「好光性種子」と「嫌光性種子」とは? 発芽に関わる大切な基本知識

はじめに

暑さ寒さが和らぐ春や秋は、植物の種まきに最適な時期です。

「次はどんな花を楽しもうかな〜」「来年はこんな花を見てみたい!」と、苗や種を求めに園芸店に多くの人が足を運ぶようになるのもこの時期です。

そんな種まき時期を少し過ぎてからよくいただく相談事があります。

それは、「なかなか発芽しないのですが…何がいけなかったでしょうか〜?」という内容のご相談です。

もちろん、発芽までの温度管理や土壌の性質、水やりの仕方、など色々な原因が考えられますが、お話を聞いていく中で、意外と多かったのが「種まきをした時に被せる土の厚さ」に関わる理由でした。

ということで、今回は種の性質を理解して適切な覆土ができるようになるための記事となっております。

いつも発芽で苦労する,,,という方は是非参考になさってください。



種によって異なる覆土の厚さ

皆さんは種まきの時に、どれくらいの厚さで土を被せていますか?

よく一般的な情報として見かけるのは、「種の大きさの◯倍の土を被せます」という説明です。

勿論、間違った情報ではないのですが、勘の良い人はここで少し疑問に思うはず。


当然のことながら、植物たちは自然界の様々な環境で生きています。

太陽の光が燦々と降り注ぐ場所で元気に育つもの、または逆に、少し日陰くらいのほうが繁殖しやすいものなど、その植物によって好む環境はそれぞれ違うのです。

人間にも「インドア派」と「アウトドア派」がいて、それぞれの好みや心地よく過ごせる環境が違うように、種もそれぞれが元気に発芽するために必要な環境が違うということで、全ての種を同じように扱うのはナンセンスです。



好光性種子と嫌光性種子

植物によって発芽しやすい環境が違う、というイメージが少し湧いたところで本題に入ります。

種を播いた後、そもそも土をかぶせる必要があるのか、かぶせる場合はどれくらいの厚さが適切かを判断するのは、その種が「光を好む性質か、光が苦手な性質か」という要素です。

光を好む種を「好光性種子(こうこうせいしゅし)」、光が嫌い(または苦手)な種を「嫌光性種子(けんこうせいしゅし)」と言います。

好光性種子でも嫌光性種子でもない「中間性種子」というものもあります。


前項で記載した通り、「種の大きさの◯倍の土を被せます」という一般的な情報は、この中間性種子の性質(または嫌光性種子の性質)に当てはめた説明の場合が多いです。



好光性種子の場合

「好光性種子」は、その名の通り、光を必要とし光によって発芽が促進されますので、種まきをした後は覆土自体をしないか、(場合によっては)ミリ単位の薄い覆土をするかのどちらかになります。

これまで、全ての種子に土を被せてきた方の中には、「土をかぶせずに芽が出るのかな…」と思う方もいらっしゃいますが、ご安心ください。

好光性種子に関しては、覆土しないほうが格段に発芽しやすくなります。

好光性種子の例

【野菜&ハーブ】
人参、キャベツ、レタス、カブ、白菜、春菊、シソ、バジル、カモミール、etc


【花】
金魚草、ベゴニア、ペチュニア、ポピー、バーベナ、かすみ草 etc


【ワンポイントアドバイス】
・覆土せずに育苗トレーに播いた場合、勢いよく水やりをしてしまうと種が流れ出てしまう可能性があります。

種の流出を防ぐために、水やりの際は細かい目のハス口がついたジョウロか霧吹きなどを利用しましょう。

・好光性種子であっても、寒冷地で栽培する場合は発芽適温を保つために数ミリ程度の覆土をする場合があります。

・好光性種子の多くは粒が非常に小さいので、ピートバン(※)を活用して種まきをするのも有効です。

ピートバン
= ピートモスを乾燥させて板状にした培養土で、水で膨らませて使用します。

通気性と排水性、保水性、保肥性を兼ね備えており、特に小さいサイズの種まきには最適な園芸資材です。

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嫌光性種子の場合

一方、「嫌光性種子」は発芽に光を必要としない(あるいは光を苦手とする)種です。

光を当て過ぎてしまうと逆に発芽が抑制されてしまいますので、種まき後はしっかりと土をかぶせてあげましょう。

嫌光性種子に関しては「種の2倍(または3倍)の土を被せる」という方法でOK。

土に種の2〜3倍の大きさの穴を開けて種を入れ、平になるよう覆土した後は軽く鎮圧して完了です。(所謂、一般的に推奨されている種まきの方法ですね。)

嫌光性種子の例

【野菜&ハーブ】
大根、ニラ、ナス、ネギ、ピーマン、かぼちゃ、ナスタチウム、ニゲラ etc


【花】
パンジー、ビオラ、コスモス、スイートピー、ネモフィラ、サルビア、ジニア etc

【ワンポイントアドバイス】
・発芽するまでは、乾燥防止と発芽温度の確保、遮光のために新聞紙で育苗トレーを覆い、発芽温度を確保しながら管理しましょう。

・発芽した後は光を必要としますので、速やかに新聞紙を取り除き、好光性種子と同じように日光に当てて育苗します。



お子さんの自由研究の題材に!

今回ご紹介した好光性種子と嫌光性種子の違いは、子供の自由研究の題材としてもおすすめです!

ちょうど夏休みシーズンに種まきができる野菜や花を事前に調べ、光の当たる環境と光の当たらない環境でそれぞれ育てます。

意外にも顕著に結果が出ますので、親子で土に触れることを楽しみながら発芽を観察できる良い機会になると思います。

サカタのタネ」のサイトでは、皆さんのお住まいの地域や時期に応じて種を検索することができますので、参考としてご覧ください。



最後に

今回は、種まきをしても中々発芽しなくて困っているという方のために、光を好む種(好光性種子)と光が苦手な種(嫌光性種子)をご紹介させていただきました。

勿論、植物の発芽は光の好き嫌いや覆土の厚さだけで決まるわけではありませんが、うまくいかない原因の一つとして心当たりのある方は本記事を参考になさってください。

基本が身につくと、ガーデニングもより一層楽しくなります。種まきや育苗ができるようになると、低コストで野菜やハーブを自給できるようになるので、少しずつ学びながら上達していきましょう!

本記事でご紹介した好光性種子のバジルと、嫌光性種子のナスタチウムは下記のページで育て方などもご紹介していますので、ご興味ある方はあわせてご覧ください。



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