ハーブティーに使われる【カモミール】ってどんな植物? 育て方と活用法

はじめに

カモミールと名のつく花にはいくつかの種類があり、定番の「ジャーマンカモミール」、多年草の「ローマンカモミール」、観賞用の「ダイヤーズカモミール」や「ダブルフラワー」、橙色の花が咲く「オレンジカモミール」などがあります。

品種によって性質や用途が違いますが、どれも可愛くて魅力的な花ばかりです。

今回の記事では、ハーブティーの超定番でありコスメ製品や精油などの原料としても幅広く使われている品種「ジャーマンカモミール」についてご紹介したいと思います。



ジャーマンカモミールについて

基本情報

ジャーマンカモミール

学名Matricaria recutita
別名カミツレ、カモマイル
原産ヨーロッパ、西アジア
科名キク科シカギク属
分類一年草
大きさ30〜80cm程度
開花時期4月〜5月
耐性耐寒性:あり
耐暑性:なし
活用法ハーブティー、料理、
お風呂、精油 etc

カモミールの歴史は古く、鎮静作用があることからヨーロッパでは薬用ハーブとして民間療法で使用され、お茶として飲まれるなど一般家庭でも広く愛されるようになりました。

日本へは、江戸時代にポルトガル、オランダから伝わったと言われています。

ジャーマンカモミールは、春に小さな白い花を咲かせる一年草です。

一年草ではありますが、種子は強い性質をもっており、まるで多年草かと勘違いするくらい、翌年になるとこぼれ種子でどんどん増えます。

その生命力の強さ故、「逆境下の力」や「逆境に負けない」など、耐え忍ぶことに関連した花言葉がつけられています。


ハーブの花言葉にご興味ある方は、下記のページも是非ご覧ください。


活用方法

① ハーブティー

ハーブティーの定番ともいえるカモミールティーは、収穫した花の部分のみを使用します。

ほんのりとした甘味とリンゴのような爽やかな香りが特徴です。

一般的に販売されている商品はドライ加工したものが殆どですが、摘み取ったものをそのままフレッシュな状態で利用することで更に香り高いお茶になります。

淹れたお茶に摘んだ花を一つか二つ浮かべれば、見た目にも楽しくなります。まさに自家栽培をしている方ならではの贅沢な使い方ですね。

カモミールティーは胃腸の調子を整えるのに良いとされている他、鎮静作用がありリラックス効果があると言われていますが、まだまだ研究データが少ないのも事実です。

実際に味わってみて香りや味わいが自分に合うようでしたら、就寝前の癒しアイテムとしてご活用ください。

※カモミールの研究や安全性については、「統合医療」情報発信サイトで確認できます。

「統合医療」情報発信サイトは、厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業に基づき、患者・国民及び医療者が「統合医療」に関する適切な情報を入手するために構築されたHPです。)

ジャーマンカモミールを使ったお茶を検索!

② 料理

淹れたカモミールティーはゼリーにしたり、クッキーやケーキの生地に練り込んで使うことができます。

ハチミツとも相性が良く、ほんのり爽やかなリンゴっぽい風味も加わるので、お菓子作りにはピッタリです。

市販のティーバッグ茶を利用して作れるレシピはCookpadでも掲載されていますので、よろしければご覧ください。

Cpicon カモミールティー飲むゼリー by バレリーナチカ
Cpicon カモミールのスポンジケーキ by モンテ物産
Cpicon なごみのカモミールティープリン by むすたーはむ

③ お風呂

カモミールのお風呂は浴室に漂う甘い香りと湯気で心と身体をリラックスさせてくれます。

市販の入浴剤もありますが、ご家庭で育てている方は収穫した茎や花を使って簡単にカモミールバスを楽しめますので、是非お試しください。


使い方(その1)
1:収穫したカモミールを鍋に入れて、沸騰寸前まで煮出して濃いめの抽出液を作ります。
2:目の細い布で抽出液を濾します。
3:お湯を張った浴槽に抽出液を入れて完了!(濃さはお好みで調節してください。)


使い方(その2)
1:収穫したカモミールを軽く洗浄して虫や汚れを落とします。
2:1を切って細かくしたものを、そのまま布袋や目の細かいネットに入れます。
3:浴槽に2を入れて、お湯を張って完成!(濃さはお好みで調節してください。)



④ ポプリ

香りの強いカモミールは、摘み取った花を乾燥させればポプリやサシェとしても利用できます。

お部屋やトイレ、または車内に飾ることで爽やかな香りが広がって心地良い気分にさせてくれます。

使用後に香りが薄くなったものに精油を数滴加えれば、花にオイルが染み込んでまたしばらく使えるようになります。

ドライ加工したカモミールは冷凍保存も可能です。乾燥させた花の部分をフリーザーバッグに入れて冷凍庫に保管します。好きな時に取り出してハーブティーやハーブバスとしても使えますので大変便利です。



ジャーマンカモミールを育ててみよう!

