【ハーブの土づくり】土壌改良材って何?どんな種類や用途があるの?

はじめに

この記事は「はじめてハーブ用の土を作る」という方に向けた解説ページです。

実際に土づくりを始める前に理解しておきたい土の性質や基本の配合については、下記のページで解説をさせていただきましたので是非ご一読ください。

さて今回は、土の性質を改善した時に使用する「土壌改良材」について解説させていただきます。

今までは既製品の培養土を使っていたけど、自分のオリジナルブレンドにチャレンジしてみたい!という方や、庭の土が粘土質や砂地で中々うまく草花が育たないという方は是非参考にしていただければ幸いです。



土壌改良材とは?

土壌改良材は、土に混ぜ込んで使用することでその植物の栽培に適した土質へ改善する役割を果たす資材です。

野菜や草花を育てる時、その植物にあった土を作ってあげられるか否かで生育にグンと差がつきます。

たとえ肥料を使って栄養分を与え続けても、土そのものがよくなければいずれ植物は生育不良になり、場合によっては枯れてしまうこともあります。

そのため、植物を栽培する際には必ず土自体を良好な状態にしておく必要があり、その際に活躍するのが土壌改良材というわけです。



どんな時に使うの?

土壌改良材を使用することで得られる効果には、以下のようなものがあります。

▶︎水はけが良くなる(透水性の改善)
▶︎水もちが良くなる
(保水性の改善)
▶︎団粒構造の土にしてくれる
(土壌の団粒形成)
▶︎土をフカフカにしてくれる
(土壌の膨軟化)
▶︎肥料もちを良くしてくれる
(保肥性の改善)

従って、皆さんが野菜や草花を植えようとしている土に水はけや水もち、肥料もちの問題がある時に使用することになります。


どんな種類があるの?

土壌改良材といっても使用する目的によって様々な種類があります。

今回はハーブ栽培にも活用できる一般的なものに絞って、ご紹介していきたいと思います。

バーミキュライト

苦土蛭石(くどひるいし)という鉱物を高温で加熱して細かく粉砕したものです。

【特徴】
軽量で水はけや水もち、通気性改善に効果があります。無菌で、挿木や種まき用土としても使われます。



黒曜石パーライト

黒曜石を高温加熱して発泡成形したものです。

【特徴】
水はけや通気性改善に効果があります。粒の内部には無数の空洞があり、土中に酸素を行き渡らせてくれる役割を果たします。鉢底石の代わりとしても有用です。



真珠岩パーライト

真珠岩を高温加熱して発泡成形したものです。

【特徴】
水もち(保水性)や保肥力改善に効果があります。粒に貫通した穴があいていることで水分が浸透して水もちを良くします。


黒曜石パーライトと真珠岩パーライトはどちらも通気性を良くしてくれますが、一方は水はけに効果あり、もう一方は水もちに効果ありで、水分コントロールの面では別の効果があります。

ハーブの栽培では、主に水はけを良くする黒曜石パーライトを使用することが多いです。


ゼオライト

火山灰から形成された粘土鉱物です。

【特徴】
粒に無数の穴があいており、保肥力改善に効果があります。有機肥料との相性が良い土壌改良材です。

水質浄化の資材として、水耕栽培などに使用されることもあります。また、観賞魚用のろ過材としても知られています。

ゼオライトには大きく分けて「天然ゼオライト」「人工ゼオライト」「合成ゼオライト」という種類があります。

園芸で主に使われるのは「天然ゼオライト」です。


ピートモス

長い年月をかけて泥炭化した水苔や水草を乾燥して細かく砕いたものです。

【特徴】
繊維質を多く含みフワッとした感触で、水もちと保肥力を改善し、土を酸性に傾ける性質があります。

ピートモスには「無調整」と「酸性度調整済」の2種類があります。


どちらも土を酸性に傾ける性質がありますが、無調整の方が強く酸性に傾けます。


アルカリ性を好むハーブの栽培においてはあまり出番がないですが、ブルーベリーやツツジといった酸性土壌を好む植物には有効な土壌改良材です。


苦土石灰

「ドロマイト」という鉱物を粉砕して作られた石灰です。

【特徴】
炭酸マグネシウムと炭酸カリウムを含み、水はけと通気性を改善し、土をアルカリ性に傾ける性質があります。



土壌分析をしよう

土壌改良材を使用する前に、まずは、土自体にそもそも改善の必要性があるかどうかを知ることが大切です。

既に良い土質なのに、無理に改善する必要はありませんし、改善しようとしたら過度に排水性や保水性を高めてしまって逆効果になるということも考えられます。

具体的に養分がどれくらい含まれているか、また土質を数値化するには専門業者が必要になりますが、排水性や通気性、保水性はある程度ご自身で確認することができますので、以下の方法をお試しください。

水はけ・通気性

【確認方法】雨天後の土の状態を観察

・半日くらいで雨水が吸収された

▶︎排水性、通気性は良好


・数日経過しても雨水が土に浸透しない

▶︎排水性、通気性は悪い

水もち

【確認方法】透明な瓶に土と水を入れて蓋を閉め、かき混ぜてしばらく放置。

・5分程度で土と水が分離した

▶︎砂質、あるいは団粒構造の良い土


・濁った状態が長く続いた

▶︎粘土質、あるいは単粒構造の良くない土


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使い方

水はけや水もち、保肥力などのバランスを考えてつくられている市販の培養土は、土壌改良材を使う必要性がありません。(細かな調整ができない方は、逆にバランスを崩して土質を悪くしてしまうので気をつけましょう。

しかし、地植えする場合や、庭や畑の土を使って鉢植えする場合、ご自身で園芸用土を使ってオリジナルブレンドする場合、土壌改良材は有効です。

ここからは実際の使い方(どんな目的で何をどの程度使うのか)をみていきましょう。


基本的には土に混ぜて使いますが、混ぜ込み直後は熱やガスを発生して植物を傷めてしまう場合がありますので植え付けの2〜3週間前には作業を済ませておきましょう。

使用量の目安は下記の表の通りです。

種類使用目的土に対しての使用量目安
バーミキュライト水はけ、水もち、
保肥力、通気性の向上
5%〜10%
黒曜石
パーライト
水はけ、通気性の向上10%〜20%
真珠岩
パーライト
水もち、保肥力の向上10%〜20%
ゼオライト保肥力、通気性の向上5%〜10%
ピートモス水もち、保肥力の向上
アルカリ土壌の矯正
20%〜30%
苦土石灰酸性土壌の矯正0.5%〜1%

※上記の使用量はあくまで目安となります。使用する土の性質や製品ごとの特徴をしっかり理解した上で使用量を決めましょう。(土壌改良材を購入した際には、必ずパッケージ裏面の説明を確認した上で使用しましょう。)



最後に

今回は、土壌改良材の中でも、ハーブ栽培で使用する主な種類に絞ってご紹介しました。

他にも野菜農家さんがよく使用するような「バーク堆肥」や「泥炭」、水稲農家さんが使用する「ベントナイト」など、様々な種類があります。

土壌改良材の使用にあたっては、まず先に必要性の有無を考えることが大切です。

観察や土壌分析を事前に行なった上で、必要に応じて使っていきましょう。

本記事でも登場した、水はけや水もち、保肥力、団粒構造や単粒構造について再度復習したい方は、前回の記事を参考になさってください。


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豆知識
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