はじめに
野菜や草花を上手に育てるためには、その植物にあった土を使うことが重要です。
水やりや施肥など、日常管理をしっかり行ったとしても、植物に適した土で育てなければ徐々に生育不良や病気の原因になります。
そこで大事になってくるのが「土づくりの知識」です。
土づくりといっても、栽培する植物によって配合や使用する資材などが異なり、様々な方法があります。
本記事では、「ハーブ栽培をはじめたばかりの方」または「これまで市販の土を使っていたけど、自分で土づくりにチャレンジしてみたい」という方向けに、まずは基本の基となる要素、土の構造についてやさしく解説していきたいと思います。
「土づくり」というとちょっとハードルが高そうな印象を受けるかもしれませんが、要点を絞って分かりやすく解説しますのでご安心ください。
土を構成する要素
ハーブに限ったことではありませんが、植物を育てる土は、基本的に「土の粒子」「空気」「水」という3つの大切な要素で構成されています。
そして、この3つのバランスが取れている土は、水はけ、水もち、保肥力のある土、つまり「良い土」といえます。
「水はけ」と「水もち」の違い
園芸用語でよく登場する「水はけ(排水性)」や「水もち(保水性)」という言葉。皆さんはしっかり理解できているでしょうか?
「水はけ」と「水もち」は何だか相反する言葉のようで、中には混同してしまう方もいらっしゃると思いますので、それぞれについてもう少し噛み砕いて説明いたします。
「水はけ」でいう水とは「土の間を流れる水」
「水もち」でいう水とは「土の粒子が含む水」
といった感じでイメージしていただくとどうでしょうか? 少しわかりやすくなったでしょうか?
つまり、「水はけも水もちも良い土」というのは、鉢植えを例にご説明しますと、水やりの後しっかりと鉢底から余分な水分が流れつつも、鉢内の土自体はしっかりと水分を含んでいる状態の土のことをさします。
お恥ずかしい話ですが、筆者も初めの頃は、この水もちと水はけを混同していました。。
「水分を含んでいた方が良いのに、水分が抜けていくことも必要」という説明が全く理解できませんでした。。
保肥力とは
保肥料とは、土が肥料分を保持するための力です。
保肥力の高い土は、植物が必要な時に必要な養分を保持できているので、結果的に根の張りが良くなるという効果をもたらします。
土の構造
土の構造には「団粒構造」と「単粒構造」という2つがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
団粒構造とは
土の粒子が大きく団子状になって適度に混ざり合っており、隙間に水や空気が通る隙間がある状態。
土が土がふかふかしていて、粒子の隙間を縫って根が伸びていくため、太くて丈夫な根が育ち地上部の株もしっかりしたものになります。
植物の生育にはこの団粒構造が適しています。
単粒構造とは
細かい土の粒子が詰まっていて、隙間が少なく、水や空気の通り道が少ない状態。
サラサラの砂地や粘土質の土地は、この単粒構造の代表的な例で、植物を育てるには適さない構造と言えます。
お庭や畑に植えた苗が成長せずに枯れてしまった経験ありませんか?
もちろん日当たりなどの影響もありますが、その土地が単粒構造かどうかで、そもそも栽培に適している場所かどうかを判断することができます。
もし単粒構造の土であれば、鉢植え栽培に切り替えたり、土を入れ替える必要があります。
基本となる土の配合
ハーブを健康に育てるためには、上手に水分をコントロールできるかがポイントです。
特に日本の気候は、多くのハーブの原産地である地中海沿岸と比べ雨量も多く高温多湿であるため、水分過多で根腐れや病気の発生を招きやすい傾向があります。
従って、ハーブを上手に育てるためには、「排水性(水はけ)を良くして、水がしっかりと抜ける状態を作りつつ、生長に必要な水分もしっかり確保してあげる」ということがポイントになります。
もちろん「保肥力」も大切ですが、品種によってはあまり肥料分を必要としないハーブもあります。
肥料が必要な場合は後から追肥で補ってあげることもできますので、はじめての土づくりにおいては、まず水はけと水もちを優先的に考えるようにしましょう。
ハーブ用土の基本配合(おすすめ)
ハーブ用の土で基本となるのは「赤玉土7:腐葉土3」という配合です。
赤玉土とは?
赤玉土とは、主に鉢植え栽培の基本となる土で、関東平野の火山灰層から掘り出された土を乾燥させ砕いたものです。
土が粒状になっているため、水はけや水もちが高いという特徴があります。
腐葉土とは?
腐葉土とは、植物の枝や葉が枯れて分解され土状になったものです。
微生物の活性化を促し、土中の通気性や水はけ・水もちを良くするのに役立ちます。
ハーブを育てる場合、基本的に中粒の赤玉土が好ましいですが、小さめの鉢植えであれば小粒でも十分です。
まずはこの「赤玉土7:腐葉土3」という比率が基本となりますので、覚えておきましょう。
園芸用土を早速チェックしてみよう土壌改良材
前項でお伝えした「基本の配合」で殆どのハーブは問題なく育ちます。
ただし、育てる品種によっては更に水はけや水もちした方が良い場合もあります。(またはその逆のパターンもあります。)
そんな時、土の性質を微調整するために役立つのが「土壌改良材」です。
土壌改良材とは、栽培に適した土にするために混ぜ込んで、土質を改善する役割を果たす資材のことです。
例としては、泥炭、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、バーク堆肥などがあげられます。
時々「肥料」と混同されることがありますが、肥料が「養分を補うもの」であるのに対して、土壌改良材は「土自体の質を改善するもの」という違いがあります。
土壌改良材についてさらに詳しく知りたい方は、下記のページもあわせてご覧ください。
最後に
花や野菜、ハーブの土づくりについては、インターネットや書籍で色々な情報を得ることができますが、基本を知ることはできても、完璧な答えは中々見つからないものです。
皆さんが植物を育てている環境(日当たり、風通し、降雨量など)は独自のものであり、教科書通りにやったからといって同じ結果になるとは限りません。
日々の観察を通して、どんな土質にしてあげれば植物が喜ぶかをまずは理解して土づくりを行いましょう。
いつもは市販の培養土を使っているという方も、知識を深めていけば、いずれ自分の栽培環境に適したオリジナルブレンドの土を作ることができるようになって、更にガーデニングも楽しくなるはずです!
土づくりと同時に肥料についても少しずつ理解を深めたいという方は、下記の記事もあわせてお読みいただければと思います。