はじめに
種をまいた後、毎日のように経過を観察して、ついに発芽を確認できた時の充実感は園芸の醍醐味といっても過言ではありません。
しかし時には、まいた種が発芽時期に差し掛かっても中々芽を出さず、さらに何日か待っても発芽せず諦めてしまうことがあります。
せっかく愛情込めて播いた種が無駄になってしまうのはとても残念なことです。
今回は、発芽が失敗した時に(または失敗しないように)チェックすべき項目をまとめた記事となります。
いつも上手くいかない…、もしくは失敗した原因がわからなかった…という方がいらっしゃいましたら、本記事を参考にしていただき今後の種まきに活かしていただければ幸いです。
種が発芽しない理由
種が発芽しない原因としては、大きく分けて下記の問題が関係していると考えられます。
▶︎水分の問題
▶︎温度の問題
▶︎土の問題
▶︎種の問題
発芽するためには、適切な水分量、発芽温度、土に含まれる養分、健康な種子であること、全ての条件を満たしていなければなりません。
一つでも条件が悪いと発芽が遅れたり、芽が出ないことがありますので、まずは上記のような問題がないかどうかを確認する必要があります。
発芽しない時に確認すべきこと
水切れしていないか
苗を育てる上で水切れは種の生死に関わる致命的な要因です。
急な用事が重なり、水やりを1〜2日怠っただけでも、気候によっては、土の水分が一気になくなってしまうこともあります。
また、風が一日中強く吹く場所でも、急激な水分の蒸発により水切れを引き起こすことがあります。
・水分の状態を毎日確認して水やりを行う。
・育苗箱や鉢を風の強い場所から移動させる。
・湿らせた新聞紙などで覆い、水分の蒸発速度を緩やかにする。(嫌光性種子の場合に限ります)
土の表面が湿っていても土中の水分が枯渇しているケースも考えられますので、そんな時は、指先や割り箸を土に差し込んで、先端が濡れるかどうかを確認してみてください。
全く湿り気を感じない場合には、土の中の水分がなくなっているサインです。
水をあげ過ぎていないか
発芽にとって水分補給は大切ですが、あげ過ぎも発芽不良を引き起こす原因となります。
水をたくさんあげ過ぎてしまうと土中の空気が不足して、種が窒息状態に陥り、根を張り始めた頃には根腐れの原因にもなってしまいます。
土の表面に緑色の苔ができ始めた時は湿気が多いというサインで、特に育苗箱やプランター内で起きやすい弊害です。
・水分状態を確認して、乾燥していない限りは無理な水やりを行わない。
発芽温度に達しているか
実際に種を購入されたことがある方はお分かりかと思いますが、パッケージには何月頃に種を播けば良いのか適期が記載されています。
この適期は例年の気温を考慮して提示されているものですので、もちろん間違ってはいませんが、それよりも大切なのは「気温が何度に達したか」ということです。
例えば、コリアンダー(パクチー)のまき時は3月中旬以降や4月以降とされていますが、発芽するためには20℃前後の温度が必要です。
したがって、種まきの適期であるとされる3月中旬にまいても、気温が20℃近くまで上がっていない限り中々発芽はしません。
・種まきは気温を確認して、発芽に適した温度に落ち着く頃を見計って行う。
種子の性質に反していないか
種には光を好む性質を持った「好光性種子」と、光を苦手とする性質の「嫌光性種子」があります。
好光性種子は発芽するときに光を必要としますので、覆土が厚すぎると発芽しにくくなり、嫌光性種子は光を苦手としますので、光があたっていると発芽しにくくなります。
種の性質によって覆土が適切にされているかどうかを確認しましょう。
・好光性種子は覆土をしない、またはごく薄く(2〜3mm程度)覆土をして光に晒す。
・嫌光性種子はしっかりと覆土して、発芽するまでは湿らせた新聞紙などを利用して光を遮る。
好光性種子と嫌光性種子についてもう少し詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
土質が悪くないか
排水性や保水性に優れた市販の種まき用土を使っている方は問題ありませんが、もし庭や畑の土を種まきに利用している場合は土質に問題がある可能性もあります。
粘土質や砂地の土地から採取した土は、植物を育てることに適していませんので、もしそのような土を利用して種まきを行ったのであれば発芽させるはかなり厳しいでしょう。
・はじめから市販の種まき培養土を使用する。
・庭や畑の土は土壌改良剤を使用して土質を改善してから種まきに使用する。
土質が良いのか悪いのか判断できないという場合は、家庭でも簡易的に土質を判断できる方法がありますので下記リンクにてご確認ください。(クリックしていただくと該当の箇所にスクロールします。)
種の寿命が過ぎていないか
もし皆さんが、昨年以前の古い種を使用した場合は、既に寿命が過ぎていて発芽しない可能性があります。
(発芽率は落ちるものの)保存状態が良ければ採種から一年ほど経過した種でも使用できますが、それ以上に月日が経過しているものは発芽が難しくなります。
市販の種には発芽検査日から起算した有効期限と発芽率が記載されていますので、改めて有効期限を確認しましょう。
・余った種の持ち越しは一年程度にとどめ、二年以上前の種はなるべく使わず新しく購入する。
種が流れ出ていないか
薄めに覆土した種、覆土しなかった種は、水やりの勢いが強いと土から露出して流されてしまうことがあります。
流されてしまったことに気づかずにいると、来る日も来る日も単なる土に水やりを続けていたなんていうことも…。
・育苗中の水やりは、霧吹きやハス口のジョウロなどを使い水圧をなるべくかけない方法で行う。
最近はUSB充電が可能な電動式霧吹きも販売されています。
軽量で非常に使いやすく、観葉植物の水やりの時にも重宝します。ノズルの調節次第で水を直線上にしたり霧状にしたり切り替えられるのも嬉しい機能です。
<参考商品>
最後に(まとめ)
今回は、ハーブを種から育てはじめた方向けに、中々発芽しない時にチェックすべき7つの項目をお伝えしました。
それぞれに心当たりがある方は、栽培環境や日常管理の方法を見直して再度チャレンジしてみてください。
発芽しない時にチェックしておきたいこと
✔︎水切れしていないか?
✔︎水分過多ではないか?
✔︎発芽温度に達しているか?
✔︎覆土の厚さは種の性質に合っているか?
✔︎土質は悪くないか?
✔︎種が寿命を迎えていないか?
✔︎種が流出していないか?