はじめに
限られたスペースでも手軽に楽しめるのが「コンテナ栽培」の大きな魅力です。
大手種苗会社「タキイ種苗株式会社」の調査によると、多くの人が「栽培場所がない」という理由で家庭菜園を実施できていないそうです。

(参照元:タキイ種苗株式会社「2022年度 野菜と家庭菜園に関する調査」)
広い面積がなくても、鉢植えひとつから始められるのがプランター栽培の魅力です。本記事では、鉢やプランターの選び方、基本的なポイントをわかりやすく解説しますので、これから家庭で植物を育ててみたいという方はぜひ参考にしてください。

意外と知られていない名称の違い

「コンテナ」「鉢」「プランター」という言葉、使い分けを意識したことはありますか?
「コンテナ」とは、植物を育てるあらゆる容器の総称で、英語の“container”から来ています。つまり、プランターも鉢もコンテナの一種です。
一般的には、箱型で複数の苗を寄せ植えに適したものを「プランター」、小型で単独の植物を植えるのに適したものを「鉢」と呼びます。それぞれの特徴を理解して、用途に合わせた使い分けをしてみましょう!

選ぶ際のポイント
何を育てるのかを最優先に考える
コンテナ選びではサイズや材質が重要ですが、それ以上に大切なのは「育てる植物の種類」です。
苗が小さく見えても、成長とともに根が広がり、鉢が窮屈になる場合があります。特に成長の早い植物では、密集した葉が蒸れて病気や不調を招くリスクが高まります。そのため、事前に植物の成長後の大きさや根の張りを見越して、適切な容器を選ぶことがポイントです。
サイズの選び方
コンテナ(鉢)のサイズは、口の広さを示す「◯号」で表され、1号は約3cmに相当します。

たとえば5号は15cm、10号は30cmの口径を指します。植え付け時には「苗より一回り大きいサイズ」を選ぶのが基本ですが、植物ごとに根の張り方は異なるため、口径だけでなく深さも考慮して適切なサイズを選びましょう。
同じ口径の鉢であっても、深さによって下記のような種類があります。

【普通鉢(標準鉢)】
一般的な形状の鉢で、口径と深さが大体同じ。
根が深く張るもの以外、殆どの植物に使用可。

【浅鉢(平鉢)】
高さが口径の半分程度のもの。
丈が低い植物、根の張りが浅い植物に適しており、育苗や挿木の時にも使うことができます。

【深鉢(長鉢)】
口径の長さよりも背丈が長いもの。
クレマチス、シンビジウム、ユリなど、背の高い植物や深植えする植物に適しています。
「大は小を兼ねる」と考え、どんな植物でも大きめの鉢を用意する方がいますが、必要以上に大きい鉢で育てると、土の内部(根の張っていない部分)に水分が残りやすくなり、結果的に根腐れの原因になる場合がありますのでオススメできません。
「プランター」と呼ばれている箱型のものは、「幅◯mm、奥行◯mm」のように、実際の寸法で大きさを表すことが多いです。

もちろんプランターにも深いタイプや浅いタイプがありますので、寄せ植えにする時には、生長後の葉の広がりで幅を、根の張り方で深さを想定して適切なサイズを選びましょう。

材質(素焼きとプラスチック)
鉢の材質は大きく分けて、天然素材か合成樹脂で作られたものがあります。ここでは特に人気の高い「素焼き鉢」と「プラスチック鉢」に注目して解説します。それぞれの特徴を知ることで、栽培環境や植物の特性に合った鉢を選べるようになるため、基本的なポイントを押さえておきましょう。
素焼き鉢

成形した土を焼いて作られた素焼き鉢は、空気や水分を通しやすく、内部の温度が上がりにくいため根腐れのリスクが低いのが特徴です。ただし、プラスチック製と比べて重く、割れやすい点がデメリットとなります。


「テラコッタ」と呼ばれる鉢は、通常の素焼き鉢よりも高温で焼かれているので、一般的な素焼きよりも強度が高いです。
プラスチック鉢

プラスチック製の鉢は軽量で割れにくく、ハンギングにも最適です。ただし、空気や水を通さないため、鉢内の温度や湿度が上がりやすい点には注意が必要です。
頻繁に移動する場合や、直射日光が当たらない場所での使用がおすすめです。

プラスチック鉢は100円ショップでも販売してますし、最近は結構ラインナップも増えてきました。コストをなるべくかけずに始められるのは嬉しいですね。
不織布製(ルーツポーチ)
最近では、不織布製の「ルーツポーチ」が注目を集めています。素焼き鉢の「通気性」とプラスチック鉢の「軽さ」を兼ね備え、持ち運びしやすいバッグ型も販売されています。

プロも愛用する優れたガーデニングアイテムで、初心者から上級者まで幅広く利用されています。一度試してみてはいかがでしょうか?
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その他の材質

近年では、土やプラスチックに加え、ブリキやグラスファイバー製の鉢やプランターも登場しています。これにより、機能性だけでなくデザイン性も向上し、ガーデニングの楽しみ方がさらに広がっています。

最後に
今回は、コンテナ栽培に欠かせない鉢やプランターのサイズや素材選びについてご紹介しました。
植物の種類や栽培環境に応じて「サイズ(口径と深さ)」と「材質」を選び、あとは好みでデザインを楽しむだけです。手軽に始められるコンテナ栽培で、日常に園芸の楽しさを取り入れてみませんか?
まだ苗を入手していないという方は、元気な苗を選ぶコツを別の記事で簡単にまとめていますので併せてご覧くださいませ!