種まき&植え付け

生育環境としては、日当たりが良い場所を好みますが、半日陰でも育ちます。

高温多湿を嫌いますので、水はけと風通しも良いところを選んで植え付けましょう。

広い土地に群生させたい場合はばら撒きでも大丈夫ですが、苗作りをしたほうが後々の管理は楽になります。


<種子から育てる>
・発芽温度は15〜20℃
・春まきは3〜4月頃、秋まきは9〜10月頃です。
秋まきのほうが大株になり比較的丈夫に育ちます。
・育苗箱にに播いた種子は2〜3mm覆土するかをかけずに、日当たりの良い場所で管理します。
・育苗中の水やりは、種子が流れないように霧吹きなどを使用すると便利です。
・発芽後は混み合った部分を間引きしながら生長具合の良い株だけを残していきます。
・鉢上げ(=育苗ポットに移すこと)してもう少し大きく育て、苗が5〜10cm程度になったら植え付けOKです。


<苗の植え付け>
生長したときに混み合い蒸れて弱ってしまうので、株と株の間は十分間隔をあけて植え付けます。

間隔は30cm前後が目安です。(直播きの場合は、株間の距離を予め想定して播きましょう。)

連作障害は出にくいほうですが、何年も同じ場所に植えていると花つきが悪くなることがあります。

収穫目的をメインとした場合や鉢植えの場合は、土を入れ替えてあげたほうが良く育ちます。


土は市販の元肥入り園芸用土で問題ありません。

ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3くらいの割合で配合し、水はけと保水性を同時に確保するのがおすすめです。
(場合によっては赤玉土を6にして、保肥性のあるパーライト(※)を1加えても良いでしょう。)

※パーライト
=排水性と保水性、そして保肥性を高めるために使用する土壌改良材です。パーライトには種類があり、水はけが悪い場合は排水性を高める黒曜石のパーライト、逆に水はけが良すぎて乾いてしまう場合は保水性を高める真珠岩のパーライトを使用しましょう。

土壌改良材パーライトをチェック

土壌改良材について詳しく知りたい方は下記のページも参考になさってください。



日常管理

◆水やり
地植えの場合、根付いた後の水やりは必要ありません

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。

株元は蒸れやすく、湿り気がたっぷりの状態で放置すると根腐れを引き起こしますので、鉢の受け皿に溜まった水は必ず捨てましょう。


◆切り戻し、摘芯
生長してくると茎や葉が重なり蒸れてしまいますので、重なっている部分があれば切り取ってあげます。

また、茎の先端を切ってあげることで枝数が増えて、結果的に花数も多くなります。


◆肥料
園芸用土を使った場合は元肥が入っているので必要ありません。

地植えの場合であっても特に追肥は必要ありません。窒素分が多いと花つきが悪くなるので、養分過多にならないよう育てましょう。


◆病害虫
肥料のあげすぎによる窒素過多、風通しが悪くなることによりアブラムシが発生することがあります。日々チェックして発見したら早めに駆除します。

ハーブティーやお風呂用に収穫する方は可能な限り農薬を使わず、粘着性のトラップを使用して事前に対策したり、発生してしまった場合は増殖する前に歯ブラシで軽く擦って落としましょう。

虫を引きつける粘着トラップはこちらから!

ハーブの害虫対策については下記の記事も参考になさってください。



収穫

開花時になると次々と花が咲きますので、花の中心(黄色い部分)膨らんできたものから順次収穫していきましょう。

お風呂用に使うものは茎ごとでも良いですが、お茶やポプリ用は花の部分だけを使用しますので、用途に合わせ収穫をしましょう。


天日で乾燥させる場合は、よく晴れた日の午前中に収穫して日中に風通しの良い日陰で乾燥させます。乾燥したものはフリーザーバッグに入れて冷凍保存ができます。

収穫時はなるべくハサミをアルコールスプレーなどで消毒してから使用しましょう。

※乾燥させる場合、フードドライヤーがあれば収穫後一気に水分を抜くことができますので安心です。

ドライハーブ作りにオススメの食品乾燥機をチェック!

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キク科アレルギーの方はご注意を

ジャーマンカモミールはキク科の植物です。キク科アレルギーをお持ちのかた、またはアレルギーを持っている可能性のある方は使用をお控えください。

ブタクサヨモギをはじめとしたキク科の植物で花粉症の症状が出る体質の方や、メロンやスイカやきゅうりなどを食べて喉がイガイガしたり痒くなったりする方も注意が必要です。

メロン、スイカ、きゅうりはウリ科ですが、アレルギーの原因となる抗原の構造が似ていると言われています。

摂取した時の反応は個人差がありますが、心配な方は使用を控えるか、使用前に医師へ必ずご相談ください。



最後に

以前は、「春の訪れ」といえば当然のように桜の咲く景色を思い浮かべていましたが、ハーブを栽培を始めるようになってからはジャーマンカモミールが咲き広がる光景を強くイメージするようになりました。

様々な草花が新芽を出して青々と茂ってくる頃、秋に種子を播いたカモミールが寒い冬を乗り越えてそこら中に群生する姿は、生命力の強さを感じさせ、これから始まるガーデニングシーズンの幕開けを伝えてくれるようです。

花の時期は比較的短めですが、季節のご挨拶として小さなブーケを作って贈るのも素敵だと思います!

今年は種子から育てて、是非その魅力に触れていただけたら幸いです。


ジャーマンカモミールとローマンカモミールは見た目が似ていますので混同されることがあります。下記のページも参考になさってください。


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ハーブについて品種と特徴
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