シソ、三つ葉、山椒 日本のハーブやスパイスは英語でどう表現するの?

はじめに

筆者がまだ園芸店に勤めていた頃のお話です。

その園芸店はハーブに特化した専門店で、他のお店では扱っていないような品種をたくさん取り揃えているという理由から、近隣だけでなく遠方からも多くのお客様をお迎えしておりました。

中には日本語が話せない外国のお客様も数多くいらっしゃった為、英語圏で生活した経験ある筆者がお客様対応をすることに。

日常会話は問題なくできるものの、会話が進む中で一つ困ったことがありました。

それは、植物の固有名詞を英語でなんと言ったら良いのか分からない、ということです。。

いくら話が弾んでも、英語でハーブの固有名詞自体を言えないと、その時点で会話がストップしてしまうのです。

プロの通訳の方でも、固有名詞を知らないと会話が止まり困ってしまうということがあるようで、特に専門分野で使う固有名詞は数限りなくあるため、全て覚えるのも一苦労というわけです。

普段の生活ではあまり遭遇しない場面かもしれませんが、同僚や知人に日本語が話せない方がいたり、観光ガイドや接客の仕事に就かれている人は、「これ何て説明すれば良いのかな・・・」と思うような時が少なからずあるはず。

今回は、日本のスパイスやハーブを英語で説明する際に役立つ記事です。

外国の方と食事をしたり、接客する機会のある方にとって少しでもお役に立てたらと思います

この記事を読めば

▶︎会話の引き出しが増える。
▶︎日本食の材料や薬味などを英語で説明できるようになる。
▶︎少〜〜〜しだけ英語力が高まる。


日本のハーブ、薬味

現在、日本食は世界中で非常に人気が高まり、ありとあらゆる国で外食の選択肢の一つとして認知されるようになりました。

私は過去に、オーストラリアで和食調理の仕事をしていたことがあるのですが、日本食が大好きで毎日食べに来るというお客様も非常に多く、毎日ランチの時間は現地のビジネスマンで賑わっていました。

私の働いていたレストランの料理長は英語が苦手な方だったので、お客様に食材の説明をするときに必ずといって私が呼び出されて通訳をするのですが、調理法やその他のことは説明できても、食材のことになると「あれ??この食材は英語で何て言うんだろう・・」ということも実際に多かったのを覚えています。

また、仕込みの材料を電話で発注する際にも、はじめは色々と苦労がありました。

現地のお肉屋さん、魚屋さん、八百屋さんにそれぞれ電話で注文を伝えるのですが、中々単語が出てこなくて辞書を引きながら相手と会話することも頻繁にありました。

ここではまず、料理の薬味や材料でよく使われているものをピックアップして、英名とカジュアルな例文などをご紹介していきたいと思います。



シソ(大葉)

日本を代表する薬味の一つで、刺身のつまや麺類の薬味、天ぷらの材料としてもお馴染みですね。

シソは、英語で「perilla」といいます。→(発音のしかたはこちらから


大葉、つまり葉っぱの部分だけを説明したい場合は「葉=leaves」を付け加えて、「perilla leaves」としたほうがより正確に伝わります。

【例文】
Perilla is one of the most widely used herbs in Japanese cooking. You might find a minty or basil flavour. Please try it.

【訳】
シソは和食で最もよく使われているハーブの一つなんだよ。多分、ミントみたいなバジルみたいな味がするかも。食べてみてー。

シソは「シソ科シソ属」に分類され、バジルやミント、ローズマリーもシソ科の植物ですが、バジルは「メボウキ属」、ミントは「ハッカ属」、ローズマリーは「マンネンロウ属」なので、人間でいうと親戚のような関係ですね。


シソの栽培にご興味がある方は下記のページをご参照ください。



三つ葉

香り付けのお供として、よくお吸い物や丼物の上で見かける三つ葉は、一つの茎に三枚の葉っぱがつくことからその名がつきました。

爽やかな風味が料理のアクセントになる素晴らしい和ハーブの一つです。


三つ葉は、英語で「Japanese parsley」といいます。→(発音のしかたはこちらから

ご覧の通り、三つ葉はparsley(パセリ)の前にJapaneseをつけるだけでOK。

【例文】
We call Japanese parsleyMitsuba“. It’s named after the number of the leaves it has. “Mitsu” means three、”ba” or ”ha” means leaves.


