ハーブに肥料は必要か不要か? 元肥、追肥、お礼肥、寒肥の役割

はじめに

ハーブ栽培をされている皆さんは、どんなところに楽しさを感じていますか?

人によっては、何を育てようか考えている時が一番楽しい!という方もいるでしょうし、種まきをしている時が一番充実している!という方もいるでしょう。

ちなみに筆者は、適切な日常ケアをコツコツ続けて丈夫な株に育ったときに一番の充実感を覚えます。

ハーブに限ったことではありませんが、植物が育つためにはいろいろな条件が必要となります。

ほとんどの植物には光、水分、空気、温度、養分という要素が必要で、これらの要素を人間の手で揃えてあげられるかどうかでガーデニングの得手不得手が決まるとも言えます。


ガーデニングをはじめたばかりという方々から多く寄せられる悩みが「肥料の必要性」について。

お話を詳しく聞いてみると、、、


「栽培方法(マニュアル)に書いてあったのでなんとなく肥料をあげています。」

「実際に必要なのかどうなのか、いまひとつ分からない…。」


「そもそもどんな時に何をあげれば良いのか分からない…。」

といったご相談が非常に多いです。


お恥ずかしい話ですが、筆者自身も、園芸をはじめたばかりの頃は目的や必要性をあまり深く考えずに肥料を与えていました。

そこで今回は、「雑草化するほど強い」と言われることもあるハーブに、そもそも肥料は必要なのかどうか、そして与えるタイミングについて解説していきたいと思います。



ハーブに肥料は必要?不要?

まずはハーブ肥料は必要か不要かという疑問に対してお答えしたいと思います。

結論から言いますと、ハーブにも肥料は必要です

特に、鉢植え栽培の場合は、水やりのたびに養分が流れ出ていきますので、いずれ土中の養分が枯渇します。

その為、定期的な施肥をしなければいずれ生育不良になってしまいます。


お庭や畑に地植えしている場合は、株周辺の養分が少なくなったとしても、根が養分を得るために伸びていきますので、鉢植えのように肥料を与える必要はありません。

ただし、養分を大量に必要とする生育期(春先や開花後)はしっかりと肥料を施すことで生長が促進されるため、頻度は少なくても与える方が安心です。



肥料と堆肥の違い

肥料をいつ与えるのかという解説に入る前に、まずは少し基本的なことに触れておきたいと思います。

皆さんは「肥料(ひりょう)」と「堆肥(たいひ)」、この2つの違いをご存知でしょうか?

実は私自身、野菜やハーブを育て始めた頃は、これらの違いをよく理解しておらず、なんとなく同じものを意味するのだろうと考えていました。

まずは「肥料とは何か」そして「堆肥とは何か」を簡単に説明いたします。

肥料とは

植物の生長を促す栄養分そのもの(またはその栄養分を含む資材)のことです。

私たちは人間の都合優先で自宅の庭や畑といった場所に植物を植えるわけです。その為、必ずしもその土地に植物が必要な栄養分が含まれているとは限りません。

その為、植物がしっかりと生長するために不足している栄養分を必ず補う必要があり、その栄養分を「肥料」と呼んでいます。

肥料の役割:植物の健康維持や生長促進

堆肥とは

植物が生長するための環境を整え、土地を肥沃にする資材のことです。

植物が育つためには栄養分だけがあれば良いということではありません。その植物が根付く土地自体が快適な条件でなければいけません。

栄養分だけあっても、土が硬い畑であれば根は張りませんし、水はけの悪い畑であれば根腐れを引き起こしてしまいます。

また植物の生長に役立つ微生物を増やすには土自体が肥沃でなければなりません。つまり、生長のベースとなる良い環境を作るために必要となるのが「堆肥」です。

堆肥の役割:植物が好む土壌環境にする

市販されている一般的な園芸用土(培養土)には、既に堆肥効果のあるものがブレンドされています。多くの野菜や花に対して有効なので、わざわざ土づくりから始める必要がなく便利です。

土作りから始めるのはハードルが高そうという方は、まず市販の土から使いはじめてみましょう



肥料ってどんな時にあげるの?

