はじめに
その独特の葉の形から園芸店の多肉植物コーナーでも販売されているアロマティカス。
一見すると観葉植物のようですが、実は料理やハーブティーとしても使える優秀なハーブでもあります。
原産地のインドや南アフリカでは薬用植物として古くから活用されていますが、日本では新参の植物で、まだまだよく知られていないことも多いようです。
最近ではゴキブリ避けに効果があるとされ、家庭でも比較的簡単に育てられることから人気が高まっています。(←虫除けスプレーの作り方は後ほど説明します。)
という事で、今回の記事では、アロマティカスって何?という読者の皆様に、その特徴や育て方、様々な活用法をご紹介させていただきます!
アロマティカスについて
基本情報
アロマティカス
学名 | Plectranthus amboinicus |
別名 | キューバオレガノ、 スープオレガノ etc |
原産 | インド、南アフリカ |
科名 | シソ科プレクトランサス属 |
分類 | 多年草 |
大きさ | 20〜45cm程度 |
開花時期 | 4〜8月頃 |
耐性 | 耐寒性:なし 耐暑性:あり |
活用法 | 料理、お茶、薬用、 インテリア etc |
一番の特徴と言えば何よりもまず、厚みがありふんわりとした手触りの葉っぱです。
多肉質で丸い葉の表面は柔らかい軟毛で覆われ、ミントにも似たほんのり甘く爽やかな香りがします。
シソ科の常緑多年草ですが、原産地が暖かい地域ということもあり冬の寒さには弱く、5℃を下回る日が続くと茶色に変色して枯れてしまいます。
地域にもよりますが、冬は屋内に取り込んだり、ベランダなど寒風が当たらない場所で水分量を少なく育てれば冬越し可能です。
多肉植物としては比較的珍しく食用や飲用として使うことができる他、消毒や殺菌作用もあることから様々な用途で使われています。
活用方法
① お茶、飲み物の香り付け
アロマティカスはハーブティーとして楽しむことができます。
淡い緑色のお茶は、ミント系のスッキリした風味に似ていて、もちろん単体でも楽しめますし、レモンなどを加えると更に風味が増して美味しくなります。
紅茶に摘んだ葉を入れても味の変化を楽しめますのでおすすめです。
また、お茶以外にもジンやホワイトリカーなどに漬け込んで、ハーブ風味のリキュールを楽しむこともできます。
※アロマティカス以外にも、お酒との相性がよいハーブがたくさんありますので、ご興味ある方は下記のページもご覧ください。
② 料理
おすすめは生のままカットしてサラダの具材として混ぜ込んだり、お菓子や料理のトッピングして使います。
また、オムレツの具材として使うと爽やかな風味が加わり、いつもと違った味を楽しむことができます。
cookpadには、他にもアロマティカスを使ったレシピが掲載されていますので是非検索してみてください!
③ 虫除け
アロマティカスには、ミントやタイム、レモングラスなどに含まれる「チノール」や「オイゲノール」といった成分が含まれており、ゴキブリや蚊がこれらの成分を嫌うとされています。
ご家庭でも簡単に作れますので、是非一度お試しください。
アロマティカスの虫除けスプレーの作り方
<材料>
A: アロマティカスの葉 適量
B: 精製水 250ml
C: エタノール 100ml
その他:スプレーボトル 1本
<作り方>
1:A〜Cを蓋付きの瓶に入れる。
2:葉が茶色になるまで寝かせる。
3:できたものを濾して葉を取り除けば完成!
ゴキブリ除けに使用したい場合は、作った液体を部屋の隅にシュッとスプレーしておくだけです。
④ お風呂
収穫してお風呂に浮かべれば見た目にも楽しく、天然の入浴剤として使えます。
爽やかな香りが浴室に広がり、身体が芯から温まり、リラックス効果を与えてくれます。
使い方は至ってシンプル。収穫した茎葉を軽く洗い流し、そのまま浴槽に入れるだけです。(量はお好みで調整します。)
⑤ 火傷のケア
火傷の応急処置として、日本ではアロエが「医者いらず」と言われ一般的に重宝されていますが、海外ではアロマティカスを使用しているところもあります。
余談になりますが、アロエの効果については、火傷のケアに使用したほうが良いとする意見と使用を控えるべきという意見があります。
アロエもアロマティカスも、あくまで民間療法として使用されていますので、ご自身の肌の性質や火傷の程度をよく考慮した上で使用しましょう。
⑥ インテリア
食べたり飲んだりしなくても、観葉植物(インテリア)として楽しめます。
一般的な観葉植物よりも水々しい印象のアロマティカスは、周囲の雰囲気を明るくしてくれると同時に、爽やかな香りがして室内用観賞用としてもおすすめです。
他のハーブや多肉植物と寄せ植えすれば見た目もワンランクアップします!
