朝や夕方)に適量の水を与えましょう。
◆剪定(切り戻し)
風通しを良くするために、定期的に剪定を!
→ 蒸れが原因で病気や根腐れが発生することがあるため、伸びすぎた茎はしっかりカット。

花芽は早めにカット!
→ 花を咲かせると株の元気がなくなってしまうため、見つけたらすぐに取り除きましょう。
◆肥料
基本的に不要! ミント類は痩せた土地でも育つため、特に施肥の必要はありません。
葉色が悪い場合のみ、春・秋に緩効性の固形肥料を少量追加。
◆虫害対策
湿気が多くなる時期には、アブラムシやハダニがつくことがあります。以下の対策を試してみましょう。
・アブラムシがついたら、流水で洗い流す or 歯ブラシなどでやさしく除去。
・肥料の与えすぎに注意!(栄養過多は害虫を呼び寄せる)
・水やり時に葉や茎も軽く湿らせ、虫がつきにくい環境を作る。
ハーブ全般の害虫対策については、下記のページでも解説しております。

収穫
ハッカは夏から秋にかけて長期間収穫可能!
丈が伸びていれば、根元から刈り取ってOK。
ミント類は地下茎でどんどん増えるため、短く切っても生育に影響はありません。むしろ、収穫するほど元気に成長するので、遠慮せずにどんどんカットしましょう!
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利用方法
収穫したハッカは束にして輪ゴムや麻紐などで縛ります。

コウモリは主に換気口や外壁の隙間、エアコンの配管の隙間などから侵入してくる傾向がありますので、あとは寄せ付けたくない場所の付近に2〜3束を吊るしておくだけです!
もしたくさん収穫できて余ってしまった場合は、ハーブティーとして利用したり、夏場にお風呂に入れればハーブバスとして楽しむこともできます。

ハッカ油を使った手軽なコウモリ対策
「自宅で栽培するのはちょっと面倒…」
「もっと手軽にコウモリ対策をしたい!」
そんな方には、市販のハッカ油を活用するのがおすすめです。
ハッカ油とは?
ハッカ油は、ニホンハッカから抽出された天然のオイル で、コウモリが苦手とするメントール成分を豊富に含んでいます。
また、消臭・抗菌・防虫効果もあり、日常生活でも幅広く活用できることから、最近ではドラッグストアや通販でも手軽に購入可能です。
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ハッカ油スプレーで簡単コウモリ除け!
ハッカ油を使ったスプレーを作り、コウモリの侵入経路に吹き付けるだけで、簡単に対策ができます!
スプレーの使い方
- コウモリが侵入しやすい換気口、エアコンの配管周り、屋根裏の隙間などにスプレーする
- メントール成分は蒸発しやすい ため、効果を持続させるには定期的にスプレーするのがポイント
手軽に試せるので、まずはハッカ油スプレーから始めてみましょう!

他の害獣にも効くハーブ
今回ご紹介コウモリ除けの他にも、スパイスやハーブを活用して下記のように様々な「◯◯除け」をすることができます。
蚊除け

ゴキブリ除け

ネズミ除け

魔除け

今回ご紹介した一部のハーブは、本サイトでも育て方を解説していますので、ご興味ある方はぜひ記事をご覧ください。

最後に
ハッカを利用したコウモリ除けは、ホームセンターなどで販売している薬品系の駆除グッズとは違い、効き目の強さとしてはそれなりです。
しかし、ハーブにはお茶や入浴剤、ポプリやドライフラワーなど、「二次利用できる」というメリットがある他、できるだけ化学物質を使用したくないという方でも安心して利用できるのでおすすめの方法です。
普段からコウモリの害を心配されている方にとって、本記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
※先にお伝えした通り、既に実害が出ているご家庭については、やはり一旦駆除のプロにご相談されることをおすすめします。
