サフランとイヌサフランの違いとは? スパイスに使えるのはどっち?

はじめに

植物には、花の色や葉の形、用途や名前が似ているもの、混同しやすいものがたくさんあります。

本記事は、似て非なる植物や勘違いしやすい植物について、それぞれの違いを比較しながら解説させていただく内容となっております。

皆さんがご家庭で栽培される際、もしくは苗や種を購入する際の参考としていただければ幸いです。


今回は、料理に使われる「サフラン」と猛毒をもつ「イヌサフラン」の違いについて解説いたします。

一方はスパイスとして料理の材料に使われる植物、しかしもう一方は食べると中毒症状を引き起こす毒性植物です。

似て非なる2つの植物にはどんな共通点があり、どんな違いがあるのか、早速みていきましょう!



類似する点

「サフラン」と「イヌサフラン」、両者には下記のような共通点が挙げられます。

▶︎名前に「サフラン」という文字が含まれる。
▶︎紫色(または紫に近い色)の花を咲かせる。
▶︎生長後の背丈は20cm程度
▶︎球根植物で多年草である。

次の項からは、それぞれの基本情報と特徴を見ながら異なる違う部分について把握していきたいと思います。


基本情報

サフラン

学名Crocus sativus
別名番紅花、薬用サフラン etc
原産地中海沿岸
科名アヤメ科サフラン属
分類多年草(球根植物)
大きさ10〜20cm程度
開花時期10〜11月頃
花色
耐性耐寒性:あり
耐暑性:あまりない
活用法料理、染物 etc

イヌサフラン

学名Colchicum autumnale
別名コルチカム、
オータムクロッカス etc
原産ヨーロッパ中南部〜北アフリカ
科名イヌサフラン科イヌサフラン属
分類多年草(球根植物)
大きさ15〜20cm程度
開花時期9〜10月頃
花色紫、ピンク、白
耐性耐寒性:あり
耐暑性:あり
活用法主に観賞用 ※誤食厳禁!

イヌサフランの”イヌ”とは、その昔、「似て非なる」、もしくは「〜より劣る」という意味で使われていた言葉です。

従って「サフランに似ているけど異なる植物」といった意味が込められた名前なのです。



異なる点

一見すると紫色の花が非常に似ている両者ですが、細かく見比べていくとしっかりと違いが見えてきます。


毒の有無

まず何よりも先に触れておかなければいけないことは毒の有無です。


「サフラン」はパエリアやブイヤベースのスパイスに使用されており、更に薬効を活かしたメディカルハーブとしても知られています。

スパイスとして使用するのは鮮やかな紅色の雌しべの部分です。

少し苦味がありますが、味を決定づけるほどの味はしません。どちらかというと色付けとしての役割が大きいスパイスです。



一方、イヌサフラン」は猛毒植物です。

花は美しく透明感のある姿をしていますが、全草に「コルヒチン」という猛毒を含んでおり、誤って摂取してしまうと下痢や嘔吐、呼吸困難などの中毒症状をもたらします。

葉の部分はギョウジャニンニクやギボウシと間違いやすく、球根はタマネギやジャガイモと間違いやすい傾向があり、実際に誤食した結果、食中毒で死亡した事例もありますので要注意です。

厚生労働省でも毒の成分や中毒の発生事例を公開していますので、詳しく知りたい方は下記のリンクから該当のページをご参照ください。

参考リンク: 厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン」


サフランは料理などに使われていますが、イヌサフランは絶対に食べてはいけないということをまずはしっかり把握しておきましょう。



サフランはアヤメ科に属し、イヌサフランはイヌサフラン科に属します。

「科が違う」ということは、人間でいえば家族どころか親戚よりも遠い関係性です。

全く別の植物として認識して問題ありません。


開花時期

サフランの花は10〜11月頃、気温が15℃を下回る頃に咲き始めます。

一方、イヌサフランはサフランよりも少し早く9〜10月頃咲きます。


雌しべ

サフランの雌しべ
イヌサフランの雌しべ

画像をご覧いただければ分かる通り、サフランの雌しべは赤くイヌサフランの雌しべは白いのが特徴です。

全く異なる色をしていますので、一番見分けやすいポイントです。



最後に

サフランとイヌサフランは比較的違いが分かりやすいほうだと思いますが、一方は有毒植物で食中毒の事例もありますので、注意喚起も兼ねて今回の記事で取り上げてみました。

イヌサフランに限らず、私たちの身近には似通った姿形をしていても、片方は無毒で片方は猛毒という植物が多数存在します。

中には触れただけでも中毒症状を引き起こす植物もありますので、違いをしっかりと把握することが非常に大切です。

下記のページでは、意外と身近にある有毒植物についてまとめた記事ですので、よろしければあわせてご覧ください。


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豆知識
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