はじめに
「チャービル」という名前を聞いたことがありますか?日本ではまだ馴染みが薄いこのハーブ、見た目はイタリアンパセリやパクチーに似ており、初めて見る方にとってはちょっとしたミステリアスな存在かもしれません。
その繊細で上品な香りと風味から、フランスでは「美食家のパセリ」として愛され、数々の料理を引き立てる名脇役として使われています。実は、チャービルは家庭でも手軽に育てられるハーブ。育て方はシンプルで、初心者でも気軽に挑戦できるのが魅力です。
この記事では、そんな「チャービル」の基本的な特徴から育て方、さらには活用方法まで詳しく解説します。ぜひ最後までお読みいただき、あなたの家庭菜園に新しい一株を加えてみませんか?
チャービルについて
基本情報
チャービル
学名 | Anthriscus cerefolium |
別名 | セルフィーユ、ウイキョウゼリ etc |
原産 | ヨーロッパ南東部〜西アジア |
科名 | セリ科シャク属 |
分類 | 一年草 |
大きさ | 20〜60cm程度 |
開花時期 | 5〜7月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:あり |
活用法 | 主に料理 |
日常的に利用されているフランスでは「セルフィーユ」と呼ばれています。日本では「ウイキョウゼリ」と呼ばれます。
チャービルはセリ科に属する一年草で、葉にはセリ科特有の細やかな切れ込みがあります。同じセリ科であるイタリアンパセリやパクチーに似ていますが、それらと比べると葉が控えめで、繊細な印象を与えます。
開花期には、小さくて愛らしい5弁の白い花を咲かせます。ただし、収穫を目的とする場合は、花芽がついた段階で切り取る必要があります。花が咲くと、葉の品質や風味が損なわれるためです。
チャービルの仲間には「ルートチャービル」と呼ばれる根を食用にする種類も存在します。しかし、このルートチャービルの葉には毒性があるため、誤って使用しないよう十分に注意してください。
ルートチャービル
活用方法
サラダ
ベビーリーフやルッコラなどの葉野菜と組み合わせれば、見た目にも鮮やかで食欲をそそる一皿に仕上がります。
また、トマトやアボカドといった食材と合わせると、チャービルの軽やかな風味が味のアクセントとなり、サラダ全体の味わいを引き立てます。軽くレモンを絞れば、より爽やかさが際立ち、夏の一品にもぴったりです。
スープ
チャービルをスープに加えると、その香りが食材の旨味を引き立て、一段上の味わいに変化します。
ポタージュやクリームスープに刻んで加えれば、ミルキーなスープに繊細な風味が重なり、上品で洗練された仕上がりに。仕上げにパラリと散らすことで、見た目にも美しく、香りがさらに引き立ちます。また、野菜たっぷりのスープにチャービルを加えると、味に奥行きが生まれ、食卓が華やぎます。
肉料理・魚料理
チャービルは肉料理や魚料理にも相性抜群です。
ソースに加えれば、肉料理の濃厚な旨味を引き立てながら、後味を軽やかに仕上げてくれます。特に、グリルした鶏肉や白身魚にはおすすめ。
刻んだチャービルを混ぜたハーブバターをのせて焼くと、料理全体に爽やかな香りが広がり、一味違ったおもてなし料理にもなります。
卵料理
ふわふわのオムレツや濃厚なスクランブルエッグにチャービルを加えると、香りがぐっと引き立ち、上品な味わいになります。
作り方はとても簡単で、卵を溶きほぐす段階で刻んだチャービルを加えるだけでOKです。仕上げにさらに少量を散らせば、料理が一層華やかに見えます。
特にバターの風味とチャービルの香りは相性抜群で、朝食やブランチの一品としてもおすすめです。
ドレッシング
チャービルを使った自家製ドレッシングは簡単でありながら特別感を演出できます。刻んだチャービルをオリーブオイルや白ワインビネガーと混ぜるだけで、爽やかで香り高いドレッシングが完成。蜂蜜やマスタードを少量加えると、味に深みが出てサラダの味わいがさらに引き立ちます。
また、レモン汁を加えたシンプルなドレッシングなら、魚介のサラダや冷製パスタにもピッタリ。冷蔵庫で保存しておけば、いつでも香り豊かな一皿が楽しめます。
お菓子のトッピング
ケーキやタルトに添えると、繊細な葉がアクセントとなり、全体の見た目が引き締まります。
恐らく皆さんもスイーツの上に乗っているのを一度はご覧になったことがあるかと思います。
特に、ベリー系のデザートに合わせると相性抜群です!
