はじめに
暑さや寒さが和らぎ気温も徐々に安定しはじめ春や秋は、多くのハーブにとって種まきの適期です。
小さな種が発芽して土から顔を出す様子は本当に可愛らしく、私たちをワクワクと嬉しい気持ちにさせてくれます。
種から育てていくと、その植物に対して更なる愛情が湧き、日常管理やお手入れも自ずと熱心に取り組むようになるものです。
そして、もう一つ、種から育てるメリットとして挙げられるのは「コストパフォーマンス」です。
お店で種や苗の価格帯をチェックすると分かりますが、一般的に、ハーブ苗1ポットの値段は市販の種1袋分、もしくはそれ以上の価格設定になっていることが多いです。(もちろん品種にもよって違いがあります。)
つまり、苗一個分の金額を種の購入に費やして、種から育てれば、最終的に何倍もの収穫量になって返ってくることになります。
特にコリアンダーやイタリアンパセリなどのハーブは、家庭でも簡単に育てることができますので、苗を購入して育てるより種を播いて収穫するほうが断然お得!
ということで、今回は初めて種から育てるという方のために、最初に用意する道具や種に関する豆知識をご紹介したいと思います
種まきに必要な道具
ハーブの種まきをするには最低限下記の道具が必要になります。
・容器
・土
・水やりの道具
・新聞紙
・その他
基本的には、最低限これらの資材があれば種まきを始めることが可能です。(植物や種の性質によって使用するものは若干異なります。)
それでは、ここからもう少し詳しくみてきましょう。
容器
種まき用の容器にはいくつかの種類があります。
育てるハーブの種類によって相性も異なりますが、必ずこれでなくてはならないという決まりはありませんので、最終的には皆さんが使いやすいと感じるものを選びましょう。
育苗箱
主に稲作で多用されるプラスチック製の箱で、ハーブの種まきにも役立ちます。
発芽して根が伸びたら、ポリポットや鉢に移植(ポット上げ)する必要があります。
ひと手間かかってしまいますが、「すじまき」や「点まき」「ばらまき」など、色々な播き方ができる点では非常に便利です。
最近では、ある程度の深さ(高さ)があるコンテナ状のものや、ポットが連結しているような仕切り付きの「セルトレイ」、保温・保湿のための蓋付きの製品などもよく使われています。
<参考商品>
育苗ポット
主に塩化ビニールを材質とした容器が主流で「点まき」に向いています。
ハーブの場合は、2号(6cm口径)〜3号(9cm口径)くらいのサイズを使用することが多いです。
発芽して定植できる大きさまで育ったら、ポットから苗を取り出して鉢やプランターに植え付けます。
最近は土に還る材質でできたものも販売されています。
育てるハーブの種類によっては紙製ポットが有利な場合がありますので、下記のページも参考になさってください。
<参考商品>
鉢・プランター
バジルやルッコラなどのキッチンハーブは、鉢やプランターに直接播いて間引きながら育てることもあります。
材質や深さによって違いがありますので、下記のページもあわせてご覧ください。
わざわざ資材を買いたくないという方は、牛乳パックや紙コップ、ペットボトルなどを切ったものでも代用できます。
芽が大きくなってきたらポットに植え替えをしますので、発芽までは代用品でも十分な場合があります。
土
種が発芽するためには、排水性や保水性、養分などのバランスが大切です。
初めて種まきをされる方にとっては、用土の種類や配合を把握するのは中々難しい面もありますので、まずは市販の培養土を使用してみてください。
メーカーにもよりますが、「種まき培土」や「種まきの土」、「ハーブの土」といった製品名で販売されています。
高評価のおすすめ培養土↓↓
プロトリーフ ハーブの土 14L お一人様3点限り 関東当日便 価格:1,310円 |
最初から自分でブレンドにチャレンジしてみたいという方は、「赤玉土7:腐葉土3」という基本配合からお試しください。
ハーブには弱アルカリ性の土を好むものが多いので、少しだけ苦土石灰を混ぜるのもおすすめです。
土づくりの基本については下記のページをご参照ください。
水やりの道具
種の種類によっては、播いた後に土をかぶせないものもあるため、普通のジョウロで水やりを行うと水圧が強過ぎて種が流れ出てしまう場合があります。
