はじめに

初めてセンテッドゼラニウムの葉に触れたとき、その爽やかで甘い香りに驚かされたことを今でも覚えています。指先でそっと葉をこすると、バラやレモン、ミントのような香りがふわっと広がり、一瞬で癒やしの空間に変わるのです。
センテッドゼラニウムは、見た目の美しさだけでなく、香りのバリエーションの豊かさも魅力のひとつ。鉢植えや庭植えとして楽しめるのはもちろん、ポプリや虫除けなど実用的な使い道もたくさんあります。
この記事では、センテッドゼラニウムの特徴や育て方、さらに日常生活での活用法について詳しくご紹介します。香りを楽しみながら、暮らしに取り入れるヒントを見つけてみてください。

センテッドゼラニウムとは?
基本情報

センテッドゼラニウム
学名 | Pelargonium spp. |
別名 | ニオイゼラニウム |
原産 | 南アフリカ |
科名 | フウロソウ化 |
分類 | 多年草 |
大きさ | 30〜100cm |
開花時期 | 4〜10月頃 ※品種により異なる |
耐性 | 耐寒性:やや弱い 耐暑性:普通 |
活用法 | 観賞、香り付け、お風呂など |
特徴
最大の魅力は、葉や茎に触れた瞬間に広がる豊かな香りです。品種ごとに異なる香りを持ち、バラのように優雅なもの、レモンやミントのように爽やかなもの、リンゴやナツメグのように甘くスパイシーなものまで、多彩なバリエーションが楽しめます。

葉の形や色も品種によって個性豊かです。細かく切れ込みが入った繊細な葉から、丸みを帯びたかわいらしい葉、斑入りで美しい模様が楽しめるものまで、ガーデニングのアクセントとしても魅力的です。

春から初夏にかけて咲く花も見どころのひとつ。小ぶりながらも可憐な花を咲かせ、ピンク、白、赤などの色合いで庭やベランダを彩ります。香りとともに、見た目にも楽しめるのがセンテッドゼラニウムの大きな特徴です。
「センテッドゼラニウム」と「ハーブゼラニウム」の違い
「センテッドゼラニウム」と「ハーブゼラニウム」は、どちらも香りのあるゼラニウムを指す言葉として使われることがありますが、厳密には「センテッドゼラニウム(Scented Geranium)」が正しい呼び名です。
センテッドゼラニウムは、学名で「Pelargonium」属に分類される植物の一群で、特に香りの強い品種が含まれます。一方、「ハーブゼラニウム」という呼び方は、日本国内で広まった通称であり、特に香りを楽しむために栽培されるゼラニウムを指すことが多いです。つまり、「センテッドゼラニウム」と「ハーブゼラニウム」はほぼ同じものを指しており、「センテッドゼラニウム」が正式な名称と考えられます。
観賞用の「ゼラニウム」と「センテッドゼラニウム」の違いについても解説している記事がありますので、ぜひご覧ください。
おすすめの活用方法

ポプリやサシェ
乾燥させたセンテッドゼラニウムの葉は、ポプリやサシェとして活用できます。小袋に詰めてクローゼットや引き出しに入れると、自然の香りを楽しむことができます。ほかのドライハーブや好みのアロマオイルを加えると、オリジナルの香りを作ることも可能です。
ハーブバス
センテッドゼラニウムの豊かな香りをお風呂で楽しむ方法のひとつがハーブバスです。摘みたての葉をそのまま湯船に浮かべたり、乾燥させた葉を布袋に入れてお湯に浸したりすると、香りが広がり、心地よいバスタイムを演出できます。お好みでほかのハーブと組み合わせると、より香りのバリエーションを楽しめます。
他にもお風呂におすすめのハーブがありますので、ご興味ある方は下記の記事もご覧ください。
寄せ植え
葉や花の形・色が多様で、寄せ植えにすると彩り豊かな庭を演出できます。ローズやレモン、ミントなどの香りを持ち、他のハーブと組み合わせることで、より豊かな香りの空間を作ることも可能です。また、一部の品種には虫除けの性質があるとされ、他の植物と寄せ植えすることで互いの生育を助ける効果が期待できます。

センテッドゼラニウムの育て方

生育環境
センテッドゼラニウムは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。特に、長雨に当たると草姿が乱れたり、花が腐りやすくなるため、鉢植えの場合は軒下など雨の当たらない場所に移動させると良いです。
苗の準備
センテッドゼラニウムは種から育てることも可能ですが、発芽率が低いため、一般的には苗から育てる方が安心です。
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土の準備

