はじめに
フレンチラベンダー――その華やかで個性的な花姿と、他のラベンダーとは異なる香りは、多くのガーデナーを魅了してやみません。
同じラベンダーでも、優雅でクラシックな香りが特徴のイングリッシュラベンダーとは一味違い、フレンチラベンダーはより個性的で、観賞価値が高い花穂が魅力です。そのため、庭だけでなく、鉢植えやインテリアとしても人気が高まっています。
心を癒し、空間を彩るこの植物の魔法に触れれば、日常が少しだけ特別に感じられるかもしれません。さあ、その魅力の世界へ一歩踏み出してみましょう。

フレンチラベンダーとは?
フレンチラベンダー(学名:Lavandula stoechas)は、シソ科に属する常緑低木で、地中海沿岸の温暖な地域を原産とする魅力的な植物です。

その最大の特徴は、花穂の先端にまるでウサギの耳のようにぴょこんと立つ苞葉(ほうよう)。この愛らしい姿が多くの人に親しまれています。花色は鮮やかな紫から上品なピンク、柔らかなブルーや清楚なホワイトまで多彩で、ガーデンや室内を華やかに彩ります。
フレンチラベンダーの活用方法
フレンチラベンダーは観賞用として楽しめる他に下記のような活用方法があります。
ドライフラワー
フレンチラベンダーの美しい花は、ドライフラワーにすると長く楽しむことができます。花が一番鮮やかなうちに茎ごと切り取り、風通しの良い日陰に逆さまに吊るして1~2週間ほど乾燥させましょう。
乾燥した後は、花束として飾ったり、リースやハンドメイドのアロマサシェに使ったりと、さまざまなアレンジが可能です。ほのかに残る香りが、部屋にやさしい癒しの空間をもたらしてくれるでしょう。
当サイトにドライハーブの加工について解説している記事もご用意していますので、ぜひ参考にして下さい。
ポプリ
乾燥させた花は、ポプリとして室内に優しい香りをもたらします。そのやや控えめな香りは、穏やかなリラックス効果を生み、リビングや寝室にぴったりです。
他のハーブやエッセンシャルオイルと組み合わせることで、香りのバランスが取れ、さらに奥行きのある香りを楽しめます。ミントやローズマリーなどのハーブを加えると爽やかなアクセントに、バラの花びらを合わせれば華やかな香りに仕上がります。あなた好みの香りをブレンドしてみましょう。
ハーブバス
乾燥させたフレンチラベンダーの花や葉を布袋やガーゼに包んで浴槽に浮かべれば、香り豊かなハーブバスが完成します。お湯にじんわりと広がるやさしい香りが、心と体をほぐし、一日の疲れを癒してくれます。さらに、ラベンダーのリラックス効果で入浴時間が特別な癒しのひとときに変わります。リフレッシュしたいときにはミントを、深いリラックスを求めるときにはカモミールを加えるのもおすすめです。

フレンチラベンダーの代表品種
世界中にたくさんの種類があるとされるフレンチラベンダーの中でも、以下のような代表的な品種があります。

ラベンダー・ストエカス
フレンチラベンダーの原種で、最も広く知られている品種です。花穂の先端にウサギの耳のような苞葉がつき、その愛らしい形が特徴。花色は紫、ピンク、白などバリエーションが豊富で、庭や鉢植えでも楽しめます。樹高は50cm〜1m程度。開花時期は春〜初夏。日当たりの良い場所を好みます。

アボンビュー (Avonview)
濃い紫色の花と赤紫色の苞葉が美しく、存在感のある品種です。花穂が長く、草丈も80cmほどと大きく育つため、ボリュームのあるガーデンを演出したい方におすすめです。開花時期は春〜初夏。

キューレッド (Kew Red)
鮮やかな赤紫色の花と苞葉を持ち、コンパクトな樹形が特徴です。鉢植えに適しており、小さなスペースでも育てやすいのが魅力。鮮やかな花色が庭やバルコニーのアクセントになります。樹高は30〜50cm程度。開花時期は春〜初夏。
他にもカラーバリエーション豊かなフレンチラベンダーが流通していますので是非園芸店に足を運んでその魅力に触れてみて下さい。また、最近はネットショップから珍しい品種を取り寄せることもできますので是非一度検索してみて下さい。
バリエーション豊かなフレンチラベンダーの苗はこちらから
フレンチラベンダーの育て方
生育環境
フレンチラベンダーは日光がたっぷりと当たり、風通しの良い環境を好むため、庭植えや鉢植えでも日向を選ぶのがポイントです。特に湿気に弱い性質があるため、梅雨の時期には水はけの良い場所で管理することが大切です。
苗から育てる方法
ラベンダーの種は発芽率が低いため、ここでは初心者も安心して育てられるように苗から育てる方法をお教えします。苗は一部の園芸店やネット通販で購入することができます。