そんな時には、やさしい霧状にして水やりができる「霧吹き」も用意しておきましょう。(芽が生長するに従って、もちろん普通のジョウロも必要になります。)
新聞紙
種によっては光を遮ってあげたほうが発芽しやすいものもあります。(←後ほど詳しく説明します。)
種まき後の鉢や育苗トレーに湿らせた新聞紙で覆っておけば遮光になり、同時に土が乾燥し過ぎるのを避ける保水効果もありますので一石二鳥です。
その他
必需品ではありませんが、何かと役に立つのが割り箸や定規です。
割り箸は「点まき」する時の小穴を開けるために、定規は土をならしたり「すじまき」するための溝を作ったりするときに便利です。
また、アイスクリームの棒や、牛乳パックを切って札状にしたラベルを用意しておくと、育苗中に苗の種類を判別するための目印として役に立ちます。
種について
発芽温度
全ての植物の種には発芽するために必要とする適切な温度があります。
従って、「○月播き」と言われている種であっても、発芽温度に達しない限りほぼ発芽しません。
ハーブは15〜20℃程度の発芽温度を必要とするものが多く、”春と秋が種まき適期”と言われているのもこの温度帯が多い季節であるという理由からです。
中にはバジルやマリーゴールドのように20℃を超えないと中々発芽しないものもありますので、播きたい種の発芽温度はしっかり把握し、必ず適温になった頃に種まきを行いましょう。
好光性種子と嫌光性種子
種には光を好む「好光性種子」と、光を苦手とする「嫌光性種子」があります。
前者は光が当たらないと発芽しにくい性質、後者は光を受けていると発芽しにくい性質をもっています。
性質によって、種まき後に土をかぶせたほうが良いのか、それとも新聞紙などで遮光してあげたほうが良いのかそれぞれ異なりますので、播く種が好光性なのか嫌光性なのかを事前に把握しておきましょう。
それぞれの性質については下記の記事でもう少し詳しく触れていますので、参考になさってください。
有効期限
通常、市販の種のパーケージには「発芽有効期限」や「発芽率」が記載されており、基本的には発芽検査日から1年間という期間が設けられています。
しかしながら、昨年余った種が一切使えないのかというと、そうではありません。発芽率は落ちるものの、翌シーズンもしっかり使えますのでご安心ください。
ただし、保存状態がよくないものは発芽しないこともあります。
種が余った場合には、蓋付きのガラス瓶や密閉できる袋などで湿気が入り込まないようにした上で、直射日光、高温多湿を避け保存しましょう。冷蔵庫に入れて保存でもOKです。
種の購入
スイートバジルやイタリアンパセリなど、身近なハーブの種はホームセンターでも比較的入手しやすいですが、種類の多いラベンダーやローズマリーの珍しい品種は中々見つかりません。
例えば、
「タイム」という名前で販売されている種の殆どは「コモンタイム」のことを指していますので、もし皆さんが「レモンタイム」や「クリーピングタイム」といった特定の品種を探している場合は一般的なホームセンターでは見つからないことがあります。
そんな時はネットショップを利用してお取り寄せしましょう。
実際に筆者が使用してみて、おすすめできるのは「三笠園芸」の種です。
三笠園芸の種の殆どは生産国がオランダですが、取り扱い品種も多く、きっと皆さんが探しているハーブも見つかると思います。
「三笠園芸」のハーブ種子はこちらからご確認いただけます。最後に(まとめ)
本記事では、種まきの「準備編」ということで必要な資材や種について解説させていただきました。
以下は本記事のまとめです。
▶︎育苗箱、育苗ポット、鉢・プランター
▶︎種まき用の培養土
▶︎霧吹き、ジョウロ
▶︎新聞紙
▶︎割り箸や定規(あれば便利)
▶︎播き時は発芽温度に達した頃。
▶︎光が好きな性質、光が苦手な性質の種が存在する。
▶︎保存状態によっては昨年余った種も使える。
▶︎ハーブの種は「三笠園芸」がオススメ!
資材の準備が終わり種の性質についても理解を深めたら、いよいよ実際の種まきに挑戦です!
下記の記事では「実践編」として、まき床の準備や播き方、播いた後の管理についてご紹介していますので、あわせてご覧いただければと思います。
<追記>
種まきの段階では必要最低限の資材のみで十分ですし、日用品やリサイクル品で代用できるものもたくさんあります。よろしければ下記の記事もあわせてご覧ください。