土は市販の培養土を使用しても良いですし、ご自身でブレンドするのであれば小〜中粒の赤玉土7と腐葉土3で配合するのがおすすめです。(センテッドゼラニウムは、ややアルカリ性の土壌を好むため、苦土石灰などを混ぜてpH調整を行うと、より良い生育が期待できます。)
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土にパーライトや川砂を混ぜて水はけと通気性を良くすると良いでしょう。
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植え付けの手順
植え付けの適期は春(4~5月)と秋(9~10月)です。
- ポットや庭の適切な場所を選び、穴を掘ります。(鉢で一株だけ育てる場合、6〜7号鉢(直径18〜21cm程度)サイズを用意しておけば安心です。)
- 苗を植え、根がしっかりと広がるように土を戻し鎮圧します。
- 植え付け後は軽く水を与えて安定させます。
<複数の苗を植え付ける際のポイント>
成長すると株が大きくなるため、苗と苗の間隔を30cm〜50cm程度空けるのが理想です。十分なスペースを確保することで、風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。
日常管理

水やり
過湿を嫌うため、水の与えすぎに注意しましょう。
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。ただし、梅雨時や夏場の多湿期は、水やりの頻度を控えめにし、土の乾燥を確認してから行うのがポイントです。
冬場は生育がゆるやかになるため、さらに水やりの回数を減らし、土が完全に乾いてから与えるようにすると根腐れを防げます。
ハーブ栽培の基本となる「水やり」は生育を左右する重要な作業といえます。下記の記事もぜひ参考にしてください。
肥料
過度な肥料を必要としません。春から初夏、秋の生育期に緩効性の化成肥料を控えめに施す程度で十分です。肥料を与えすぎると葉ばかりが茂り、花付きが悪くなることがあるため、適量を心がけましょう。
鉢植えの場合は、液体肥料を2〜3週間に1回のペースで与えるのも効果的です。
肥料の基本について詳しく学びたい方は下記のページも参考にしてください。
剪定
定期的行い、美しい形を保ちつつ、健康な株を育てましょう。花が咲き終わった後や梅雨前、秋に剪定を行うのがおすすめです。伸びすぎた枝や込み合った部分を切り戻すことで、風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。
剪定がはじめてという方は下記の記事を参考に取り組んでみてください。
様々な種類のゼラニウム
センテッドゼラニウムには多くの品種があり、それぞれ異なる香りや葉の特徴を持っています。以下に代表的な品種を紹介します。
- ローズゼラニウム (Pelargonium graveolens)
- バラに似た甘く豊かな香りが特徴で、センテッドゼラニウムの代表的な品種です。
- ハーブティーやアロマ、ポプリなどに利用されます。
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- レモンゼラニウム (Pelargonium crispum)
- 柑橘系の爽やかな香りが特徴です。
- ハーブティーや料理、虫よけなどにも利用されます。
- アップルゼラニウム (Pelargonium odoratissimum)
- リンゴに似た甘酸っぱい香りが特徴で、フルーティーな香りを楽しめます。
- ポプリやアロマなどに利用されます。
- ペパーミントゼラニウム (Pelargonium torento)
- ペパーミントの様な清涼感のある香りが特徴で、ハーブティー等に利用されます。
- チョコレートミントゼラニウム (Pelargonium ‘Chocolate Mint’)
- チョコレートとミントを混ぜたような独特の香りが特徴です。
- オレンジゼラニウム (Pelargonium ‘Orange Fizz’)
- オレンジの様なフレッシュな香りが特徴です。
- ストロベリーゼラニウム(Pelargonium ‘Strawberry Leaves’)
- イチゴの様な甘い香りが特徴です。

最後に
センテッドゼラニウムは、香りの豊かさと育てやすさから、多くの人に愛されるハーブです。日当たりと風通しの良い環境を整えれば、初心者でもちょっとした手入れで元気に育ち、美しい葉や花を楽しめます。
さらに、さまざまな品種があり、花の色や葉の形、香りもそれぞれ異なるのが魅力のひとつです。ローズのような甘い香りや、レモンのように爽やかな香りなど、品種ごとの個性を楽しみながら育てるのもおすすめです。お気に入りの品種を集めて、自分だけのコレクションを作ってみるのも楽しいですね。
一鉢あるだけで、ふとした瞬間に漂う香りが心を和ませてくれるセンテッドゼラニウム。あなたの暮らしに取り入れて、その魅力を存分に楽しんでみませんか?