【訳】
日本では”みつば”と呼ぶんです。葉っぱが三つ付いていることからその名がつけられました。[ みつ ]は3という意味、[ば]や[は]は葉っぱという意味です。

三つ葉の他にも、冒頭に「Japanese」と付いているものが結構あります。

とても簡単で覚えやすいですので、この後ご紹介していきますね。



ワサビ

今や世界中で食されている日本原産のスパイス。

鼻の奥を突き上げるようなあの独特の感じが海外の日本食ファンに人気の理由です。

私が以前働いていたレストランでは、お刺身やお寿司と一緒に添えたワサビだけをおかわりする人も少なくありませんでした。


ワサビは、英語で「Japanese horseradish」といいます。→(発音のしかたはこちらから

ちなみに、「horseradish(ホースラディッシュ)」だけだと原産が東ヨーロッパの「西洋わさび」を指します。

ワサビと同じく辛味成分のある植物で、白い根っこの部分を食用にします。

最近は市販のチューブ入りわさびの原料などとしても使われています。

【例文】
The difference between horseradish and Japanese horseradish is the part we consume. Normally it’s the root of horseradish we consume, but it’s the rhizome for Japanese horseradish.

【訳】
わさびと西洋わさびの違いは食す部分が違うということ。西洋わさびは根っこの部分を食用にしますが、わさびは根茎の部分を食します。



サンショウ(山椒)

古くから使われ、”日本最古のスパイス”とも言われているサンショウ。

うなぎの蒲焼と一緒に食べる場面くらいしか思い浮かばないかもしれませんが、味噌との相性が良いので、味噌煮や味噌汁などにちょっとふりかけるだけでも味わいがグッと増します。

またサンショウの佃煮は京都の名物になっており、外国人観光客にも人気があるそうです。


サンショウは、英語で「Japanese pepper」といいます。→(発音のしかたはこちらから

またまた、pepper(コショウ)にJapaneseを付け加えるだけです。簡単ですね。

【例文】
Japanese pepper goes very well with miso. You can buy it at any supermarket in Japan, so why don’t you buy it as a souvenir.

【訳】
サンショウは味噌との相性抜群なんだ。日本のスーパーならどこでも買えるし、お土産に買ってみたら。



ミョウガ

ミョウガが好き!という外国の方に殆どお会いしたことはありませんが… 色々な料理の薬味としても使われることが多いので是非覚えておきましょう。


ミョウガは、英語で「Japanese ginger」といいます。→(発音のしかたはこちらから

東アジア原産のミョウガは中国で栽培品種化されたものの、現在は日本ほど日常的に食べている国はないようです。

【例文】
Japanese ginger has very distinct flavour. I don’t know if you like it, but please try it!

【訳】
ミョウガには独特の風味があります。気に入るかわからないけど、試しに食べてみて!



日本の野草

最近はメジャーな都市部だけでなく、郊外や田舎のほうにも外国人観光客やバックパッカーの方が増えています。

気候も風土も違う異国で見る景色はとても新鮮で、散策していると珍しい植物に目を奪われることもあります。

私がオーストラリアに住み始めた頃、同じような経験があります。

散歩の途中で森に足を踏み入れると、そこには日本では絶対に見られないような植物たちが自生しており、立ち止まっては時間を忘れてまじまじと眺めていました。

このように、私たちが普段何気なく目にしている風景の中には、日本独特の環境で育まれた自然界の「Made in Japan」があるのです。

ここからは、古くから薬草として民間療法で使われたり、食文化の一部として私たちの身近な存在の野草を英語でなんというのか見ていきましょう。



スギナ

栄養素が豊富に含まれていると言うことから、最近ではお茶としても親しまれるようになったスギナ。

「ミネラルの宝庫」ともいわれ、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が豊富に含まれています。

非常に丈夫な性質で、空き地や道端などで春になるとあちらこちらで見かけることができます。


スギナは、英語で「field horsetail」といいます。→(発音のしかたはこちらから

直訳すると「野原の馬の尻尾」、スギナの形を馬の尻尾に見立てて付けられた名前ですね。

【例文】
Field horsetail is often found along grassy roadsides and paths. It has been used for many years as a herbal remedy.

