はじめに
「うちの子、もっと植物や自然に触れてほしいな,,,」とお考えの方のために、筆者が園芸店で働いていた頃の経験をもとに、子供たちが絶対に興味をもつおすすめの植物を紹介している特集記事です。
前回は、ぬいぐるみのようなフワフワした葉の感触がクセになる「ラムズイヤー」をご紹介しました。
今回ご紹介するのは、家庭でも簡単に育てて食べられれる「ワイルドストロベリー」です!
やはりイチゴは鉄板です
親御さんと一緒に園芸店を訪れる子どもたちの行動は大まかに2パターンに分けられます。
①おとなしい子:
親御さんのそばに終始くっついて店内の植物を一緒に見て周る。
②良くも悪くも元気いっぱいの子:
店内を縦横無尽に走り回り、親の制止を振り切って駆け回る。
②のパターンにおいて、大抵の親御さんは他の客の迷惑にならいよう子どもの興味を惹いて呼び戻そうとするのですが、もちろん元気な子ほど中々言うことは聞きません…。
そして、時々こんな光景を目にするのです,,,,,
お母さんが言います。
「ねー、これ見て、ほらほら!綺麗な花だね〜〜」
……….でも、子どもは全然興味を持ってくれず、相変わらず走り回っています。
今度は、「ねー、これさー、いい匂いだね〜〜」
……..しかしそれでも興味持ってもらえません。。
子供は引き続き声を上げながら走り回り、お父さんもお母さんも困り顔・・・
他のお客さんにも迷惑だし、ゆっくりしていられないし、、と諦めてお店を出ようとしたその時、たまたまお母さんの目に留まったのが「ワイルドストロベリー」です。
お母さんは帰り際、何気なしにボソッと呟きました、「あっ、イチゴ〜….」
すると次の瞬間、さっきまではしゃいでいた子供が目をキラキラさせてすぐ隣に!!!!
はい、これが私が「イチゴマジック」と呼ぶ光景です。
まさに黄門様の印籠級のパワー・・・・・。
その日お母さんは苗を3つほど購入されてお店を後にしました。
子供がワイルドストロベリーを好きな3つの理由
子供たちがワイルドストロベリーを好きなのは、主に下記の理由によるものです。
- 見た目が可愛い
- 色が赤い
- 実を食べられる
見た目が可愛い
特に小さい頃、ほとんどの男の子も女の子も”可愛いもの”が好きです。
ワイルドストロベリーの実は、一般的なイチゴよりもずっと小さくて丸い形をしています。他のフルーツに例えればブルーベリーくらいの大きさ。
皆さんが普段見慣れている一般的なイチゴのミニチュア版サイズです。
そして、花は、その実の可愛さを引き立てるかのような小さく白い控えめなたたずまい。
まずはこのルックスが子供の「可愛いもの察知アンテナ」に引っかかります。
色が赤い(実)
この「赤い」ということは、子供の興味を惹きつける上で結構重要な役割を果たしています。
学研総合研究所の統計をみると、男の子も女の子も共通して赤を「好きな色」の上位にあげています。
よくよく考えてみると、子供の好きな人気アニメや漫画、ゲームキャラクターには必ず赤が入っているという共通点があります。
アンパンマン、スーパーマリオブラザーズのマリオを筆頭に、世界的な知名度を誇るセサミストリートのエルモやディズニー映画「カーズ」の主人公であるライトニング・マックイーンも赤色です。
また、男の子が好きな戦隊モノのリーダーは必ずと言っていいほど赤がメインカラーですし、歴代のウルトラマンも一部を除けば殆ど赤が基調となったカラーデザインです。
意識すればするほど、周囲には赤いキャラクターが多く、その殆どが人気キャラ(もしくはメインキャラ)になっていることに気づきますよね。
これは当然と言えば当然。
興行収入を上げるには沢山の子供たちに好きなってもらい、作品を見てもらう必要があるからなのです。
従って、子供の心理的嗜好を計算に入れてキャラクターデザインをすることは理にかなっています。
店頭の子どもたちを観察していて、植物についても同じようなことが当てはまると思いました。
