はじめに
皆さんは、園芸店で買い物をする際、店員さんに色々と相談することありますか?
もちろん、丁寧に接客をしてくれるお店ではお客様の経験値をしっかり見極めて、できるだけわかりやすい言葉で教えてくれますが、そうでない場合は、園芸店に買い物に来ているというだけで「既に色々と知っている人」と見なされ、専門用語たっぷりの説明をされてしまうことがあります。
店員さんの使ってる用語が理解できないけど、今さら質問するのもちょっと気が引けるな….尻込みしてしまう方も実際多いのではないでしょうか。
本記事は、園芸店での会話やガーデニング用語としてよく登場する「一年草」と「多年草」、更に二年草や宿根草についての解説です。
園芸においては基本的な言葉ですが、これから植物を育ててみよう、基本的なことがまだ理解できていないという方は、是非この記事を参考になさってください。
園芸用語学習におすすめの本をチェック!(リンク先:楽天市場)一年草と多年草の違い
まずは簡潔に、二つの違いをご説明いたします。
一年草
= 発芽して一年以内に花を咲かせて枯れてしまう植物。「一年生植物」とも呼ばれる。
【一年草の花(例)】
パンジー、ひまわり、マリーゴールド、コスモス、朝顔、ネモフィラ etc
【一年草の身近なハーブ(例)】
バジル、ルッコラ、イタリアンパセリ、ディル、ジャーマンカモミール etc
多年草
= 発芽して花を咲かせても枯れずに、その後も生長を続ける植物。
【多年草の花(例)】
スズラン、マーガレット、ガーベラ、カーネーション etc
【多年草のハーブ(例)】
ラベンダー、ローズマリー、オレガノ、タイム、セージ、ミント類 etc
一年草についてもう少し詳しく
一年草は「ワンシーズンで枯れてしまう植物」ということを前項でご説明しました。
春に植えた草花が花を咲かせ、秋になって枯れてしまうのはなんだか少し寂しい気もしますが、ワンシーズンを通して育てることを楽しみ、枯れた後は翌年に更新(植え替え)するというのが一年草の基本的なサイクルになります。
花が終わった後は種子を採取して、また翌年種まきをしても良いですし、枯れた株を引き抜いてそのまま土に返してあげるのも良いです。
「一年草なのにまた翌年も咲きましたよ」という方もいらっしゃるのですが、恐らくそのほとんどは「こぼれ種子」から発芽したものだと思われます。
一年草とは言え、咲いて終わりではなく、自然のサイクルとしてしっかりと子孫を残すべく種子を地面に落としているという印です。
株を更新したり、苗を植え替えたりするのがちょっと面倒かも…という方は、こぼれ種子が発芽するのにかけてみるのもアリかもしれません。
多年草についてもう少し詳しく
ワンシーズンでその生涯を終える一年草と違い、多年草は翌年また同じ株から茎を伸ばし新たな葉をつけ、そして花を咲かせます。
つまり、ワンシーズン終わってからも生長を続ける植物は多年草と呼ばれます。
植えっぱなしでも、生育時期になるとまた生長して花を咲かせてくれるわけですから、庭が広くて毎年の植え替えがちょっと大変…という方や、どんどん株を大きくして収穫や観賞を楽しみたいという方にはとても嬉しい植物です。
しかし、多年草だからと言って、必ずしも二年三年と手放しのまま健康な状態でいるかといえばそうではありません。
剪定をしたり、肥料を与えながら生育環境をしっかり整えてあげることが大切です。
多年草のはずなのに一年経ったら枯れてしまった….というケースもよく聞きますが、多年草と言われている植物でも環境が変われば、地域によっては一年草扱いになるものもあります。
例えば、パンジーは海外で多年草とされるところがありますが、冬の寒さが厳しい日本では一年草扱いです。
他にも、本来多年草とされるレモングラスは日本の寒冷地では一年草扱いとなります。
海外での情報と日本での情報が違う場合は、それ自体が間違っているというわけではなく、あくまでその国での扱いが一年草か多年草かということです。
同じ系統の植物であっても品種によって一年草か多年草かが違うというケースもあります。
例えば「カモミール」。
ジャーマンカモミールは一年草でローマンカモミールは多年草です。
品種の多い植物については、個々の特性を事前に調べた上で植えましょう。
ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違いについては下記のページもご参照ください。
二年草って何?
一年草と多年草を知っている方でも「二年草」(二年生植物)はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
「多年草と同じなんじゃない?」と思う方もいるかと思いますが、実は多年草とはちょっとだけ違うのです。
二年草を簡単に説明しますと、「その一生を二年かけて終える植物」ということになります。
一年草は「一年」という時間の中で生長し開花し枯れて生涯を終えます。
それに対して、二年草は発芽した一年目は根や茎を伸ばしながら生長し、その翌年に花を咲かせて枯れます。つまり、一年以上二年以下でその生涯を終えるという植物なのです。
一方、多年草は一年以内に生長し開花し枯れるというサイクルを毎年、何年も繰り返すわけですから、やはり二年草とは定義が違います。
【二年草の花(例)】
月見草、かすみ草、ジキタリス、バーバスカム、ムギワラギク etc
【二年草のハーブ(例)】
イタリアンパセリ、モスカールドパセリ、マリアアザミ(ミルクシスル)
宿根草って何?
多年草と同じ意味でよく使われているのが「宿根草」という言葉。
人によっては「多年草=宿根草」だと思われている方も多いかもしれません。
決して間違っているわけではないのですが、もうちょっと厳密に言うと、多年草というカテゴリーの下にぶら下がっている一つの分類が宿根草です。
多年草は、主に以下の二つに分かれます。
宿根草
▶︎花を咲かせた後に、一旦地上部が枯れてしまう(根は生きたままで翌年また生長する)。
常緑多年草
▶︎花を咲かせた後も地上部の葉が緑のまま残る。
例をあげて分かりやすく説明します。
ミント類は晩秋から冬になると一度地上部が枯れて無くなり、また翌年新たに茎を伸ばし葉をつけるので宿根草。ローズマリーやラベンダーは冬の間も葉をつけているので常緑多年草です。
ミントもローズマリーやラベンダーも含めて「多年草」と表現するのは間違いではありません。
しかし、「ミントは常緑多年草です。」「ローズマリーは宿根草です。」と表現してしまうと話は違ってきますのでご注意を。
宿根草だと知らずにお庭に植え、地上部が枯れてしまったので一年草だと勘違いして掘り上げてしまう方がいます。
土中の根はしっかりと生きており次のシーズンに備えていますので、掘り返さずに次の発芽時期まで辛抱強くお待ちください。
最後に(まとめ)
一年草: 一年で枯れて生涯を終えます。
(翌年はまた新たに種子か苗から育てましょう)
二年草: 二年目で枯れて生涯を終えます。
(二年目以降は新たに種子か苗から育てましょう)
多年草: 一年過ぎても生き続けます。
(手入れをしながら翌年に備えましょう)
宿根草: 多年草の中でも、地上部が枯れる植物のことです。
(根っこはちゃんと生きてます!)
ここまでの解説でそれぞれの違いがお分かりいただけましたでしょうか?
植物を育てる上でとにかく頻繁に出てくる基本的な用語ですので、是非覚えておきましょう。
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