【訳】
スギナは草の生い茂った道端や小道でよく目にすることができます。 漢方薬として長年使用されてきました。

意外と知らない方も多いのですが、スギナは「ツクシ」と同じ植物なんです。

スギナは栄養茎という部分で光合成を担当しており、ツクシは胞子茎という部分で繁殖を担当しています。


ヨモギ

ラベンダーはよく「ハーブの女王」と表現されますが、このヨモギは「和ハーブの女王」と呼ばれることがあります。

田園地帯に行けばあらゆるところに自生していますし、植物そのものを知らない方でも「よもぎ餅」を食べたことがある人なら馴染み深い存在と言えるでしょう。


ヨモギは、英語で「Japanese mugwort」と言います。→(発音のしかたはこちらから

mugwortだけですと「欧州ヨモギ」を指す場合が多いです。

Japaneseをつけることで、我々の身近にある日本のヨモギを指すことになります。

【例文】
Japanese mugwort known as “Yomogi” is often used to make sweets in Japan.

【訳】
日本で「ヨモギ」として知られているJapanese mugwortはお菓子作りによく利用されます。



ドクダミ

独特の匂いをもち、アスファルトの間からも生えてくる強靭なドクダミ。

一般的には雑草扱いされてしまう可哀想な存在ですが、昔から薬草として使われており、お茶として飲まれることもある野草です。


ドクダミは、英語で「fish mint」といいます。→(発音のしかたはこちらから

ん??……フィッシュミント…..??

そうなんです、ドクダミの香りが魚っぽいと表現され、英名では”魚っぽいミント”としてネーミングされています

個人的には全然お魚臭は感じないのですが・・・みなさんはいかがでしょうか?

【例文】
Though it’s called “fish mint“, it does not belong to the mint family.

【訳】
フィッシュミント」って呼ばれてるけど、シソ科ではないんだ。
(※ミント類はシソ科に属します)


野菜やハーブを育てている方は、ドクダミを利用した害虫対策の記事もあわせてご覧ください。


フキ(蕗)

ほろにがい風味が特徴的なフキは、数少ない日本原産の野菜。日本全国に広く自生しており、ハーブとして扱われることもあります。

春先に根茎から花穂を出したものがフキノトウです。


フキは、英語で「Japanese butterbur」といいます。→(発音のしかたはこちらから

butterburは西洋フキを指し、Japanese butterburは日本原産のフキを指します。同じフキ属ですが、別の種です。

【例文】
Japanese butterbur is a perennial herb that grows wild in the fields and mountains of Japan. It has large, round, soft leaves.

【訳】
フキは日本の山野に自生する多年草ハーブです。丸く大きな柔らかい葉が特徴です。

私が小学校の時、学校で「フキを採取しに行く」という行事がありました。

 

大人になってから、この事を他人に話すと、結構珍しい行事だと驚かれます。。

 

今になって思えば、野山を先生とした貴重な自然学習の機会だったのだと有り難く思います。


クズ(葛)

漢方薬や葛粉の原料にもなるクズ。マメ科の蔓性植物で、土中ではデンプンを豊富に含んだ太い根を伸ばして成長します。

花は赤紫色で「秋の七草」の一つにもなっています。


クズ(葛)は、英語で「(Japanese) arrowroot」といいます。→(発音のしかたはこちらから

ちなみに葛粉は「arrowroot flour」といいます。

flourは小麦粉という意味で一般的に使われますが、木の実や芋類の粉もflourと言われます。

【例文】
Arrowroot flour is used as material for Japanese sweets. It’s great if you are on a diet because it’s low calories.

【訳】
粉は和菓子の材料として使われています。低カロリーなので、ダイエット中にはオススメです。



最後に

植物の名前というのは面白いもので、同じものをであるにも関わらず何通りもの呼び方があったり、英名も一つというわけではありません。

今回の記事で、「ドクダミは” fish mint “」とご紹介しましたが、他にもchameleon plant(カメレオンプラント)と呼ばれたりもします。

また、英名があるにも関わらず、世界的に和名でも問題なく通じるものがたくさんあります。

Wasabi(ワサビ)は代表的な例で、既に世界中で食されていることから、わざわざ「Japanese horseradish」と説明しなくても、和名の「Wasabi」で広く認知されています。

もし会話の中で英名がどうしても出てこない場合は、一か八かそのまま和名で説明してみるのも良いかもしれませんね!


スポンサーリンク
スポンサーリンク
豆知識
シェアする
スポンサーリンク
スポンサーリンク