はじめに
ミントやバジルといった使いやすいハーブは、多くの人に愛されていますが、爽やかな香りと豊富な活用法で注目を集めるのが「レモン系ハーブ」です。中でも「レモングラス」や「レモンバーム」はエスニック料理やハーブティーの素材として定番で、すでに馴染みがある方も多いでしょう。
しかし、今回ご紹介するのは、一歩進んだ魅力を持つ「レモンバーベナ」。
その特徴は、何といっても際立つ香りの強さと、初心者でも育てやすい低木性の特性にあります。香りを楽しむだけでなく、料理やお茶、さらにはインテリアグリーンとしても活躍する万能なハーブなのです。
この記事では、レモンバーベナの魅力や育て方、さらには驚きの活用法を詳しくご紹介します。きっとお庭や鉢植えに取り入れたくなるはずです。ぜひ最後までお読みください!

レモンバーベナとは?
基本情報

レモンバーベナ
学名 | Aloysia citroda |
別名 | コウスイボク、ボウシュウボク |
原産 | 南米(アルゼンチン、チリ) |
科名 | クマツヅラ科 (コウスイボク属) |
分類 | 多年草(落葉低木) |
大きさ | 1〜2m |
開花時期 | 5〜9月頃 |
耐性 | 耐寒性:あまりない 耐暑性:あり |
活用法 | ハーブティー、料理、 入浴剤、精油 etc |
特徴
「バーベナ」と聞くと観賞用の花を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、レモンバーベナは異なる植物です。バーベナは「クマツヅラ科バーベナ属」、一方でレモンバーベナは「クマツヅラ科コウスイボク属」に分類されるため、厳密には別の種になります。
フランスでは「ベルヴェーヌ」という名で広く親しまれ、和名では「コウスイボク(香水木)」と呼ばれます。これは、葉の爽やかな香りが香水の原料として使われていたことに由来しています。

レモンバーベナは、半耐寒性の低木で、生長すると1.5〜2メートルほどの高さになります。(原産地では最大3メートルほどに育つこともあります。)夏から初秋にかけて小さな白い花を咲かせ、葉はざらざらとした質感が特徴的です。
冬には落葉し、見た目は枯れ木のようになりますが、春になると再び新芽を出し成長を始めます。
比較的育てやすく、日常的に利用しやすいハーブなので、家庭の庭木としてもおすすめです。

活用方法
ハーブティー

レモンバーベナのハーブティーはクセが少なく、「ハーブティーはちょっと苦手…」という方でも飲みやすい、爽やかな風味が特徴です。
就寝前に飲むと気持ちを落ち着かせ、心地よい眠りをサポートしてくれます。また、食欲不振のときや胃の不調を感じるときにもおすすめです。
ホットでもアイスでも楽しめ、ほかのハーブや紅茶とブレンドするのも◎。乾燥させた葉でもお茶にできますが、摘みたての生葉を使うと、よりフレッシュで豊かな香りを楽しめます。

お酒

お酒に漬け込むと、爽やかな柑橘系の香りが加わり、より風味豊かに楽しめます。
最近では、日本酒にレモンバーベナを漬け込んだクラフト酒も登場し、注目を集めています。さらに、ジンやウォッカとも相性抜群で、香り付けとして加えるのもおすすめです。
レモンバーベナ以外にも、お酒と相性の良いハーブはたくさんあります。ご興味のある方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください!
精油

レモンバーベナの精油には「シトラール」という成分が含まれています。お湯を入れた容器に数滴垂らすだけで、レモンのような爽やかな香りが広がり、リラックスした空間を作り出せます。
注)精油を使用して肌に異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。また、ブレンドやマッサージに活用する際は、アロマテラピーの専門知識が必要です。特に初心者の方は、セラピストやアロマインストラクターに相談しながら、安全に楽しみましょう。
<参考商品>

ハーブバス

レモンバーベナがたくさん収穫できたときは、お風呂に入れてハーブバスとして楽しむのもおすすめです。
温かいお湯に葉を浸すと、湯気とともに爽やかな香りが広がり、心身ともにリラックスできます。心地よい香りに包まれながら、贅沢なバスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか?
レモンバーベナのほかにも、バスタイムにぴったりなハーブはたくさんあります。天然の入浴剤を試してみたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください!