植物が肥料を必要とするのは、基本的に以下のような時です。

1:これから根っこが活動を始めるとき
(例:新しい苗の植え付け後や、多年草であれば主に春先 etc)

2:根っこが活発に活動している時期
(例:生育期、花を咲かせる前、花が終わった時 etc)

3:肥料切れを起こした時、または起こしそうな時期
(例:急に葉色が悪くなったり、花や実が少なくなった時)


育ち盛りの子供がご飯をたくさん食べるように、植物も生長期にはたくさんの養分を必要とします。

勿論、肥料を与えるタイミングは植物の種類によっても異なりますので、いつどんな時に養分を与えて欲しいかを判断するには、その植物の新芽が出る時期や開花時期を知っておくことが大切であり、肥料切れのサインを見逃さないために日常的に観察することも重要です。


生長プロセスごとの施肥

肥料を与えることを施肥(せひ)」といいます。

施肥のタイミングによって肥料(もしくは肥料の与え方)の呼び方も異なりますので、しっかりと理解しておきましょう。

生長の段階順に、それぞれを分かりやすくまとめましたのでご覧ください。
(植物の種類によって必要有無や時期、回数は異なりますので、図はあくまでイメージとしてご覧ください。)


元肥

植物苗を植えつける時に前もって土に混ぜ込む肥料を「元肥(もとひ、もとごえ)」といいます。

市販されている園芸用土(培養土)のほとんどは元肥が入っていますので、植え付け時に追加で肥料を与える必要はありません。

養分をあげすぎてしまうと、逆に生育不良や虫の発生を引き起こしたり、根腐れの原因にもなることもありますのでご注意ください。

もし、ご自身でブレンドした土を使用する際に肥料分が少ない場合は元肥が必要になります。

【元肥の主な役割】 生育初期の生長を助ける


追肥

植物の生長途中に与える肥料を「追肥(ついひ、おいごえ)」といいます。

生長していくに従って、元肥として与えた養分が徐々に消費されていきます。

最終的にはほとんどの栄養分を使い果たし、植物は土そのものに含まれる養分を吸い上げて生長するしかなくなります。

そこで必要となるのが追肥です。

特に、花を咲かせたり、実をつける植物はたくさんの養分を必要としますので、消費が多い時期に養分が不足していると花つきや実つきが悪くなり、場合によっては花が咲かなかったり実がならないという結果になることがあります。

収穫目的で育てている花や野菜、果樹にとっては特に重要な肥料といえます。

【追肥の役割】 生長期に必要とする養分、または不足した養分を補う



お礼肥

花が咲き終わった後や実の収穫後に与える肥料は「お礼肥(おれいひ)」といいます。(追肥の一種です。)

花を咲かせたり、実をつけるということは子孫を残すことです。

当然のことながら、その目的達成のプロセスにおいて植物は多くの肥料を必要とします。

消耗した元株が回復するには当然またたくさんの養分が必要となり、その時に活躍するのがお礼肥です。

【お礼肥の役割】 消耗した株を回復させる


寒肥

冬の休眠期に与える肥料を「寒肥(かんかんごえ)」といいます。(元肥の一種です。)

寒肥は、特に多年草の植物、庭木や果樹に施される肥料です。

冬のうちに与えておくことで、数ヶ月間かけてじっくり分解させて、春先の新芽の時期に必要な養分を予め効果的に充実させることができます。

寒肥は苗の植え付けの時に必要となるベースの肥料、つまり元肥の一種といえます。

【寒肥の役割】 春に新芽の生長を助ける


芽出し肥

春先(2月〜3月上旬頃)の休眠期明けに与える肥料を「芽出し肥(めだしひ)」といいます。(追肥の一種です。)

冬越しした植物が寒肥を取り込んで生長しはじめ、さらに根を伸ばそうとするときに更に養分が必要となります。

その生長を促進させるために補助するのが芽出し肥です。

「芽出し」という言葉がついていますが、実際に芽を出させるための肥料というよりは、出た芽が大きく育つための肥料と考えたほうが良さそうです。

【芽出し肥の役割】 春先の新芽の生長を更に促進する



最後に

今回は肥料をマスターするための最初の一歩として「施肥の目的と用語について」解説いたしました。

ここまでの解説で、時期によって色々な施肥があること、そしてどんな時にどんな目的で施肥を行うのかご理解いただけたかと思います。

肥料には、有機質肥料や化成肥料があったり、固形のものがあったり液状のものがあったり、与え方もそれぞれの種類や目的によって違います。

もっと深掘りしていくと、肥料の世界は非常に奥深くて学ぶことがたくさんあることに気づくはずです。

しかし、私たちも植物と同じく、一度に吸収する知識量には限界がありますので、今回ご紹介した内容は、肥料マスターへの第一歩として念頭におきつつ、まずは日々の観察や経験を楽しみながらじっくりと知識を自分のものにしていってください。

続きの記事は、肥料の効き目の速度ついてです。下記のページにてご覧ください。


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