はじめに
繊細な糸状の葉と個性的で美しい花を咲かせる「ニゲラ」は、庭づくりやブーケの素材として人気の植物です。
しかし「ニゲラ」と一口に言っても、およそ15種類ほどの品種があり、一般的に知られている青色品種の他にも、黄色い花を咲かせる「オリエンタス」、紫や白の花を咲かせる「アフリカンブライド」、緑色の花を咲かせる「グリーンマジック」など様々なバリエーションがあります。
種子は「ブラッククミン」や「ニゲラシード」と呼ばれ、薬用や料理用のスパイスとして使うことができます。
ただし、食用として使える種子は一部の品種のみです。(←後ほど説明いたします。)
今回はそんなニゲラの特徴や育て方、そして食用として使用できるものできないものの区別についてご紹介したいと思います。
<参考商品>
ニゲラってどんな植物?
基本情報
ニゲラ
学名 | Nigella sativa L. Nigella damascena L. ※違いは後述にて |
別名 | ニオイクロタネソウ、 クロタネソウ etc |
原産 | ヨーロッパ、南西アジア |
科名 | キンポウゲ科クロタネソウ属 |
分類 | 一年草・二年草 |
大きさ | 50〜90cm程度 |
開花時期 | 4〜7月頃 |
耐性 | 耐寒性:あり 耐暑性:なし |
活用法 | 切り花、ドライフラワー スパイス(一部品種のみ)etc |
クロタネソウとニオイクロタネソウの違い
ニゲラを語る上でまず触れておかなくてはならないのが、「ニゲラ・サティバ」と「ニゲラ・ダマスケナ」の違いです。
冒頭でもお伝えした通り、ニゲラにはおよそ15種類ほどの品種がありますが、その中で種子をスパイスとして使用できるのは「ニゲラ・サティバ(Nigella sativa)」のみで、「ニオイクロタネソウ」とも呼ばる品種です。
日本で『ニゲラ』という名で流通しているのは、食用に向かない「ニゲラ・ダマスケナ(Nigella damascena)」が殆どで、こちらは「クロタネソウ」と呼ばれているものです。
同じニゲラではありますが、区別がつかず誤って食してしまうと中毒症状を起こしてしまう可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。
どちらも葉が細く、株姿も似ているので混同しがちですが、食用として栽培したい方は苗・種子を購入する際にしっかりと学名まで確認することをおすすめいたします。
ニゲラを育ててみよう!
前述のニゲラ・サティバ(ニオイクロタネソウ)もニゲラ・ダマスケナ(クロタネソウ)も同じように育てることができます。
生育環境としては、日当たりと風通し、水はけの良い場所を選んで育てましょう。
種まき&植え付け
<種子から育てる>
▶︎発芽温度は20℃前後。
▶︎適期は9〜10月頃ですが、寒冷地では春(4〜5月頃)に播きます。
▶︎ニゲラは直根性(※1)の植物で、植え替えを嫌いますので基本的には地面に直接播きます。
▶︎ニゲラの種子は嫌光性(※2)ですので、しっかりと(5mm程度)覆土します。
▶︎発芽までは日陰に置いて、乾燥しないように水やりをしながら管理します。
▶︎環境にもよりますが、2〜3週間程度で発芽します。
※1 直根性について、詳しくは下記のページをご参照ください。
※2 嫌光性について、詳しくは下記のページをご参照ください。
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<苗の植え付け>
基本的には直播きで育てることをおすすめしますが、苗を購入される方は下記の点に注意して植え付け作業を行いましょう。
▶︎苗ポットから取り出したら、根鉢(※)にはあまり触れずに(ほぐしたりせずに)やさしく扱います。
※根鉢(ねばち)=植物を掘り上げた時に出てくる土と根の塊のこと
▶︎鉢植えの場合は、苗のサイズより一回り大きい鉢やプランターに植えます。
プランターのサイズや種類については下記の記事も参考になさってください。
▶︎複数の株を植え付ける場合は、株間は20〜25cm程度の間隔をあけます。
▶︎土は市販の園芸用土で問題ありません。もし、ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7と腐葉土3の割合で配合するのがおすすめです。
日常管理
◆水やり
地植えの場合、根付いた後の水やりは必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面がやや乾いたら鉢底から余分な水分が流れ出るくらいしっかりとあげてください。
◆剪定
特に必要ありません。
◆肥料
園芸用土を使った場合は元肥が入っているのでしばらくは肥料を入れる必要はありませんが、生育不良の兆候がみられた場合は2週間に1回程度、液体肥料で養分を補ってあげましょう。
肥料の基本については下記のページも是非参考になさってください。
◆病害虫
アブラムシが発生する場合がありますので、日常的に茎葉をチェックして、発見したら早めに駆除します。
害虫対策について知りたい方は下記のページを参考になさってください。
収穫
ドライフラワーとして楽しむ場合は、開花後早めに摘み取りましょう。
特に実の部分は、収穫が遅すぎると茶色に変色してしまい、逆に早すぎると実が萎んでしまいますのでタイミングが重要です。
開花後にできた実を乾燥させたものは「風船ポピー」と呼ばれ、ブーケやスワッグの素材としてとても人気があります。
(左から二番目が風船ポピー)
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最後に
今回は「ニゲラ」の特徴や育て方、クロタネソウとニオイクロタネソウの違いについて解説いたしました。
育てるときには「直根性である(=植え替えを嫌う)」という点、そして「嫌光性である(=発芽するまでは日陰で管理」という点だけおさえておけば、初心者でも簡単に育てられますので、是非チャレンジしてみてください。
ニゲラのように花を楽しめるハーブは他にも様々なものがあります。ご興味ある方は下記のページも是非ご覧ください。