チャービルの育て方
市販のパック入りチャービルは、1パックあたり約15gで価格は300〜400円程度が一般的です。少量のため、頻繁に使用する方であれば、すぐに使い切ってしまうでしょう。
そこでおすすめしたいのが、家庭で種から育てる方法です。1パックの購入費用で種1袋を購入できるため、コストパフォーマンスは抜群です。
さらに、チャービルは収穫期間が比較的長く、丁寧に育てれば年間を通して新鮮なチャービルを楽しむことができます。家庭栽培なら必要なときに必要な分だけ収穫できるのも大きな魅力です。
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種まき&植え付け
生育環境としては、明るい日陰または半日陰の涼しい場所を好みます。
直射日光を浴び続けるとトウ立ちして葉が硬くなるので注意してください。
<種子から育てる>
▶︎発芽温度は20℃前後。
▶︎春まきは3〜5月頃、秋まきは9〜10月頃です。
▶︎植え替えを嫌うハーブですので、なるべく直播きして間引きながら育てます。
▶︎長めのプランターを使用する場合は15cm程度の間隔をあけて2〜3粒の種を播きます。
(鉢の場合は、点まきで2〜3粒播きます。)
▶︎好光性種子ですので、覆土はしない、もしくはごく薄く2〜3mm程度にします。
▶︎栽培環境によりますが、1〜2週間程度で発芽します。
種まきが初めてという方は下記のページも参考になさってください。
<苗の植え付け>
苗から育てる場合、複数の苗を植え付ける際は、株と株の間に15cm程度の間隔を空けましょう。
市販の培養土やハーブの土で問題なく育ちますが、ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7に対して腐葉土3の割合がおすすめです。
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日常管理
◆水やり
チャービルは他のハーブ比べて若干湿り気がある土を好みますので、土の表面が半乾きになった頃に水やりを行います。
乾燥には弱いのでご注意ください。
◆肥料
市販の培養土を使う場合、元肥は必要ありません。
追肥も無理にする必要はありませんが、葉が黄色っぽくなってきた場合は液肥で養分を補ってあげましょう。
頻繁に収穫する生育期も同様に液肥を与えれば生育が衰えません。
今まで肥料を使ったことがないという方は、下記のページを参考になさってください。
◆剪定
花をつけ始めると急に脇芽が出にくくなり収穫量が減ります。
花芽は見つけ次第、茎ごと切り取っておきましょう。
また、収穫も兼ねて切り戻していくことで脇芽の生長が促されていきますので、特に生育期はどんどん収穫しましょう。
◆病害虫
アブラムシやハダニがつくことがあります。
新芽につくと生育を阻害しますので見つけたらすぐに駆除しましょう。
家庭でも簡単に作れる「重曹スプレー」や「酢水スプレー」などで対応は可能ですが、一年草ですので、ひと手間かけて回復させるよりは、春か秋に新たに種を播いて新しく育てるか、新しい株を植え直すほうが効率的です。
※ハーブの害虫対策については下記の記事もご参照ください。
収穫
種まきから約2ヶ月くらいで収穫できるようになりますので、外側の葉から優先的に収穫しましょう。
それ以降も育てながら、随時外側の葉から収穫します。ただし、一度にたくさん収穫してしまうと生育が衰えますので注意が必要です。
収穫するときは全部刈り取らず、新芽(若芽)も切らずに残しておきます。
また、長期間収穫を楽しむにはとにかく花を咲かせない、花芽を生長させないように育てましょう。
冷蔵の場合
①水を入れたコップを用意します。
②チャービルを縦にして茎の切り口をコップにさします。
③上からポリ袋をかぶせて野菜室で保管します。(1週間程度は鮮度が保てます。)
※チャービルは冷凍することで一番の長所である繊細な香りが飛んでします。できるだけ冷蔵保存で早めに消費することをおすすめします。
最後に
今回は「美食家のパセリ」として親しまれているチャービルの特徴や育て方についてご紹介しました。
料理にハーブを使う機会が多い方にとって、自宅で育てるのはコストパフォーマンスが良いだけでなく、新鮮なハーブを収穫するという日常の楽しみも加わります。チャービルは比較的育てやすいハーブですので、ぜひご家庭でその魅力を存分に味わってみてください。
他にもバジルやチャイブなど、日常的に使えるキッチンハーブも寄せ植えにチャレンジしてみましょう!
スイーツのトッピングや飾り付けにおすすめのハーブをお探しの方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
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