レモンバーベナの育て方
植え付け
生育環境としては、日当たりと風通しが良い場所を好みます。
鉢植えで育てる場合、最初は苗よりも一回り大きな鉢を利用し、その後は、根が伸びて生長するに従って徐々に大きな鉢に移植します。(最終的には10号サイズ程度の大きさに落ち着きます。)
寒さが比較的苦手で、0℃〜−5℃を下回ると枯れてしまいますので、冬は室内で管理するか、暖地の場合は霜のおりない戸外で防寒対策をしましょう。
レモンバーベナの種子はあまり流通しておらず、育てたい場合は苗を購入するのが一般的です。
まず最初の一株を丈夫に育てることができれば、翌年以降は挿木で増やしていくことができます。(←挿木の方法は後ほどご説明いたします。)
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複数の株を地植えにする場合は1m以上離して植えつけましょう。
葉が生い茂って密集するようになった場合は、剪定をしながら風通しの良い状態を確保します。
土は市販の培養土で問題ありませんが、レモンバーベナは中性〜アルカリ性土壌を好むため、庭や畑の土をそのまま使用する場合は、苦土石灰を混ぜ込んで少しアルカリ性に傾けてあげましょう。(苦土石灰は1㎡に対して100g程度が目安。)

ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3くらいの割合がおすすめです。
植え付け穴をあけたら、たっぷりと水を含ませてから定植します。土を被せたらしっかりと株元に圧をかけて覆土しましょう。
日常管理
◆水やり
地植えの場合、根付くまでは土の表面が乾いたら水をあげるようにしてください。
よほど乾燥した日が続かない限り、根付いた後の水やりは必要ありません。
◆剪定(摘芯)
生長するに従って、枝が四方八方に広がったり細い枝が垂れ下がり、全体的に樹形が乱れることがあります。

まだ苗木が小さいうちに摘芯することで分枝を増やすことができますので、小まめに剪定しながら育てていきましょう。
◆肥料
園芸用土を使った場合は栄養分が入っているのでしばらく肥料は必要ありませんが、生育旺盛な初夏は液体肥料を与えることで順調に生育状態を保つことができます。
肥料の基本についてやさしくまとめた記事をご用意していますので、必要に応じて下記ページもご参照ください。
◆病害虫
病気のリスクは高くありませんが、温度が高い時期にハダニとアブラムシがつきやすくなります。
特に、葉の付け根にはアブラムシがつきやすいので小まめにチェックし見つけ次第早めに駆除しましょう。
害虫対策については下記の記事にて詳しく解説しています。
下記のページでは「ワームウッド」を使った防虫スプレーの作り方もご紹介しています。ご興味のある方はあわせてご覧ください。
収穫

レモンバーベナは春から秋にかけて長い期間収穫可能です。
ハーブティーを楽しむ方は、特に香りが強くなる秋以降に収穫するのがおすすめ。
葉が若いうちに剪定も兼ねてどんどん収穫することで枝葉を増やすことができます。

収穫後は生葉のまま利用しても良いですし、ザルなどに広げたり、茎を束ねて縛り風通しの良い場所に吊るしておけばドライハーブに加工できます。
下記のページで天日干しの注意点などを解説しておりますので、よろしければご参照ください。
※乾燥させる場合、湿気の多い時期はカビの発生に注意が必要です。フードドライヤーがあれば収穫の都度一気に水分を抜くことができますので安心です。
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挿木で増やしてみよう!

レモンバーベナは切り戻した枝を利用して挿木で増やすことができます。
<挿木の方法>
1:枝の先端は避け、硬い部分をさし穂に使用します。
2:葉は3〜4枚ほど残し、下葉を落とします。
3:挿し穂は1時間程度水に浸けておきます。
4:清潔な挿木用の土、または小粒の赤玉土をさし床にします。
5:さし床を湿らせておき、割り箸などで穴を開けたら、さし穂をさして覆土します。
6:根が出るまでは数週間〜1ヶ月程度、直射日光を避け土が乾燥しないように管理します。
7:根が十分に伸びたらプランターや地面に植え替えます。

最後に
今回ご紹介したレモンバーベナは、とにかく香りが強く、挿木で増やすことができ手間もかからないという点において庭木にしたい超おすすめのハーブです。
ご自宅のちょっとしたシンボルツリーとしても必ず喜ばれると思いますので、是非一度育ててその魅力に触れていただければと思います!
他にもレモン系のおすすめハーブがありますので、下記の記事も是非一度ご覧ください。