赤い実の付いているワイルドストロベリーの苗を見つけると、なぜか不思議とたくさんの子どもが近づいていきます。これも色による心理的嗜好の影響によるものではないかと思います。
食べられる
「食べられる」というのは・・・・もう大人も子ども関係なく、みんな大好きです。
しかもそれが、育てた先にあるご褒美だと思えば尚更、子どものモチベーションも一気に爆上がりです!(もちろん大人のモチベーションも)
植物を育てるというのは、プラモデルなどを組み立てるような作業と違って、集中して作業時間を作れば成果が伴うというものではなく、毎日少しずつ面倒をみたり、様子を伺ったりしながら成果を出していく作業なので、ある程度長くモチベーションを保つことが非常に大切です。
「育てる」というプロセスが「食べる」という成果に結び付く、ということをお父さんやお母さんが食育の先生になって教えてあげられる絶好の機会だと思います。
ちなみに、実は小さい為、そのままではあまり食べ応えがありませんが、小さい子でもパクッと食べられるサイズですし、たくさん収穫できればジャムを作ったりもできます。
「家庭菜園」だと少しハードルが高いですが、ワイルドストロベリーは鉢植え一つで育てて収穫して、食べたり加工したりご家庭で簡単にできますので気軽に栽培をはじめることができます。
性質と育て方
今回の記事は「子供と一緒に育てる」というテーマす。
筆者が植物の栽培と向き合うときのモットーは『モチベーションは高く、ハードルは低く』です。
従って、ここでは園芸サイトでよく見かける、図鑑にあるような情報はあえて細かくお伝えしません。
まずは本当に簡単なポイントだけをお伝えしますので、「それくらいなら大丈夫そう、やれそう!」と思ってもらえれば何よりです。
- 鉢植えでも地植えでもOK。
- 枯れない限り毎年花が咲いて実がなります(多年草)。
- 寒さにも暑さにも強いです。
- 花期は3〜6月、9月〜10月、花の後に実がつきます。
- 日当たりが好き。半日くらいの日当たりでも育ちます。(日当たりが良いほうが実付きが良くなります)
- 水やり(鉢植えの場合)→土が乾いたら鉢底の穴から少し出るくらいたっぷりと。
- 水やり(地植えの場合)→苗の植え付け時にたっぷりあげるだけです。
この程度の情報量であれば、子供たちも十分覚えることができるかなと思います。
是非お父さんお母さんが先生となって、お子さんに育てる楽しさを伝えてあげましょう。
もう少し詳しい情報を知りたい場合は、別記事としてまとめてありますのでご覧下さい。
ワイルドストロベリーの種類
ワイルドストロベリーには、ピンクの花がつくものや実が白いもの、葉っぱが黄色いもの、ランナー(生長過程で伸びてくる蔓状の茎)がないものなど、いくつかの種類があります。
苗屋さんによっては複数の種類を扱っているところもありますので、様々な品種にトライしたい方は是非チェックしてみてください。
今回の記事では、お菓子に例えると「プレーン」タイプのもの、いわゆるスタンダードな「ワイルドストロベリー」を例にご紹介しました。
どれも育て方にさほど違いはありませんが、初めての方はスタンダードから是非チャレンジしてみてください。
上手くいったら、また翌年は違った品種にトライするのも楽しいですし、変化があるほうが子供たちもモチベーションをキープできるかと思います。
ワイルドストロベリーの苗を取り寄せてみよう!高評価のおすすめ苗↓↓
最後に
植物を育てていて、花が咲いたり、実が付いたりするのはやっぱり嬉しい。
自分が気持ちを込めて手をかけた分、何だか恩返ししてもらったようなありがたい気分になります。
でも一生懸命やったからといって必ずしもうまくいかないのが自然を相手にする物事。「植物を育てる」ということもその一つかと思います。
成果だけを追い求めるのではなく、思ったようにいかなかった時に考えたこと、感じたことが、いずれ子どもたちの財産になっていくのだと思います。
子どもと一緒に植物を育てることで、忍耐強さを養い、食への感謝が生まれ、コミュニケーションの時間が増えることを切に願っています。