はじめに
美しい色合いを楽しめるハーブティーといえば「バタフライピー」や「ローズヒップ」が思い浮かびますが、それに負けず人気を集めているのが「コモンマロウ」です。

特にコモンマロウは、開花期に鮮やかな赤紫の花を次々に咲かせ、見た目にも楽しめる魅力的なハーブ。ハーブティーとしてだけでなく、夏の花壇を華やかに彩る植物としても注目されています。さらに、その丈夫さと育てやすさから、初心者でも安心して楽しめる点も人気の理由です。
この記事では、コモンマロウの育て方や活用法、他のマロウとの違いをわかりやすくご紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、この魅力的なハーブを日常に取り入れてみてください!

コモンマロウとは?
基本情報

コモンマロウ
学名 | Malva sylvestris |
別名 | ウスベニアオイ |
原産 | ヨーロッパ |
科名 | アオイ科ゼニアオイ属 |
分類 | 多年草(宿根草) |
大きさ | 100〜200cm |
開花時期 | 5〜9月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | 主にお茶、着色料 |
特徴
コモンマロウ(ウスベニアオイ)は、アオイ科ゼニアオイ属に属する多年草で、ハーブとしても親しまれています。マロウと呼ばれる植物には、コモンマロウのほかにもブルーマロウやマーシュマロウなどいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。(←後ほど詳しくご紹介します)
非常に丈夫で、こぼれ種から自然に発芽し、野生化することもあるほど生命力が強い植物です。耐寒性・耐暑性に優れ、日本の気候でも育てやすいのが魅力。開花期は5〜7月で、美しい紫色の花が次々と咲き、適切に管理すれば毎日のように花を収穫することができます。
ただし、株自体の寿命は比較的短く、一般的には2〜3年程度とされています。そのため、長く育て続けるには、株分けや新たな種子からの育成が必要です。特に花が終わった後に種を採取し、翌年の春に播種すると、安定して毎年楽しむことができます。

コモンマロウの活用方法
ハーブティー

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ドライ加工したものや生の花に熱湯を注ぐと、淡いブルーの美しいお茶になります。
時間が経つにつれて、お茶の色は少しずつ紫や茶色に変化していきます。また、コモンマロウにはアントシアニンと呼ばれる水溶性の色素が含まれており、レモン汁を加えると鮮やかなピンク色へと変化する性質があります。
この色の変化が特徴的なことから、コモンマロウのハーブティーは「夜明けのハーブティー」とも呼ばれています。その幻想的な色合いが魅力のひとつです。
また、「バタフライピー」もアントシアニンを含んでおり、お茶にすると同じように色の変化を楽しむことができます。興味のある方は、以下のページもぜひご覧ください。

ちなみに、コモンマロウ自体は味や香りが殆どしませんので、他のハーブとブレンドして色付けに使用します。

料理

花は、エディブルフラワーとしてサラダに少量散らしたり、プレートの飾り付けとして使ったりすると、食卓が華やかになります。鮮やかな色合いが特徴で、料理のアクセントとして楽しむことができます。
また、若葉はやわらかいうちにサラダやスープに加えることも可能です。ほのかな風味があり、他の食材と組み合わせることで、料理の彩りを引き立てます。

コモンマロウの育て方
コモンマロウの種子や苗は、ホームセンターや園芸店で購入できます。近くの店舗で見つからない場合は、ネット通販を利用するのもおすすめです。
また、すでに育てている方がいる場合は、株分けや挿し木用の茎を分けてもらう方法もあります。。
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生育環境
コモンマロウは日当たりと水はけの良い場所 を好みます。真夏の高温には比較的強いものの、 蒸し暑さには弱いため、風通しの良い場所 に植えるのがポイントです。
種まき&植え付け
種から育てる場合
<種まきの適期>
- 発芽温度:15℃以上
- 春(4月頃)または 秋(9月頃)
<種まきの方法>
- 花壇や鉢に直接まくか、育苗ポットに播きます。
- 5mm程度覆土し、発芽するまで乾燥しないように水やりを続けます。
- 育苗ポットの場合、2〜3粒まき、発芽後に1本だけ残します(直播きの場合も、発芽した芽の間隔が狭い場合は間引きましょう)
- 本葉が4〜5枚になったら定植OKです。

