シソの育て方簡単ガイド:品種別の特徴や赤紫蘇・青紫蘇の違いも解説

紫蘇(シソ)の特徴、青紫蘇と赤紫蘇の用途の違いなど、詳しく解説。

はじめに

ハーブと聞いて、ミントやラベンダー、ローズマリーといった西洋ハーブを思い浮かべる方は多いかもしれません。これらの植物は、家庭菜園でも人気が高まり、私たちの生活にすっかり馴染んだ存在となりました。

しかし、日本には西洋ハーブが広まる以前から、食用や薬用として親しまれてきた「和ハーブ」があります。古くから私たちの健康や食卓を支えてきたこれらの植物は、日本の文化や風土に深く根付いています。

今回取り上げる「シソ(紫蘇)」も、そんな和ハーブの代表格です。赤紫蘇や青紫蘇といった種類をはじめ、その豊かな風味と高い栄養価から、日々の食生活で欠かせない存在として親しまれています。

この記事では、シソの特徴や育て方、用途について分かりやすく解説します。シソを育ててみたい方や、その魅力をもっと知りたい方に向けて、シソの新たな一面を発見できる内容をお届けします!



シソ(紫蘇)について

普段から食卓にのぼるシソですが、植物としてのシソについて、どれくらい知っていますか?
ここでは、シソという植物の基本情報や特徴、品種ごとの違いを詳しく解説します。


基本情報

シソ

学名Perilla frutescens var. crispa
原産ヒマラヤ、中国南部
科名シソ科シソ属
分類一年草
大きさ30〜70cm程度
開花時期8〜9月頃
耐性耐寒性:なし
耐暑性:あり
活用法食用、飲用、薬用

特徴

シソは、爽やかな香りとほのかな苦味が特徴の植物です。食用としては薬味やサラダ、保存食などに使われる一方、発汗や解熱、利尿作用を活用した漢方薬としても利用されています

漢字では「紫蘇」と書きますが、この「蘇」という字には「生き返る」という意味があります。由来は、中国の故事からきています。かつて、食中毒で命の危険に瀕していた若者がシソを食べたことで回復したという伝説があるのです。

さらに、シソは健康に役立つ栄養素を豊富に含んでいます。赤紫蘇には抗酸化作用のあるアントシアニンが含まれ、青紫蘇には免疫力を高めるとされるβカロテンが豊富です。どちらも日々の健康維持に欠かせない成分です。



品種による違い

シソにはさまざまな品種があり、大きく分けると「赤紫蘇」と「青紫蘇」の2種類に分類されます。さらに、それぞれの葉の形状によって以下のように分類されます。

  • 平葉(ひらば): 葉が平らで滑らかな形状をしており、薬味として使いやすいのが特徴です。
  • ちりめん: 葉が縮れているタイプで、独特の食感が楽しめる品種です。

また、以下のようなユニークな品種も存在します

  • 片面紫蘇(かためんじそ): 葉の表面が緑色で、裏面が紫色になっている品種です。色のコントラストが特徴的で、観賞用としても人気があります。
  • 斑紫蘇(まだらじそ): 葉に斑点模様がある珍しい品種です。個性的な見た目で、料理の彩りにも活用できます。

赤紫蘇と青紫蘇、平葉とちりめん、シソと大葉の違いについては下記のページでも詳しく説明しておりますので、ご興味ある方はあわせてご一読ください。



用途

赤紫蘇の用途

赤紫蘇はそのままではエグ味が強いため、生で食用にするよりも加工品に利用されることが一般的です。主な用途は以下の通りです。

ふりかけ: 乾燥させた赤紫蘇を用いたふりかけは、ご飯との相性抜群です。

梅干し: 赤紫蘇を使用することで鮮やかな色合いと風味を加えます。

紫蘇ジュース: 爽やかな酸味と独特の香りが楽しめる健康飲料として人気です。


青紫蘇の用途

青紫蘇の葉は風味がマイルドで、生食に向いているため、多様な料理で活用されています。主な用途は以下の通りです。

穂じそ: 花が咲く直前の「穂じそ」は、天ぷらや和え物などの料理に使われ、独特の風味が楽しめます。

薬味: 刺身や冷奴、そうめんなどのトッピングに使用され、香りと彩りをプラスします。

刺身のつま: 魚の新鮮さを引き立てる飾りとして添えられることが多いです。

シソと大葉の違いは何!?