ご自宅やオフィスのデスクに鉢植えしたものを置いておけば、リラックスしたい時に葉をひとつまみして香りを楽しめます。
アロマティカスを育ててみよう!
植え付け
生育環境としては、日当たりが良い場所を好みます。
半日陰でも育ちますが、あまり光をあてずに育てると葉色が少し悪くなります。
また、高温多湿の環境では蒸れて根腐れを引き起こしますので、時折剪定して株の風通しを良くしたり、水分を控えながら育てましょう。
アロマティカスの種子は流通していないため、はじめての方は苗を購入しましょう。
既に育てている方は、既存の株を利用して「挿し木」「水挿し」「株分け」のいずれかの方法で増やすことができます。
アロマティカスの苗を早速チェック!
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<植え付け>
苗を用意したら早速植え付けていきます。
地植えでも一定期間は順調に育ちますが、日本の寒さでは戸外で冬越しするのが難しい為、基本的には鉢やプランター(コンテナ)で育て、冬場は室内で管理します。
単体で鉢に植え付ける場合は6〜7号程度のサイズを用意しましょう。
複数の株を植え付ける場合は、株と株の間を20〜30cm程度確保しますので、植え付ける株数に応じてプランターのサイズを選びます。
※プランター選びは下記のページで詳しく解説していますので、鉢植え栽培がはじめてという方は参考になさってください。
水はけの良い土を好みますので、市販品であれば、多肉植物や観葉植物用の土で問題なく育ちます。
ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土8に対してバーク堆肥2くらいの割合がおすすめです。
また、水はけを良くするために、鉢やプランターの底に川砂を少量入れると効果的です。
日常管理
◆水やり
乾燥を好むため水やりは控えめに行いますが、一般的な観葉植物よりは多めです。
生育期(4〜9月頃)は、土の表面が乾いたらたっぷりとあげます。
気温が低くなるにつれて、水分の吸い上げがゆっくりになりますので、秋頃から控えめにする必要があります。土の表面が乾いてから1〜2日後にあげる程度で問題ありません。
冬は休眠期になりますので、土を少し湿らす程度で大丈夫です。2週間に1回程度が目安です。
◆剪定
アロマティカスは葉が混み合ってくると蒸れて弱ってしまいますので、春から秋にかけて適宜剪定を行います。
剪定の目的は、株の枝数を減らすことで風通しを良くし蒸れないようにするため、そして脇目の生長を促すためです。
◆肥料
それほど多くの肥料分を必要としない植物ですので、施肥しなくとも十分育ちます。
葉色が薄くなり明らかに肥料不足の兆候が出始めた場合は、生育期の春から秋にかけて、液肥を数回に分けてあげると良いでしょう。
◆病害虫
特に大きな心配はいりませんが、栽培環境によってはカイガラムシが発生することがあります。
カイガラムシは成虫になると殻に覆われているため薬剤が効きにくくなります。
白い斑点を見つけたらすぐに歯ブラシやピンセットなどで除去するようにしましょう。
料理やお茶として使用する方は薬剤の散布は避け、安心安全なものを利用して除虫を行いましょう。
害虫の予防や対策については下記のページでも取り上げていますので、よろしければ参考になさってください。
収穫
生育旺盛なハーブですので、株が小さなうちから収穫することができます。
特に生育期は茎がぐんぐん伸び、場合によっては伸びすぎた茎が倒れて株全体の姿が乱れますので、小まめに収穫してどんどん利用しましょう。
収穫したらそのまま使うのがベストですが、剪定を兼ねてたくさん収穫できた場合は、冷凍保存することが可能です。
使用する際は、自然解凍したものをサラダの具やトッピング、お風呂用として活用できます。
最後に
今回は、観葉植物とハーブの二つの顔をもち、様々な用途がある「アロマティカス」をご紹介しました。
ハーブの中にはアロマティカスのようにユニークな葉をもち、鉢植えや庭木にもおすすめの品種がたくさんありますので、ご興味ある方は下記の記事もあわせてご覧ください。