はじめに
夏が過ぎ蒸し暑さが和らいだ頃、多くのハーブにとって秋の種まき適期に入ります。
中でも、翌年に収穫を迎える二年草(一年草)にとって、秋の種まきや植え付けには大きなメリットがあります。
本記事では、どんなハーブが秋まき(秋植え)に適しているのか、なぜ秋がおすすめなのかを解説していきたいと思います。
翌年の収穫を目指して丈夫な株に育てたいという方は是非参考にしてください。
二年草って何?
まず最初に「二年草」という言葉を聞き慣れないという方に、二年草とは何かについて簡単にご説明させていただきます。
二年草は「二年生植物」とも呼ばれ、その一生を2年(2シーズン)以内に終える植物のことを言います。
秋に種を播いて、翌年春に花を咲かせ秋や冬前に枯れるのも二年草に含まれます。
一方、一年草は種から育ちその年のうちに一生を終えるという生命サイクルの植物です。
「一年草」は聞き慣れている方も多いかと思いますが、二年草は種類自体が少ないので、あまり耳にする機会も少ないかと思います。
一年草、二年草についての解説は下記のページもあわせてご覧ください。
二年草のハーブ
一般的には以下のようなハーブが二年草として知られています。
・コモンマロウ
・パセリ
・スープセロリ
・キャラウェイ
・ニゲラ
・アンジェリカ
・ミルクシスル
これからのハーブを秋まきで育てると、発芽した年のうちに茎葉や根を形成し、冬になると一旦休眠します。その後、二年目に入り春から夏にかけて花を咲かせます。
環境によっては一年で枯れてしまうこともありますので、草花図鑑などでは「一年草(二年草)」と表記されることもあります。
秋まき(秋植え)のメリット
秋まき(秋植え)には主に3つの大きなメリットがあります。
株が大きく丈夫に育つ
秋のうちに播いたハーブは、発芽してから冬を迎えるまで茎葉と根が生長します。
休眠期に入ると生長は衰えますが、春の気温の高まりとともにまた生長をはじめます。
つまり、春の時点で既に「光合成を行う葉」と「養分を吸い上げる根」という二つの重要な部位が充実しているため、株が丈夫に育ち易いという特徴があります。
病害虫のリスクが少ない
日本の夏は湿度が高く、アブラムシをはじめとした害虫の繁殖やうどん粉病のような病気が発生しやすい季節です。
しかし、暑さの落ち着いた秋は、涼しく乾燥しているため、地中海沿岸が故郷のハーブにとっては快適で過ごしやすく病害虫の発生リスクが少ないというメリットがあるわけです。
逆に、発芽後に蒸し暑い時期に突入する春まきのハーブは、秋まきのハーブに比べて病害虫のリスクは高いといえます。
雑草管理が楽
春から夏にかけて気温が高まってくるとともに、庭や畑には一気に雑草が生え始めます。
特に、苗が小さい時は雑草の生長スピードに負けてしまい、雑草の影になった日光が遮られたり、生育を阻害され枯れたり絶えてしまうことがあります。
しかし、秋になると雑草の勢いも落ち着き、夏の雑草に比べて頑固なものが少なくなりますので、比較的楽に除草作業ができます。
もちろん、春になればまた雑草は生えてきますが、秋まきした株はすでに一定の大きさに生長しているので、簡単に雑草に負けることもありません。
除草の手間を考えても、やはり秋まきにはメリットがあるといえます。
唯一のデメリット
秋まきにデメリットがあるとすれば「冬越し」です。
暖地の方にとっては大きな問題ではありませんが、寒冷地で栽培される方にとって冬越しが唯一のデメリットといえます。
冬期もしくは初春のまだ寒い時期に、強い霜によるダメージを受けることで春になっても生長せずに枯れてしまうということがあります。
そのため(ハーブの種類によっては)秋は一旦鉢植えにして屋内で管理したり、地植えの場合は、藁や寒冷紗で株周辺を養生する必要があります。
最後に
今回は、二年草ハーブの秋まきをおすすめする理由をご紹介させていただきました。
種の入っている袋の裏にはよく「種まきスケジュール」が記載されており、春まきでも秋まきでも大丈夫なものが結構あります。
基本的には寒冷地の場合は春まき、暖地の場合は秋まきがおすすめですが、二年草に関して言いますと、前述のような大きなメリットがあるので、寒冷地であっても(養生や冬期の苗管理ができる方は)は秋まきがおすすめというのが筆者の見解です。
まだ秋まきで育てたことがないという方は、是非一度、秋の種まきをお試しください。