 

「シソ」と「大葉」という言葉、同じものを指すようで少し違います。その違いを簡単に解説します。

  • シソ: 植物全体を指す名前で、「赤紫蘇」や「青紫蘇」などの種類を含みます。
  • 大葉: 主に野菜として流通している「青紫蘇の葉」を指す名称で、正式には植物名ではありません。

実は、「大葉」という名前が広まったのは昭和時代に静岡の生産組合が野菜として出荷する際に名付けたことがきっかけです。現在では、「青紫蘇」を示す一般的な呼び名として浸透しています。



コンパニオンプランツとして

シソは、家庭菜園でのコンパニオンプランツとしても非常に優秀な植物です。

ナスやピーマンの近くに植えることで、害虫を遠ざける効果が期待できます。その理由は、シソの爽やかな香り成分が害虫を寄せ付けにくくするためです。また、シソは手間がかからず育てやすいことから、初心者にもおすすめの植物です。

シソをコンパニオンプランツに選ぶメリット
・収穫したシソを料理に活用できるため、実用性が高い。
・害虫の予防効果があり、農薬を減らすことができる。
・ナスやピーマンと一緒に植えてもスペースを有効活用できる。




シソを育ててみよう!

栽培環境としては、日当たりと風通し、水はけの良い場所を好みますが、半日陰でも栽培は可能です。


種まき&植え付け

<種から育てる場合>
▶︎発芽温度は20〜25℃前後。
▶︎種まきは4〜5月頃が適期です。
▶︎まずは育苗箱にすじまき、またはバラまきで種を播きます。

▶︎シソは好光性種子ですので、種まき後の覆土は不要です。
▶︎発芽までは土が乾燥しないように霧吹きなどを使って水分を補いながら管理します。
▶︎環境にもよりますが、1〜2週間程度で発芽します。
▶︎双葉が出たら4〜5cm程度の間隔になるよう間引きを行います。

▶︎本葉が4〜5枚になったら苗作りは完了ですので、畑や鉢に定植しましょう。


<ポット播く場合>

1ポットに3〜4粒間隔をあけて播き、発芽したら生育が良さそうな目だけ残して間引きを行います。

間引き後は本葉が4〜5枚になるまで育ててから鉢や地面に定植します。


<苗から育てる場合>
苗を購入して育てる際(複数の株を植え付ける際)は、株と株の間は20〜30cm程度の間隔をあけて植えます。

鉢植えの場合は、市販の元肥入り培養土で問題ありません。

もしご自身で土をブレンドしたい場合は、小粒の赤玉土7に対して腐葉土3で配合するのがおすすめです。

アルカリ性の土を好みますので、畑の土などを利用する場合は、事前に苦土石灰を混ぜておくのも有効です。



日常管理

◆水やり
地植えの場合は、根付くまではしっかり水分を与えますが、その後は必要ありません

鉢植えの場合は、土の表面がやや乾いたらしっかりとあげてください。


◆剪定(摘芯)
草丈が20cm程度になったら摘芯を行います。(摘芯とは先端の芽を摘み取ることです。)

この摘芯をしっかり行うことで脇芽が増え、結果的に収穫量を増やすことができます。


◆肥料
元肥入りの用土を使った場合、しばらくは肥料を入れる必要はありませんが、生育期は1ヶ月に1〜2回程度液体肥料を与えると生育が衰えません。


◆病害虫
栽培環境によって、アブラムシやハダニなどの虫が発生することがあります。日々チェックして発見したら早めに駆除します。

害虫の予防や駆除については、下記のページで詳しく解説しておりますので参考になさってください。



収穫

植え付けから1ヶ月程度経ち、株が大きくなったら葉を摘み取って収穫します。

草丈が伸び切る前(40cm前後)に随時収穫していくことで、長い期間楽しむことができます。

上手に新芽を伸ばしつつ、シーズン中にできるだけたくさん収穫できるようトライしてみてください!



最後に

今回は、家庭に一株あるだけで役立つ万能ハーブ「シソ」についてご紹介しました。

シソは、昔から日本人の食生活に欠かせない存在として愛されてきたハーブです。その上、育て方も簡単で、鉢植えでも気軽に栽培できます。普段からシソをよく使う方は、ぜひプチ自給生活を楽しんでみてはいかがでしょうか?


また、薬味系のハーブとしては、シソ以外にも「チャイブ」や「ルッコラ」などがあります。これらも比較的育てやすく、日常の料理に取り入れられる便利なハーブです。ぜひ、シソと一緒に育ててみて、ハーブ栽培の楽しさを広げてみてください!


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ハーブについて品種と特徴
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