苗の植え付け
土の準備

土は市販の元肥入り園芸用土で問題ありませんが、コモンマロウは酸性土壌が苦手なので、庭や畑の土をそのまま使用する場合は、苦土石灰を混ぜ込んで少しアルカリ性に傾けてあげたほうが順調に育ちます。(苦土石灰は1㎡に対して100g程度が目安です。)
ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3くらいの割合がおすすめです。
<鉢植えの場合>
- 7〜8号サイズ の鉢を用意し、株が大きくなったら一回り大きな鉢に植え替える
<地植えの場合>
- 複数の株を植える場合は、80〜100cm以上 間隔を空ける
植え付けの手順
- 植え付け穴を掘り、たっぷりと水を含ませる
- 苗を植え、土をかぶせたら株元をしっかり押さえる

日常管理
◆水やり
地植えの場合、根付くまでは土の表面が乾いたら水をあげるようにしてください。よほど乾燥した日が続かない限り、根付いた後の水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。
水やりについては別の記事でもコツをご紹介していますので、参考にしていただければ幸いです。
◆剪定(切り戻し)
生育が順調だと葉や花が混み合ってきますので、風通しを確保し蒸れを防ぐためにするため、適宜すいてあげましょう。
花期が終わったら冬越しに備えて株元(地際)から15〜20cmのところ、または地際から2〜3芽残して短く切ります。

◆肥料
生育期間は無理に肥料分を与える必要はありませんが、花が終わった頃にお礼肥を、冬の間に寒肥をあげることで翌年の生育が良くなります。
土地が痩せている場合には追肥を施してあげるのも良いでしょう。
肥料を使用したことがないという方は下記の記事もあわせてご覧ください。
◆病害虫
春から夏にかけ、気温が上がってくる頃にアブラムシやハマキムシがつくことがあります。また生育初期の苗にはヨトウムシにも注意です。
市販の殺虫剤で対処できますが、薬剤の使用に抵抗がある方や収穫して飲食用に育てている方は、日常的に株を観察して、虫を見つけたらピンセットや歯ブラシなどで除去するようにしましょう。
害虫予防については下記の記事もご参照ください。
収穫
コモンマロウは春から初秋までたくさんの花をつけますので、咲いたらいつでも収穫できます。
開花した日の夕方頃には萎んでしまうので、収穫はなるべく午前中の涼しい時間帯に行いましょう。

収穫後は軽く洗浄して生のまま利用できますし、ザルなどに平らに広げて乾燥させればドライハーブとして長持ちさせることができます。
※乾燥させる場合、湿気の多い時期はカビの発生に注意が必要です。フードドライヤーがあれば収穫の都度一気に水分を抜くことができますので安心です。
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ハーブの天日干しについては下記のページをご参照ください。
色々なマロウを育ててみよう!
今回ご紹介したコモンマロウの他にも仲間が存在しますので、以下簡単にご紹介したいと思います。
ゼニアオイ

「コモンマロウ・モルチアナ」とも呼ばれており、よくコモンマロウと混同されます。
このゼニアオイもお茶として利用することができます。
ムスクマロウ
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白または淡いピンク色の花。茎が細く繊細な雰囲気でほんのりとムスクの香りがします。
日本では「ジャコウアオイ」という名でも呼ばれています。
マーシュマロウ

お菓子のマシュマロの語源ともなった花。
マロウの中でも薬効が高いとされています。
日本では「ビロードアオイ」とも呼ばれています。
ブラックマロウ

別名:ホリホック・ニグラ、黒紫の花が非常に印象的な品種。
ハーブティーとしても楽しめ、色はコモンマロウよりも濃くなります。
花色や形にはそれぞれ特徴がありますが、基本的な育て方は今回ご紹介したコモンマロウと同じです。
花の色や形にそれぞれ個性がありますので、色々なマロウを植栽に加えてガーデンデザインを楽しんでください。

マロウは比較的交雑しやすい植物です。品種の違う苗を植える場合は株と株の間は十分距離を取って植えましょう。

最後に
実際にマロウを育ててみると非常に丈夫な植物であることがわかります。
筆者も除草作業の時に誤って刈り取ってしまった経験がありますが、その後新しい芽が生えまた翌年新しい花を咲かせ、とても驚かされました。
株を増やしたい場合は、切り戻した茎を利用して挿木もできますので、初めて育てるという方はまず一株を大切に育て、翌年は挿木で株数を増やすことにもチャレンジしてみてください。
ハーブティーとして利用される場合、持病がある方や薬を常服している方は、かかりつけの医師にご相談ください。コモンマロウに限らず、ハーブティーは種類によって体調や薬の効果に影響するものがあります。月経中や妊娠中・授乳中の方、小さなお子様も使用をなるべく控えるか、医師にご相談ください。