苗の準備
健康でしっかりとした苗を選ぶことが大切です。葉にツヤがあり、変色やしおれが見られない苗を選びましょう。根が鉢底から飛び出しているものは避け、元気な苗を準備します。
苗選びがはじめてという方は下記の記事も参考にして下さい。
土の準備
土は市販のハーブ用土で問題ありません。ラベンダー専用の用土を使用するとより適した状態が作れます。

ご自身でブレンドするのであれば小粒の赤玉土7と腐葉土3の割合で配合するのがおすすめです。
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植え付けの手順

- 鉢や庭の適切な場所を選び、穴を掘ります。(鉢で一株だけ育てる場合、9cmポット苗の場合は5号鉢(直径15cm程度)、15cmポット苗の場合は7号鉢(直径21cm程度)を用意しておけば安心です。)※株が大きくなったら植え替えが必要な場合があります。
- 苗を植え、根がしっかりと広がるように土を戻し鎮圧します。
- 植え付け後は軽く水を与えて安定させます。
<複数の苗を植え付ける際のポイント>
株が大きく成長するため、苗間の間隔は、40cm~50cm程度を目安にしましょう。十分なスペースを空けることで、風通しを確保し病害虫の予防にもなります。

日常管理
水やり

地植えの場合:
植え付けから1カ月間は根がしっかりと張るように、3日おきにたっぷりと水を与えましょう。その後は自然降雨で十分なため、特に乾燥が続く時期以外は基本的に水やりは不要です。過剰な水分は根腐れの原因になるので注意が必要です。
鉢植えの場合:
鉢植えの場合は土の表面が乾いてから根元にたっぷりと水を与えましょう。水はけの良い土を使っていても、過湿には弱いため、水やりの頻度は控えめにし、鉢底に水がたまらないよう気をつけてください。
肥料
フレンチラベンダーは肥料の多用を必要としませんが、生育期(春から初夏)に緩効性(※)の肥料を月に一度程度与えると健康な生育につながります。肥料の与えすぎはかえって株を弱らせることがあるため、適度な量を心がけましょう。また、肥料は水はけの良い土と併用することで効果的です。
※緩効性肥料について詳しくは知りたい方は下記のページをご参照ください。
剪定・切り戻し
開花後の剪定は、株の健康を保ち次の花を美しく咲かせるために重要です。

6月から7月頃が適期で、花がらを取るだけでなく、葉のついた枝を株全体の半分ほどの高さまで切り戻します。また、内部の風通しを良くするため、株の内側にある細い枝や弱い枝は元から取り除きましょう。適切な剪定は蒸れを防ぎ、病害虫の発生を抑える効果もあります。
病害虫
フレンチラベンダーは比較的丈夫で病気にかかりにくいですが、春先や高温多湿の時期にはハダニやアブラムシが発生することがあります。特に葉の裏側に付きやすいので、定期的にチェックしましょう。発見した場合は、早めに駆除することが大切です。手で取り除くか、水で洗い流す方法、または適切な薬剤を使用して対処してください。
化学薬品を使いたくない方には、ナチュラルな方法もおすすめです。ニガヨモギ(ワームウッド)を栽培し、自家製の忌避剤を作ってみましょう。
最後に
今回は、フレンチラベンダーの魅力や代表的な品種、そして育て方について詳しくご紹介しました。
フレンチラベンダーは、その愛らしい花姿と控えめながらも心地よい香りで、観賞価値の高いハーブとして多くの人に親しまれています。庭に植えて季節ごとに変化を楽しんだり、鉢植えで気軽にインテリアとして取り入れたりと、さまざまな楽しみ方が可能です。
また、品種ごとの個性的な色や花姿を組み合わせて植えると、より一層豊かなガーデンが完成します。ぜひ、あなたのお気に入りの品種を見つけて、癒しの空間を作ってみてください。
